- kinoboriyagi
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1)自然物か、人工物か
骨かどうか、以前にこれが問題。
丸くなって、一見かなり摩耗しているように見える。
骨の表面が削れると、中の骨組織が見えるはずだが……
ビーチコーミングで拾われたのを頂いた骨たち。左から哺乳類、鳥類、魚類。 pic.twitter.com/pgW7Lt6FiP
2015-03-18 22:10:57これはウシ(未確定)の骨。表面が磨耗して、中の骨組織が覗いている。 pic.twitter.com/zx1p8EFvTa
2015-03-18 22:12:46骨かどうか、この写真↓だけでは断定しづらい。
化石詳しい方いらっしゃいますか? 親がビーチコーミングで見つけたのだけど、大きさはイルカの耳骨の3.4倍くらい。鯨の耳骨とも違うし。県の博物館の方もわからないとおっしゃる。なんだろ。#化石 pic.twitter.com/xHT2hkjNyt
2015-03-17 15:34:25あまり摩耗していない骨か、すごく摩耗した人工物……形状からして碍子という可能性が考えられる。
私ははじめから骨説。
人工物が相当摩耗したと考えても元の形が歪であること、また形になんとなく見覚えがあった。
碍子だとしたら、冷たいし重いし滑らかだし、持ったら分かる。
拾った人はクジラの耳石という言葉がでてくるくらいだから、磁器性の碍子と骨の見分けは十分にできていそう。
そして、二枚目の写真で骨と確信した。骨組織が見えている。
2)どの部位か
関節であるのは確実。
なぜなら、滑車構造になっているから。
蝶番で止めたように前後に動くための構造で、しかもこれだけ深くくびれているとなると、相当強い力で動かせるはずだ。
ネコの膝関節。大腿骨の膝側が滑車のような形になっていて、前後に曲げられる。三枚目は膝関節を裏側から。 pic.twitter.com/u8D2OA0wOw
2015-03-18 22:36:55一方向に振り回すような動き方をするのは手足の骨。
a) 上腕骨の腕側
b) 大腿骨の膝側の関節部(上記のネコの骨)
c) 手根骨(しゅこんこつ/手のひらの骨)
d) 足根骨(そっこんこつ/足の甲の骨)
このへんが疑わしい。
そして前足と後ろ足なら、後ろ足のほうが強い力がかかりやすい。
というわけで骨の正体はさらに絞られる。
b) 大腿骨の膝側の骨端がぽろっと取れたの
(成長途中の若い個体だとわりとよくある)
d) 足根骨
3)何の動物か
ミカン大の足の骨。
自分の足首と比べてみると分かるように、かなり大きい。
ビーチコーミングで拾われたのならクジラの骨かも、という可能性もある。
が、同じくらいの大きさのミカンと同じくらいの重さだという。
クジラの骨にしては重すぎる。
ちなみにクジラの骨は発泡スチロール性かってくらい軽い。
強い力がかかる関節部の骨、すなわち持ち主は陸上で重い体を支えて走る動物、ということで、クジラの線は消えた。
日本に生息する大型の草食獣となると、かなり絞られてくる。
ウシ、イノシシ、ウマ、一応トドも入れておこう。
シカやヤギは足が細いので除外。
こっから先は、骨の写真をひたすら見比べるだけの簡単なお仕事だ。
「ウシ 大腿骨 骨端」でグーグル画像検索で調べていたのだが、結局ウマの骨の写真が見つかり、正解・’'d 足根骨'' に辿り着いてしまった。
ウマの距骨がよく似てるなー geocities.jp/taisekiya/diar… 「2005.12.17(SAT) 題名 鎌倉の海の戦利品」
2015-03-17 17:37:30私はウシの大腿骨の骨端(b)が摩耗した状況を想定していたので、実は不正解だった。くやしいです!
距骨ってどこの骨?
ウマの骨格図。ネコの爪で示しているのが肘および膝関節、イノシシの爪で示したのが手首および足首。たまに逆関節なんて言葉を耳にするけど、その場合膝だと見なされているのが実は足首で、関節の動く向きは我々と同じ。 pic.twitter.com/e9YgeYy4PQ
2015-03-18 22:49:27an atlas of animal anatomy for artists p.5 より。動物解剖学図譜アーティスト向け、みたいな。 RT ヤギ: ウマの骨格図。 pic.twitter.com/e9YgeYy4PQ
2015-03-18 22:55:49おう! そりゃ失礼しやした。 RT (アレ系の世界以外では逆関節が意味するのはぼメカの脚部パーツの種類やで)
2015-03-18 22:54:17同書p.24 イノシシの爪で示しているのが噂の距骨(キョコツ)。同じ足首の部位がいろんな角度から描かれている。これら足首らへんの骨は、まとめて足根骨(そっこんこつ)と呼ばれる。 pic.twitter.com/1eFa64syYs
2015-03-18 23:06:17ちなみにこの本、馬・犬・ライオン・牛・山羊、あと猫・猿・アザラシ・兎・ワラビー・モモンガ・コウモリの骨格図や筋肉図がモリモリ載っていて、2000円行かない。
ちゃんと動物を描きたい人にオススメできるお手頃価格。
以下蛇足
私はちょっと骨を見る機会が多いだけの、どこにでもいるごく普通の骨好きにすぎません。
骨って面白いかも、と思われた方には、ぜひ専門家の書いた本を読んで、骨越しに見えてくる奥深い世界を体験していただきたいです。
私の一押しの本はこちらです。
ヘビなんて利き手もへったくれもなさそうなのに、左利きのヘビってどういうことでしょう。なんだか不思議な話です。
著者の細氏による講演の動画を見てみて、気になったらぜひぜひ本も読んでみてください。
なまけっと特別講演「右利きのヘビと左巻きのカタツムリ」
講演者 細将貴 先生 http://video.fc2.com/content/20131116WTguZMSC/twU/
ちなみに、12月12・13日に京都で開催される「いきもにあ」というイベントでも、研究者による講演が予定されています。
生き物グッズの販売もあります。見に行くだけでも楽しいですよ!
いきもにあ公式 http://equimonia.jimdo.com/
ツイッター @equimonia https://twitter.com/equimonia
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