天叢雲剣譚【1-4】

天叢雲剣譚【1-4】です。大破状態ながらも、クルーザーの救出に向かった叢雲。そこで出会ったものは――。
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天叢雲剣譚 @sio_murakumo

「あれは……?」 目を凝らしてその姿を見つめる。 「!」 私は驚きのあまり目を見開いた。まさか―― 「叢雲さん?」 不知火の声もよそに私は空を見上げる。何処? 何処にいるというの? 幾度となく空を見回して、ようやく敵の姿を捉えた。 「まだよ! まだ敵の艦載機が残ってる!」

2015-03-12 03:00:28
天叢雲剣譚 @sio_murakumo

クルーザーの向こう、敵がいる場所から何機もの艦載機が私たちを目指して飛んで来ていた。不知火も慌てて同じように空を見上げる。 「本当ですね……一体誰が」 「気にしている暇は無いわ! 弾薬もぎりぎりだし、今の状態じゃ戦えない! 早くクルーザーを曳こうして、ここから離脱しないと……」

2015-03-12 03:07:37
天叢雲剣譚 @sio_murakumo

しかし、その判断をするには遅すぎた。敵の艦載機、そのうちの一隻が動きを変えたと思うと、クルーザー目掛けて急降下し始めたのだ。しかもその艦載機は大きな爆弾を抱えている。 「まさかっ……! させないわ!」 「叢雲さん!?」 不知火の制止を振り切って、クルーザーへと全速力で走り寄る。

2015-03-12 03:09:46
天叢雲剣譚 @sio_murakumo

今の私に敵の艦載機を落とす手段はない。それでもやるしかないのだ。痛む身体に鞭をうち、最大船速で一気に接近する。自然と槍を持つ手に力がこもった。 「ここまでみんな、無事に来たのよ……! 沈めるなんて、絶対にさせないわ!」 これで終わりにする、そう決意して私は水面を蹴った。

2015-03-12 03:10:13
天叢雲剣譚 @sio_murakumo

お願い、私の身体よ。最後まで持ちこたえて!

2015-03-12 03:10:20
天叢雲剣譚 @sio_murakumo

潮岬鎮守府の叢雲【1-5】へ続く

2015-03-12 03:10:38