兼定ふたりが手動でわちゃつくだけ

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和泉守「いやでも歌仙」 歌仙「何かな」 和泉守「それ九日まではよくても十日で三百十になるから一日ひとりじゃ追いつかねーぞ」 歌仙「……計算ごとは苦手でね」

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歌仙「ところで今日は弟の日でもあるらしいよ」 和泉守「お、おう」 歌仙「弟の日でもあるらしいよ」 和泉守「そうか」 歌仙「弟の日でもあるらしいよ」 和泉守「何が言いたい」 歌仙「頭が高いぞ」 和泉守「……ひとの頭撫でる前口上がそれってどうなんだよ」 歌仙「ふふ」

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歌仙「今日遠征に行っていた皆、お疲れ様。ところで先日教えてもらったところによると、今日は雅の日だそうだ。雅な振る舞いを忘れないように。遠征は帰るまでが遠征なのだからね」 和泉守「二代目ー、今日の飯は」 歌仙「鰤大根と白菜の浅漬け。大人しくまっていなさい」

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歌仙「僕は歌仙兼定、風流を愛する文系名刀さ。新しく主になったみんな、よろしく。雅な指揮を心がけておくれ」 三日月「ふむ、さあばあとやらは抽選制ではないのか？　鎮守府はそうだと」 和泉守「じーさんはちょっと黙っとこうな」 三日月「はっはっはっは」

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歌仙「ここで一度はっきり言っておこう」 和泉守「どうした改まって」 歌仙「名前は小さい癖に大きい狐と太閤殿に愛された風流な名前の御物の太刀を出した新しい主は許さない」 和泉守「そうやって殺気立ってるからうちに来ねえんだよ！」 歌仙「さあ、墨俣に行こうか」 和泉守「わぁったよ！」

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鶴丸「実況のびっくり鶴丸と」 青江「にっかり青江が本丸よりお送りします」 鶴丸「さて。ばれんたいんでえにちょこれえとを貰った和泉守、三倍返しを要求され悩みに悩んだ挙句にぱいを歌仙の顔面に叩き込む暴挙に至ってこいつは驚きだぜ」 青江「若い子って思いつめるととんでもない事するよね」

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青江「あのぱいは和泉守の自作だよね、燭台切に手伝わせてた」 鶴丸「殆ど光忠が作ってたけどなァ……和泉守にしちゃ上出来だったのに。おおっとここで遂に歌仙が和泉守を拿捕！」 青江「そして見事なパイルドライバー！　流石文系！　体格差をものともしないね！」

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鶴丸「頭揺らされた和泉守が抵抗できないうちに寝技に移行したな」 青江「腕ひしぎ十字固めだね、流石風流技のセレクトがえげつない」 鶴丸「これには和泉守も声さえ出ないか、解説の大倶利伽羅よ、これをどう思う？」 倶利伽羅「助けてやれ」

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鶴丸「助けに行った大倶利伽羅に変わって通りすがりの江雪と小夜の坊主」 江雪「和睦の道は……ないのでしょうか」 小夜「でも江雪の兄様、食べ物を粗末にするのはよくないよ」 江雪「……しかるべき罰も……和睦に至るには必要なことです……」 青江「ここでキャメルクラッチに移行したよ流石雅」

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鶴丸「ここでやっと堀川の登場だぜ。大倶利伽羅と堀川二人がかりで宥められちゃあさすがの歌仙も鎮まるか」 青江「というか和泉守君顔色死んでない？　あれ生きてる？」 江雪「……ぽっくり兼定」 小夜「にいさま」 鶴丸「江雪」 青江「江雪さん」 江雪「お忘れなさい」

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歌仙「……全く、酷い目にあった」 太郎「……そ、その、言いにくいのですが、酷い目にあってたのは和泉守殿では……」 次郎「兄貴それ言っちゃ野暮ってもんよ」 太郎「野暮なのですか」 歌仙「野暮さ。……おや」

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次郎「ん？　どうしたのさ歌仙」 太郎「……梅の枝？　文が結ばれているようですが」 歌仙「……」 次郎「やっだ歌仙もしかして恋文？　恋文？　この次郎さんに見せてみなって！」 歌仙「……全く、男ばかりの本丸で恋文も何もないだろう。そんなんじゃないよ」

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次郎「じゃあ見せてくれていいじゃないのさー」 太郎「次郎、文を見たがるなんて、はしたないですよ。それに、多分、そうですね、……野暮というものです」 次郎「ふーん？」 歌仙「二人とも、そのあたたかい笑顔をひっこめないと、肴作る約束無しにするよ」 次郎「やだごめんごめんって！」

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次郎「今日は歌仙も飲んじゃいなよ、明日非番でしょ？」 太郎「私一人で次郎に付き合うのも大変ですから」 次郎「兄貴ひどい」 歌仙「ふふ、遠慮しておくよ。この手紙の差し出し人に雅のなんたるかを教えなければならないからね」 次郎「じゃあ仕方ないねえ、また飲も！　おつまみありがと！」

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「字もなっちゃいないし料紙が梅にあってないし、……そもそも『いつもありがとう』なんてねえ、こういうものは口に出してこそだよ、全く。うちの愚弟は、つくづく風流を解さない」

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蜂須賀「」 和泉守「」 堀川「」 安定「」 清光「」 歌仙「わかった、わかったから落ち着いて、まとわりつくのをやめなさい、わかったから、みんなで二人を探そうね。あのねえ、重い、和泉守重い。のしかかるな。全員嬉しいのはわかったから抱きつくんじゃない」

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蜂須賀「別にあんな男が来ても嬉しくもなんともかんとも」 歌仙「はは、見なさい、蜂須賀君が混乱しすぎて青江の首を絞めてる」 安定「素直になればいいのにー」 清光「ねー」 堀川「ですよねー」 和泉守「青江……いいやつだった」 陸奥守「ほのぼのしとらんで助けたらんか！　青江、青江ー！」

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陸奥守「まっことめでたい」 青江「喧嘩になりそうなんじゃないのかい」 陸奥守「確かに御維新でこっち側だった連中も早うとは思う。が、ダチが兄弟に、同僚に、やっと会えるんを喜ばん男はおらんきに」 和泉守「陸奥守」 蜂須賀「君いい男だったんだね」 陸奥守「がはは！気付くんが遅いぜよ！」

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歌仙「さて、早く寝なさい、明日から大変だからね。寝ない子は首を差し出してもらうよ」 安定「はーい！　おやすみ歌仙さん」 清光「おやすみ！」 蜂須賀「別に俺は」 陸奥守「諦めえ顔がにやけとる」 堀川「兼さん！」 和泉守「おー、おやすみ」 歌仙「はいはい、おやすみ」