【朝菊】カークランド提督と駆逐艦本田菊の話

ひなこ @ak_hinako

にほんさんが性的すぎてつらい。。。秘書艦にして執務室で思う存分さわさわしたい。。。

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被弾ボイスは「くっ…不覚…！」「なんのこれしき！」あたりでよろしくお願いします。

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刀は折れても心の刃は折れませんとか訳わからんことぬかして大破進撃しようとするお爺ちゃんの襟首引っ掴んでひん剥いてお風呂にぶち込むアーサー提督の手際の良さだよ…

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アーサー提督は一度本田さんを轟沈させたことがある。あの子達だけで出撃するのは心許ないでしょうって言って引率役を買って出たんだけど、弱い艦を庇って回るからダメージ蓄積していって敵の爆撃機に集中砲撃されてあっさり撃沈。茫然と最期の言葉を聞くアーサー提督。夏の日の、初めての失艦。

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その後取り憑かれたように本田掘りに明け暮れるんだけどレア艦というわけでもないのに全然出会えない。これは海の底であいつがまだ俺を許していない証拠だ俺の失策を詰っているんだと悔やんで悔やんで戦術の指南書を読み漁って昼は出撃して夜は籠って勉強して、いつの間にか大将になってるアーサー提督

ひなこ @ak_hinako

執務室で仕事してるうちに寝ちゃって、久しぶりに本田さんが笑ってる夢を見る。起きたら外は真っ暗。そういや建造中の艦はどうなったかなってドックにふらっと顔出したら妖精さんがおろおろしてる。「どうした、新しい艦ができたんだろ？」「それが…大型建造なのに駆逐艦が来ちゃったみたいで…」

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大型レシピ回したのに駆逐艦かよ、まあレア艦のどれかだろうなって考えながらドックの中に入ったら見たことのある艦影。まさか って緊張してるアーサーの背中に掛かる声。「提督、お待たせいたしました。駆逐艦 菊 着任しました」白い息を吐いて佇む姿に「待たせすぎだ、ばか」って呟いて顔を伏せる

ひなこ @ak_hinako

すぐに秘書艦にして装備整えて戦いの心得を説いて最後に応急修理女神持たせようとしたら「そんな貴重なもの頂けません、別の艦に付けてあげてください。ただでさえスロットが少ないのに…」って困惑顔で言うからなんとか宥めすかして説き伏せてお前のためじゃなくて俺のためだ！って必死な提督。

ひなこ @ak_hinako

「もう二度と、別れの挨拶なんて聞きたくないからな」

ひなこ @ak_hinako

カークランド提督は戦術のセンスはあるけどあんまり艦娘自身のことは考えてなくて捨て艦戦術にも肯定的な提督だったから鎮守府に着任する時に誰も秘書艦になりたがらなかった。噂が噂を呼んで冷血人間だの鬼の提督だの深海棲艦の方がまだマシだの言われて孤立状態。

ひなこ @ak_hinako

そんなアーサーに唯一心を寄せたのが駆逐艦本田菊で、兼ねてより貴方様の提唱される海上防衛術にはいたく感銘を受けておりましてって興奮気味に捲し立てられて、最初はぽかんとしてたアーサーだけどじわじわ嬉しさが込み上げてきてお前がどうしてもって言うなら秘書艦にしてやっても良いぞッて顔真っ赤

ひなこ @ak_hinako

だけど本田さんはこんな旧型の駆逐艦を秘書艦に据えていたら提督が笑われますって戸惑い気味で目線をうろうろさせる。その顔をじっと見つめて「俺が聞きたい返事は一つだ。俺の秘書艦になりたいか、なりたくないか、どっちだ」って尋ねて、それに本田さんは背筋を伸ばして「なりたいです」って答える。

ひなこ @ak_hinako

冷血人間とかなんとか言われてたけど実際の作戦でカークランド提督が捨て艦戦術を使ったことはない(損失に対する利益次第だと冷静に計算している)し、メンテナンスもまめにする。大破進撃なんて以ての外で、戦意高揚して進撃しようとしてる秘書艦の頭はたいてこの馬鹿帰還しろっつったろ！って怒る。

ひなこ @ak_hinako

執務室は英国風の内装だけど提督の机にはよく緑茶が置いてある。休憩の時はアーサー自身が紅茶を淹れて、そうすると何故か金剛が飛んできて三人で一緒にティータイム。戦艦金剛は菊のことが大好きで一緒に出撃もしたいし遊びたいしこのサイズが可愛いデース！って抱き締めて小破させてダディに叱られる

ひなこ @ak_hinako

出撃はスマートに、遠征は首尾よく進めるカークランド提督。羅針盤に愛されているように見えるが実は羅針盤妖精の弱味を握っているのだと専らの噂。一度菊の誕生日(就役日)に執務室を純和風に改装して畳とコタツを置いてやったら涙目でいたく感激されたのでそれ以来冬場は和風の内装に変えている。

ひなこ @ak_hinako

ある日の夜遅くに軍部の会合から帰ってくると執務室のソファに菊が座ってうたた寝してる。テーブルには夜食のおにぎり。保温瓶にはあったかいスープ。待っててくれたのかと嬉しいような切ないような気持ちになって、でも次の瞬間眉を寄せて菊を起こす。「おい起きろ、なんで髪濡れたままなんだよお前」

ひなこ @ak_hinako

タオルでわしわし黒髪を拭いてやったらさすがに目を覚ましておかえりなさい提督、ってほっとしたように綻ぶからどうも調子が狂う。「髪くらいきちんと乾かせ」「すみません提督。後がつかえていたので急いで出てきてしまいました」「お前も出撃したのか」「ええ。まだ戦闘に慣れてない子も居ますし」

ひなこ @ak_hinako

それから提督が不在時の鎮守府の様子やら戦果やらを報告して、それでは失礼しますって退室しようと立ち上がった秘書艦の腕を掴んでアーサーが低く言う。「明日の出撃は無しだ。お前今日休み無しに出撃したな」「燃費は良い方ですのでご安心ください」「そういうことを言ってるんじゃない」

ひなこ @ak_hinako

「私は駆逐艦なので」ぽつりと菊が言う。「戦艦や空母にはとても敵いません。提督の隣に立つにはあまりにも小さい艦(ふね)です。だからせめて強くなりたいのです。提督の横に並んでも恥ずかしくないように。たとえ体が小さくとも提督をお護りできるように」黒い瞳は凪いでいた。夜明けにはまだ遠い。

ひなこ @ak_hinako

『………魚雷着弾船底ヨリ浸水……タービン停止、推力10ノット…低下…傾斜三十度……報告……自力ノ航行モハヤ不可能……左舷ヨリ艦影接……二十秒后敵主砲ノ射程…ヨリ…本艦ハ回頭ニテ遮蔽シ……本隊旗艦ヲ護衛セ………』 ザッ ザザッーーーー・・・ プツ。

ひなこ @ak_hinako

決して悪い作戦ではなかった。陣形は此方に分があり、慣れた海域であれば海流も読み誤ることはない。けれど敵の護衛艦が偽装空母だと判った時には既に遅く、頭上からは次々と砲弾が降り注ぐ。旗艦の甲板に出て爆風に晒されながらアーサーが見たのは、駆逐艦本田菊が敵の主砲を受け撃沈する光景だった。

ひなこ @ak_hinako

もう長いことカークランド提督には秘書艦が居ない。執務室には相変わらず金剛が紅茶を強請りに来るけれど、元気が取り柄な彼女さえどこかぼんやりとしていて、鎮守府全体が初めての失艦を悼んでいた。菊は何も遺さなかった。折れた刀も貰った装備も全て抱えて沈んでしまった。だから何もなかった。

ひなこ @ak_hinako

菊が撃沈した辺りに何度も出撃しては青白い深海棲艦の中に彼が居ないか探し、ドロップ海域をしらみつぶしに当たっては空振りに肩を落とす。本当は分かっている。菊は深海棲艦になんてなっちゃいないし、新しく海の上で出会うこともない。自分を轟沈させた提督の顔なんて、もう二度と見たくないだろう。

ひなこ @ak_hinako

そっからめちゃくちゃ戦術の勉強してめきめき腕上げて階級が上がって資材貯めて保有艦数も増えて鎮守府が賑やかになって、時々秘書艦になりたいと言ってくる艦娘(主に提督の食生活を憂いて)も居るけど全て首を振って必要ないと答えるカークランド提督。執務室の机にはいつも菊の花が飾ってある。

ひなこ @ak_hinako

それからしばらくして昼間に呟いてたみたいに大型建造回したらなぜか本田さんが来てくれて、勿論最初の本田さんではないからアーサーのことは知らないんだけどやっぱり同じ本田菊だから何もかも懐かしくて感極まって息を詰まらせる。私の提督はどうも精神が不安定のようだと菊は思ったとかなんとか。