3年後の再考・陸前高田の松の薪と京都五山の送り火

このブログ記事の内容は上の@LenyIza さんと@foxtailsoup さんのツイートの裏付けになるのものですが、残念ながら2015年2月27日現在重要な引用先がほとんどすべてリンク切れしてしまっています。
引用資料の中で最も情報量が豊富な「京都府と岩手県陸前高田の送り火偏向報道問題まとめwiki」の内容は、以下の2件のブログ記事に転載されて残っていました。
「京都府と岩手県陸前高田の送り火偏向報道問題まとめ①」
http://ameblo.jp/x340/entry-10984752781.html
「京都府と岩手県陸前高田の送り火偏向報道問題まとめ②」
http://ameblo.jp/x340/entry-10984791377.html
ここでは発案者の福井のボランティア団体と大分の人形作家の実名がわかり、京都の人たちは発案者に振り回されたあげくにマスコミに叩かれて全国から誤解を受けたという話の流れになっています（誤解の具体例は②の最後にまとめられています）。もっとも「京都の大文字の送り火の灰はご利益があるとされ、薬のように実際に飲用する事もある」という事情もあるそうで、陸前高田の松を燃やすことに対する抵抗感の一部がこうした地元の風習にも由来していた可能性を頭のすみに置いておく必要があるだろうと思います。

（上に引用した市長の会見が非常に長い上、放射能検査結果が実数値で出ていないのでわかりにくかったため、追加情報を探しました）

（↑当時リアルタイムでつくられた膨大な網羅的まとめからの1ツイートです↓）

「次の検査」に持ち込まれたものは、京都市長の会見によれば「今回の薪は，屋外に長期間野積みにされ，また，泥もかぶっていたとお伺いしております。」というかなり扱いの悪いもので、これを表皮と内部に分けて別々に測定すれば表皮から検出されて内部からは検出されないのは当然です。実際の結果は「表皮に1キログラムあたり1130ベクレルの放射性セシウムを検出」でした。
市長は会見で「測定して検出されないことを前提に使おうとしていた」と繰り返し言っていますが、表皮と内部に分けて測って片方だけから検出される事態を全く想定していないように見受けられます。薪は元来木の皮を剥いだ状態で燃やされることを意識してさえいれば、「木の皮を剥いだ内部を測定して検出されなければ皮を剥いでから使う」と言明することもできたのではなかったでしょうか。使うと決めた場合、送り火の薪の灰が地元の風習で人の口に入る可能性があったことに関しては、この年に限り念のため灰を飲むのはやめるよう保存会その他関係者に要請する必要が生じるのは言うまでもありません。

余談ながら、一時公表されその後削除された陸前高田の松の分析結果は蛍光X線分析によるものです。この方法は試料にX線を照射し、これに反応して放出されるX線=蛍光X線のエネルギーや強度から原子核の周囲の軌道を回る電子の状態を知り、これをもとにどんな元素が存在するかを調べるもので、原子核内部の構造が異なる放射性同位体と安定同位体の区別はできません。従ってこの方法では放射性物質の存在証明にはなりません。放射性同位体を特異的に検出したければ、それぞれの性質に応じてγ線、β線、α線のいずれかを測定しなければなりません。

（3年経って、福島の八重桜が京都府庁に植樹されました）