"青葉の取材手帳"×"不知火に落ち度はない"『心底の傷を癒すのは』

水凪月(@minagiduki)さんの書いてくださった落ちぬい二次です。 トラック諸島で艦隊指揮を行っている水月提督のクロスオーバー的なお話。今回は彼女自身とお家のお話です。 どうぞお楽しみくださいませ。 続きを読む
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水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「し、司令官!?」 兵頭さんの後ろにいたロン毛の人が出てきた瞬間、司令官の様子が急変した。 身体は震え、ゆっくりと後ずさっている。 44 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:48:15
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「お嬢様!?」 メイドさんが司令官に近寄る。 しかし、「え…あ…」とかすれた声を漏らすだけ。 45 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:48:38
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「おいおい虹羽!?どうした!?」 兵頭さんも駆け寄るが、「いや…」と小さな声。 ふと私は感づく。 「すみません、司令官をお部屋に!」 メイドさんにそう頼むと、数人がかりで司令官を部屋に運んでいく。 46 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:49:46
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「まずは司令官の非礼、お詫びいたします」 玄関すぐそばの客間で深々と頭を下げる。 幸い気にはしていないようで、モグリこと長瀬さんも他の四人も快く許してくれた。 47 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:50:37
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「で、モグリは虹羽と何かあったのか?」 「あるわけねーだろ。初対面だぞ?」 「私も初対面でしたが平然としてましたがね」 48 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:51:34
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「青葉が思うに、恐らく司令官の過去が関係してるかと」 「過去?」 「はい、司令官が昔ホームレスだったというのは兵頭さん達はご存じだと思いますが」 三人が頷く。 49 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:53:00
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「もしかすると、ホームレス時代に…」 「「あー」」 兵頭さんと北上さんが納得したような声を出す。 浜風さんはやや分かっていないというような顔だ。 50 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:53:56
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「モグリと似た様な人に、そう言う系の被害にあったことがある、とそう言うわけですか」 鷲塚さんがわかりやすくまとめてくれる。 「まぁ青葉も司令官の過去を全て知っているというわけではないですから仮説ですけど」 51 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:54:48
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「んじゃ俺、帰った方がいい?」 「いえいえ、青葉が何とかフォローしてみますので」 「分かった。それじゃよろしくね」 再度頭を下げてから客室を出て。 扉を閉め、その直後司令官の部屋へと全力で走った。 52 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:55:42
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

司令官は、ベッドの上で小さく丸まって震えていた。 「なんで…こんな…」 53 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:56:28
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

…かける言葉が見つからない。 あれだけ「司令官の側で力になる」と言っておきながら。 54 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:57:22
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「青葉、いるか?」 ノックの音。 この声は亮司さん。 「はい、開いてますよ」 そう言うと扉が開く。 55 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:58:22
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

隆玄さんの息子とは思えない豪快な見た目と性格の亮司さん。 しかし隆玄さんの優しさを兄弟で一番強く受け継いだ人。 「水月の様子がおかしいって聞いたから来てみたんだが、何かあったのか?」 「えっと、過去のトラウマがフラッシュバックしたみたいで…」 56 #落ちぬい二次

2015-02-14 22:59:21
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

私の説明を黙って聞いてくれる亮司さん。 そして。 「青葉にはかける言葉が見つからないので、亮司さん、お願いできませんか」 57 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:00:47
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「青葉、お前は一つ大切なことを忘れているぞ」 「大切なこと…ですか?」 「水月にとってお前がどういう存在なのか、思い出してみろ」 58 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:01:52
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

司令官にとっての私。 部下であり、家族であり、そして… 「最も大切な…人」 「そうだ。そのお前が諦めてどうする?」 59 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:03:10
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「…でも」 「それに、言葉で伝えることが出来なくても、お前には心があるだろう」 そう言って亮司さんは私の心臓の辺りに拳を当てる。 60 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:04:04
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「…心…ですか」 「そうだ。水月がここまですっと頑張ってきたのも、お前がいたからだと思わないのか?」 「青葉が…いたから…」 61 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:05:03
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

そう言えば私が司令官の下に着任した頃。 司令官は私たちとはっきりと距離を置いていた。 それは上司と部下としてだけでなく、自分に関わらせないと言うかのように。 62 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:05:50
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

でも私が秘書官になり、司令官の身体の秘密を知り、共に過ごすようになってからは、 司令官の自然な笑顔が見られるようになっていた。 その笑顔に、私は心惹かれたのだ。 63 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:06:43
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「かける言葉が無くても、お前は側にいてやればいい。俺たちには出来ない、お前だけの伝え方だ」 「…はい」 「よし、じゃあ水月を何とかするか。二人がかりならすぐだろう」 「そんな物みたいに…」 64 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:08:11
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

亮司さんの言うとおり、私が横にいるだけで、司令官の震えは幾分か治まった。 そしてあっという間にいつも通りとまではいかないけれど、行動できる状態に戻ってくれた。 65 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:09:13
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「亮司さん、ありがとうございます」 「いやいや、水月もお前も俺たちにとっては家族だからな」 豪快に頭を撫でられる。 司令官の頭も撫でた後、「じゃあ後でな」と部屋へ戻っていった。 66 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:10:15
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「司令官、どうします?モグリさんに会いに行きますか?」 「…」 力なく首を振る。 やはりまだ大丈夫ではないようだ。 67 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:11:41
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

再び扉がノックされる。 「提督、青葉、私だ。入るぞ」 扉を開けて入ってきたのは長門さんと隼鷹さん。 長門さんの手には小さなお皿が載っている。 68 #落ちぬい二次

2015-02-14 23:13:10
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