知識と狂気の申し子 -黎明の頁-

リエットさん(@rsr28083)の書いてくださった、落ちぬい二次創作です。 今回は深海棲艦にまつわるお話の一つ。 彼女らの拠点地域、組織などのお話です。 ぜひお楽しみくださいませ! 続きを読む
1
前へ 1 2 ・・ 6 次へ
リエット @rsr28083

そんな親玉が深海棲艦に名を授ける・・・それも目の前のヲ級にはヨークタウン。かつての大戦、ミッドウェー海戦で赤城・加賀・蒼龍の日本海軍の主力航空戦力を沈めたアメリカ軍の正規空母の名をつけるとは・・・ #落ちぬい二次

2015-02-26 23:34:56
リエット @rsr28083

「不思議ですか?女王陛下が今になって我々に名前を授けることが」 「ん、まあ・・・って、我々?」 「はい、女王陛下は我々に名という意義を与えることを決められたのです。もちろん貴方様にも女王陛下は名を授けております。その名は、サウスダコタでございます」 #落ちぬい二次

2015-02-26 23:39:13
リエット @rsr28083

サウスダコタ・・・アメリカ軍の戦艦で度重なる不幸により『疫病神』のあだ名をつけられた艦。その艦名を親玉、もとい女王が自分につけた・・・なんだかあてつけに感じるのは気のせいだろうか? #落ちぬい二次

2015-02-26 23:41:54
リエット @rsr28083

「ふぅん・・・で、あなたは私に何の用で来たの?」 「はい、女王陛下が我々全員を居城に招集するよう発令を出されまして。私はサウスダコタ様にその命を伝え、居城へご案内するよう仰せつかった訳です」 「招集?全員?何のために?」 #落ちぬい二次

2015-02-26 23:45:41
リエット @rsr28083

思ったよりも規模の大きい命令だったことに驚き、彼女ーサウスダコタはヨークタウンに尋ねた。 するとヨークタウンは変わらず、意味ありげな微笑を浮かべたまま答えた。 「そうですね、分かりやすく説明しますと・・・我々に意義を与えるため、とのことです」 #落ちぬい二次

2015-02-26 23:48:23
リエット @rsr28083

「意義・・・?」 意味が分からず聞き返す。 しかし、ヨークタウンはそんなサウスダコタの様子を楽しむかのように微笑してきびすを返した。 「居城に行けば分かります、さあ、参りましょう?」 「ちょ、ちょっと!?まだ聞きたいことが・・・」 #落ちぬい二次

2015-02-26 23:50:31
リエット @rsr28083

「道中でよろしければお答えします。さあ、参りましょう」 そう言うや否や、ヨークタウンは海上に降り立ち、ゆっくりと遠ざかっていった。 「あ・・・はぁ、これが慇懃無礼ってやつかしら?」 不満を露わにしながらも、サウスダコタは後を追うために海上に出た。 #落ちぬい二次

2015-02-26 23:53:00
リエット @rsr28083

ヨークタウン。彼女はサウスダコタと同じ時期に生まれた、古参の深海棲艦で、初めから飛びぬけて強い力と知能を持っていた。ゆえに女王から直々の命令で大隊を率いて人類と戦い、海域の奪取に貢献し続けたらしい。 しかし、サウスダコタは今日の今まで彼女の存在は知らなかった。 #落ちぬい二次

2015-02-26 23:59:01
リエット @rsr28083

その理由は、ヨークタウンは日本・東アジア攻略には参加せず、日本から見てはるか東の方面の攻略・・・つまりアメリカ領海の攻略に当たっていたからだ。しかもそれは女王から直接の命を受け、ヨークタウン主導で行っていたというのだから驚きだ。 #落ちぬい二次

2015-02-27 00:03:03
リエット @rsr28083

その信頼に応え、実力が証明するようにヨークタウンは最初にハワイ島を占領。そこを拠点にアメリカを侵攻。北米、南米、幅広く攻め、確実にアメリカを追い詰めたという。 艦娘が生まれてなかった時代。アメリカ得意の物量戦力を次々沈めるのは爽快だったとヨークタウンは語った。 #落ちぬい二次

2015-02-27 00:06:28
リエット @rsr28083

だが、彼女の快進撃は終わりを告げる。 アメリカがこの地上で最も強く、最も恐ろしい兵器を持ち出して来たのだ。 それは・・・核兵器。 海上で、しかも人間相手でないことをいいことに、アメリカは禁じ手の核を惜しみなくヨークタウンたちの頭上に降らせ続けた。 #落ちぬい二次

2015-02-27 00:09:15
リエット @rsr28083

いくら装甲が厚く、特殊な力で身を護っている深海棲艦といえど、破壊の申し子には太刀打ちできず、ヨークタウンの部隊は核の光により次々と溶かされていった。果ては占領したハワイにも核は落とされ、そこで指揮していたヨークタウンも核に全身を焼かれたという。 #落ちぬい二次

2015-02-27 00:12:15
リエット @rsr28083

だが、彼女は核の力に耐えた。特殊な力を持った個体故か、何とか耐え、ハワイから単身撤退し、長いこと居城で回復に徹していたらしい。 「あの日、私は人間の本性というものに戦慄しましたよ・・・」 変わらず微笑を浮かべて言うものの、その声には重く粘ついた感情がにじんでいた。 #落ちぬい二次

2015-02-27 00:19:08
リエット @rsr28083

人間に戦慄を覚えた深海棲艦・・・それにサウスダコタは酷く刺激され、海上を滑りながらヨークタウンに様々な質問を投げかけていった。 対し、ヨークタウンはその様子に不快な感情一つ見せず、微笑のまま丁寧に答えていった。 #落ちぬい二次

2015-02-27 00:22:20
リエット @rsr28083

占領先のハワイに残された多くの電子端末から多くの知識を得たこと、アメリカにいたことと核の被害を受け長いこと療養してたため、艦娘との戦闘経験が無いこと、艦娘にやられ漂流したサウスダコタ配下の潜水艦を見つけ、そこから彼女のことを知ったことなど・・・ #落ちぬい二次

2015-02-27 00:26:44
リエット @rsr28083

しばらく霧の中を進んで行く二人。やがて、気配を感じ取り、二人は揃ってその場に止まった。霧の向こう側を眺める二人。すると眺める先にぼうっと大きな影が現れた。それは徐々にこちらに向かってきて、大きくなっていく。そしてその影の主が二人の前に姿を現す。 #落ちぬい二次

2015-02-27 00:34:35
リエット @rsr28083

それは巨大な艦だった。 全身、黒々と光っており、邪悪な怪物が大きな口を開けたような造形の艦首を見上げれば、船の上に幾つものビルのような建造物がそびえ立つのが見える。異様に禍々しい巨大な艦。これが深海棲艦の本拠地。彼女らを束ねる女王が居る居城だ。 #落ちぬい二次

2015-02-27 00:37:33
リエット @rsr28083

「・・・何か前来た時より大きくなってない?」 「さて・・・私はいつもここにいるので分かりませんが、最近改修や改造はしてませんよ?」 二人がそんな会話をしていると、怪物の口のような艦首が縦に真っ二つに割れ、両側にゆっくりと開いていく。 居城の入り口が開いたのだ。 #落ちぬい二次

2015-02-27 00:40:55
リエット @rsr28083

「では、参りましょうかサウスダコタ様。女王陛下がお待ちです」 「はい、分かったわよ」 二人は怪物の如き艦の中へ入っていった。 #落ちぬい二次

2015-02-27 00:43:13
リエット @rsr28083

おどろおどろしい外見とはうらはらにしっかりと設計されている居城のなかは深海棲艦でごった返していた。戦艦・空母・軽空母・重巡・軽巡・雷巡・駆逐艦と、将兵から雑兵に到るまで居城の中は彼女らで埋め尽くされていた。 #落ちぬい二次

2015-02-27 12:03:01
リエット @rsr28083

「まさか、全員集めたの?」 「はい、それが女王陛下の命ですので」 言葉も話せない動物程度の知能しかない兵卒まで掻き集めて、一体何をするつもりなのか。サウスダコタは女王の考えが図れず、訝しむ。 #落ちぬい二次

2015-02-27 12:05:39
リエット @rsr28083

「おや、ポートダーウィン様。このようなところでいかがなさいました?」 ヨークタウンの言葉にサウスダコタは視線を前に向けた。 すると、目の前に彼女にとって唯一親しみを持つある存在が立っていた。 #落ちぬい二次

2015-02-27 12:08:36
リエット @rsr28083

色素の抜け切った純白の肌に長髪に、輝く赤色の瞳。凹凸がハッキリ分かるプロポーションの上に縦縞の白いセーターを着た、美しくグラマラスな女性。しかし、額に鬼の如く長く鋭く生える角と鍵爪のように大きな両手が、彼女を異形のものであることを分からせている。 #落ちぬい二次

2015-02-27 12:12:22
リエット @rsr28083

「あら、あなた・・・久しぶりね!」 笑みを浮かべてサウスダコタは角の女に声をかける。 すると角の女は驚いたのか反射的に身体を震わせてこちらを見る。その後、大きく安堵し、穏やかな微笑を浮かべてこちらに近付いてきた。 #落ちぬい二次

2015-02-27 12:15:50
リエット @rsr28083

「こんにちはヨーク・・・それと、お久しぶりですね。貴女も招集されたのですか?」 禍々しい外見に似合わず、穏やかで丁寧な挨拶を二人にする彼女に、サウスダコタはうなずいた。 「相変わらずのようね。しばらくこっちに来なかったけど、どうしてたの?」 #落ちぬい二次

2015-02-27 12:19:29
前へ 1 2 ・・ 6 次へ