ひなこ
@ak_hinako
物思いに沈む菊の前にアーサーが立つ。少し躊躇う気配があった。「まあ、その、あれだ。…形見なんてもんが無くても、俺は沈んだ艦のことは忘れねえよ。そこまで薄情じゃない。あまり俺を見縊るなよ。それに……またいつか会えるからな」「…え?」見上げると、照れたような、不機嫌そうな顰めっ面。
2015-01-15 01:10:28
ひなこ
@ak_hinako
「俺はな、本田。秘書艦にするのは『駆逐艦本田菊』だけだって決めてんだよ。これまでもそうだったし、これからもそうだ。何人目だって関係無い。お前が『本田菊』として生まれて、こうやって俺の所に来てくれた。ーー大事なのはそれだけだ」迷いながら、選びながら紡がれる、その思いに胸が震える。
2015-01-15 01:54:02
ひなこ
@ak_hinako
「提督、もし私が沈んだら」「縁起でもないことを言うな」「例えばの話です。もし私が居なくなったら、寂しいですか?」「当たり前だ」「また会えるのに?」尋ねると、心底嫌そうな顔をする。「…俺のドロップ運と建造運の無さを知ってるだろう」
2015-01-15 02:03:43
ひなこ
@ak_hinako
お前に出会うまで俺がどれだけ苦労したと思ってる、と覚えのない恨み言まで聞かされて、哀れを誘うその声音に思わず苦笑する。「じゃあ次は、あまりお待たせしないようにします」「…期待しとく」面白くなさそうな顔で答えると、アーサーは菊にソファへ座るように言った。
2015-01-15 02:14:02
ひなこ
@ak_hinako
「その釦、付け直してやる。秘書艦の服装が乱れたままなのは感心しないからな」意外に器用な指先が動くのを見ながら、菊は気になっていた事を思い切って尋ねてみる。「提督、その…一人目の私は、何と言っていましたか?」それが『いつ』の事を指すのか。理解した上で、アーサーは手を止めずに笑った。
2015-01-15 02:42:01