世界主食&おかずタッグトーナメント。世界中の主食とおかずを集め、最も優れた組み合わせを競うという、溢れ出るカロリーが熱気となり皆を包み込む一大格闘大会である。 その大会のイギリス代表選手・パンパパは選手控室でシャワーを浴びていた。
2015-02-17 13:45:48彼は主食軍団リーダーとしての看板を背負って大会に臨んだ。しかし、二回戦においてまさかの敗退を喫する。対戦したギュウニクーンとポテトーンは想像を絶する強敵であったのである。
2015-02-17 13:46:08主食であるはずの穀類が肉類に従属するという戦闘スタイルは大いに物議を醸し、大会出場規定に抵触するのではとの声も少なくなかった。だがパンパパはそのようなことは意に介していない。現に、決勝戦ではあのパップがギュウニクーンの猛攻を受けきってついにはこれを下したではないか。
2015-02-17 13:46:35パンパパの意識は偏に、自らの力不足への反省と嘆きで溢れていたのである。 「いけませんね、こんなことでは……」 ぬるいシャワーを頭から被りつつ、パンパパは自嘲気味に呟く。パンでできた身体は水分を吸い、さながらぐずぐずと崩れ落ちてしまいそうな心をそのまま表していた。
2015-02-17 13:46:56「パンパパ、まだここにいましたか」 「……ハムーン」 浴室の扉が開く音の後、パンパパのそれに一層輪をかけて低く響く声で語りかける者がいた。パンパパは振り返ることもなくそれに応じる。
2015-02-17 13:47:26ハムーン。薄切りハムのおかずかいじゅうであり、また本大会におけるパンパパのパートナーである。絶妙な塩加減と脂の旨味を活かした戦いを得意とし、パンパパとの付き合いはお互いにはっきりとは覚えていられないほどに長く、濃いものであった。
2015-02-17 13:47:39あの時、牛肉の肉汁を包み込むような機転をみせていれば。肉と付け合せの芋にトーストプレスを決めてハンバーガーにできていたなら。彼のやりきれなさは、長年の相棒を前にしていよいよ強まっていた。
2015-02-17 13:48:10俯くパンパパ。鈍色の口髭から、水滴が零れ落ちた。 「ハハッ、そう言わないでください。それならば私も純粋に肉類としての力がギュウニクーンに及ばなかったのです。豚と牛、その覆しがたい差がありました」
2015-02-17 13:48:22ハムーンはパンパパの心中を察し、努めて明るく応じる。パンパパはパンらしく、一度責任感という水を吸いこんだら際限なく吸い込んでいつか崩れてしまう。そこに油を入れて水を弾いてやるのがハムとしての仕事だと彼は自負していたし、実際にそうしてずっとやってきたのである。
2015-02-17 13:48:38「ありがとうございますハムーン、しかし私は今よりも強くならなくてはならないのです」 「……それは、パンママ殿とパンジュニア殿のため、ですか?」 「はい、国に残してきた妻子に、こうまでもみっともない姿ばかり見せるわけにはいかないのです」
2015-02-17 13:48:52その言葉を聞いた瞬間、ハムーンの中に言い表しえぬ昏い澱が満ちていく。 子供がこんなことをできるようになった、妻とこんな所へ行った。ハムーンにはパンパパの幸せな家庭の様子がよく報告されていた。勿論それは完全な善意からのものであったし、ハムーンもしばしば助言などを送っていた。
2015-02-17 13:49:21しかし、そうした細やかながら暖かい日常の裏で、ハムーンの情念の猛りは次第に巨大なものとなっていったのである。 「勿論家族のためだけではありません。主食軍団リーダーとしての責任もありますし、パートナーである貴方への責任もあるのですから」
2015-02-17 13:49:36嗚呼、やっぱりだ。ハムーンは悟る。私は、彼の一番ではないのだ、と。 パンパパの幸せこそが自分の幸せ、彼の平穏が保たれるならば自分の思いなど。ハムーンはそう思っていた。いや、そう思いたかった。
2015-02-17 13:49:57だが心の内側から染み出す、脂のように粘りつく黒い願望がそれを許さなかった。パンパパの幸せがあっても、なぜその隣に自分がいないのだろうと思ってしまった。妬んでしまった。嫉んでしまった。 ハムーンは静かに、徐々に、狂っていったのかもしれない。
2015-02-17 13:50:09「……それでは、一つだけ私のお願いを、聞いていただけますか?」 ハムーンの黒々とした口髭の端が持ち上がり、不均衡に歪む。 「えぇ、私もこのままでは気が収まりません。何でも言ってください」 「……後ろを、向いていただけますか?」 「ん?はい、わかりました」
2015-02-17 13:50:22怪訝そうな面持ちながら、言われた通りパンパパはハムーンに背を向ける。 ハムーンの片眼鏡が水滴からの反射を受け、鋭く光った。 「ありがとうございます……では、頂きます」 ハムーンは薄い身体をパンパパに密着させ、背後からパンパパの陰茎に手を伸ばした。 「んぅっ?」
2015-02-17 13:50:52亀頭に脂ぎった指が絡み、思わず上ずった声を上げてしまう。 「ハ、ハムーン、これはいったい……」 「貴方が言ったのですよパンパパ、何でもと」
2015-02-17 13:51:05ハムーンの腕はその大部分が油脂で形成されている。ときにリズミカルに、ときにわざと焦らすように陰茎を玩弄するその手自体が潤滑油の役割を果たしていた。
2015-02-17 13:51:20身体にそぐわぬ大きさを誇るパンパパのペニスは、持ち主の意思を知ってか知らずか、強まる拍動と共に血液を集め、蛇の如く鎌首をもたげた。 「おやおや、付け合せにずいぶん立派なソーセージを隠しておいでで?」 パンパパの耳に吐息がかかるよう、ハムーンは彼の耳元で湿った声を出す。
2015-02-17 13:51:57無論、この間にもパンパパの亀頭を撫で摩る指の動きは一向に止まる様子を見せない。硬軟織り交ぜたハムーンの責めにより剛直はかつてないほどの怒張を見せて大きく脈打ち、まさにその先端は真っ赤に充血してパンパパパンパンであった。
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