メモ・ブラック企業の対抗策…解雇規制と人事権の取引から、仕事の「限定」へ転換を

ブラック企業が蔓延するいま、若者はどこにその解決策を見出せばいいのか。一部に、解雇規制緩和による労働市場の流動化を叫ぶ人たちがいる。しかし、そこで彼らが致命的に見過ごしているロジックこそが、ブラック企業をブラックたらしめてきたといえる。 これまで日本では、整理解雇規制を大企業男性正社員に対してはそれなりに強め、終身雇用で雇用を保障させてきた。その代償として、経営側に日本独自の「人事権」を与え、転勤だろうがサービス残業だろうがパワハラだろうが、仕事において無限の指揮命令権を認めるという「ルール」の「取引」をした。これが解雇規制緩和論者の多くが黙殺している現実であり、同時に労働運動側も踏まえなければういけない現実である。 続きを読む
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坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

あと、中高年正社員ですら雇用保障があるかどうか不安定ですし、一方、若年正社員の間で「ブラック企業」が話題になっていることも、年功賃金を転換する契機につなげられると思います。「既得権」すら揺らいでいる今、対立ではなく、どういうオルタナティブへ誘導できるかが重要です。@T_akagi

2010-12-03 12:31:46
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

労組改革のためにも、職務を限定するジョブ型の正社員への転換を目指すことが重要です。まずは、「同じ仕事」という共同性の基盤がなければ、企業や雇用形態を超えた労働者の連帯は抽象的な啓蒙に終わってしまいます。職務給的な方向については、財界や政府からも議論されてます。@T_akagi

2010-12-03 12:33:25
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

安直な解雇緩和論の結果は、赤木さんも言う「従順に働く」(雇用保障もないのに…)若年労働者です。得するのは彼らを使い捨てる企業。敵対のラインを引くべきはそこでは?労働の範囲を限定し、やらなくてよい仕事、労働者の権利を明確化する。それが労働市場改革の大前提の一つです。@T_akagi

2010-12-03 12:41:13
赤木智弘 @T_akagi

.@magazine_posse まず最初に「では、解雇規制撤廃論者は、社会保障や職務限定、労組の強化などを唱えてきましたか?」とのことですが、持たざる解雇規制撤廃論者の要求を、持っている側がそうした論理で否定するのは、社会的立場を利用した脅迫です。(続く)

2010-12-04 08:38:56
赤木智弘 @T_akagi

.@magazine_posse (続き)「女性は働こうとしないから、社会的立場が低いままなのだ」と、女性の人権を積極的に認めようとしなかったかつての日本社会と同じ論理です。要求に対してそうした論理を返す限り「共闘」など不可能でしょう。

2010-12-04 08:39:17
赤木智弘 @T_akagi

.@magazine_posse 社会保障の強化は「欧州並の」企業による社会保障費負担によって。職務限定はワークシェアによって、企業に人が多くなることによって。労組の強化は、労組自ら、積極的に時代にあった労働のありようを提案することによって強化されるでしょう。

2010-12-04 08:44:59
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

そのとおりです。だからどっちも矛盾した論理です。そして、従来の大企業男性正社員に特権はあったでしょう。しかし、いまの若年正社員には周辺的正社員が増え、その特権は融解しています。その打開策をかんがえたとき、正規・非正規での対立軸は不毛だと思うんです。RT@T_akagi 持たざる

2010-12-04 08:52:59
赤木智弘 @T_akagi

.@magazine_posse 若者を使い捨てる状況というのは、決して安直な規制緩和によるものではなく、「どのような働き方が、低成長の社会にふさわしいか」というビジョンを、労使双方がまったく提示できていないからです。

2010-12-04 08:56:12
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

ちなみに、私が批判している解雇規制緩和論者って、赤木さんを想定していません。かつ、企業別組合を擁護するつもりもございません。うちに労働相談に来る方には、組合に断られた方が少なくないです。「だから」、非正規や周辺的正社員の運動が持つべきビジョンを提案したいんです。@T_akagi

2010-12-04 08:58:53
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

労働時間短縮とワークシェアは、共闘の重要なポイントの一つですね。さらに、年功賃金の転換と社会保障強化が加わることで、職務にもとづく同一労働同一賃金を志向できるんならいいと思います。日本版ワークシェアで単に正社員賃下げ&非正規増やすだけ…というのを懸念してるので。@T_akagi

2010-12-04 09:05:11
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

この論点が赤木さんと違うのかな…「安直な規制緩和」は正社員になった若者の使い捨てを増やすと思いますけどね。いまでも、非正規も容易に切られますが、正社員に就職したと思ったら試用期間で切られたとかの新卒切りや、労働条件悪化で退職に追い込まれるケースが増えています。@T_akagi

2010-12-04 09:17:30
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

濱口さんブログで『POSSE vol.9』の紹介その2。引用部分長いなあ。まあUSTで配信したところだしね。続きはぜひ本誌をお読みください! http://bit.ly/fRKt5p しかし、ものすごい紹介のされよう。ありがたいです。

2010-12-13 23:55:38
うえしん @ueshinzz

ものすごく納得。ブラック企業が生れたのは終身雇用の見返りがなくなったから、その実体がブラックとして浮き上がったということ。 / 『POSSE』第9号から: EU労働法政策雑記帳 http://htn.to/4u9yGD

2010-12-13 23:37:16
うえしん @ueshinzz

濱口さんがいうには終身雇用の見返りがあったから、たとえブラックな働き方をさせようと問題にならなかった。しかし終身雇用がなくなり、長期的な見返りが返ってこないのにブラックな働かせ方だけが日本人の労働規範としてのこった。終身雇用のメリットがなくなったのにブラックな労働だけが残った。

2010-12-13 23:42:03
theophil21 @theophil21

先日、判例体系労働法版の改訂作業を行ったが、最新の裁判例に現れた顕著な傾向は、メンタルヘルスの破壊とブラック企業の跳梁。明日の見えない不安の中で酷使されて精神に失調をきたした労働者の労災訴訟、17歳の少年が建設現場に派遣されて非合法高所作業を強制された事件(二重の違法)等・・・

2010-12-13 10:04:08
今野晴貴 @konno_haruki

野川忍さんのような一線の労働法学者をはじめ、おおくの人が、問題がメンタルヘルスの破壊にあることに気づき始めている。そして、こうしたメンタルヘルスの破壊は、過去の「きつい労働」とのアナロジーでは語ることができない。

2010-12-14 02:42:17
今野晴貴 @konno_haruki

なぜなら、従前の労働の「きつさ」が将来への代償として成り立っていたのに対し、現在の企業はそうした将来への保障は極力さけようとするからだ。これは、企業規模の大小にかかわらない、現代的な傾向だといってよいだろう。また、従前の中小企業とも異質な、時代的・歴史的な傾向だともいえる。

2010-12-14 02:43:59
今野晴貴 @konno_haruki

グローバル化・新自由主義化、というように、商品経済がさまざまな制約を乗り越え、本来の姿を取り戻しつつある。そうした状況では将来への保障など足かせにすぎない。しかし、そうした「足かせ」とは人間の生活・生存そのもである。だからこそ、経済的な自由には何らかの限定(かせ)が必要となる。

2010-12-14 02:45:49
今野晴貴 @konno_haruki

しかし、そうした「かせ」のあり方が、今日議論のまととなっているのだ。大きく分けると、「雇用保障」と「柔軟性」、「解雇自由」と「命令の制約」がそれぞれ組み合わせの類型となってきた。現在の日本企業は解雇自由と柔軟性の両者をとる。そこに、「ブラック」さの本質があろう。

2010-12-14 02:49:56
今野晴貴 @konno_haruki

だからこそ、いまこの「かせ」=限定(これは雇用の保障かもしれないし、何らかの命令の限界かもしれない)の論理をどのように再興するかが問題となっている。最近人事労務に頻繁に用いられるようになった、「限定正社員」という物言いは、こうした事の本質を言い当てているとおもわれる。

2010-12-14 02:55:00
今野晴貴 @konno_haruki

企業の側からすれば、ある程度「限定」(勤務地など)をすることで、優秀な人材を囲い込みたい。これは、労働者からしても歓迎すべきことである。しかし、企業はそうした条件を出す代わりに、もちろん雇用保障の削減を企図している。これを、「企業本位」とだけ見るべきだろうか?

2010-12-14 02:56:23
今野晴貴 @konno_haruki

私見だが、労使の妥協のあり方を考えたとき、労働者から見れば、そうした妥協が対極的に見て、より社会の民主化に資するものであることが重要だろう。もしそう考えるのであれば、この「限定の論理」の土俵には、少なくとも乗るべきだ。

2010-12-14 02:57:37
今野晴貴 @konno_haruki

今、無限の指揮命令(雇用保障なし、過酷な命令)の下で、メンタルヘルスの被害が増えているのであれば、まずはこの状況を覆さなければ労使関係そのものがなりたたない。さらに、なぜこんなにも命令権が強いのかといえば、「雇用保障」へのこだわりから、その制約を無視してきたからだ。

2010-12-14 02:58:48
今野晴貴 @konno_haruki

結果として、強い指揮命令件は、「パワハラ」の境界を広げ、雇用保障をも脅かしている(退職強要・指揮命令権の濫用)。だから、限定原理に乗ることは、実は今労働側が可能な唯一の戦略的視座のように思えるのだ。雇用保障要求やベースアップにこだわっていても、打開策は見えない。

2010-12-14 03:00:39
今野晴貴 @konno_haruki

さらに先に進むと、ではなんでも「限定」ならよいのだろうか? 確かにそういうわけではない。理想的には「連帯の限定原理」である職務がよいだろう。これは雑誌『POSSE』9号にもかいたところである。しかし、単純に職務を主張すればよいというものでもあるまい。なぜなら、実現性が低い。

2010-12-14 03:02:07