ミイラレ!:幼馴染と蛇神のこと♯2(原文のみ)

オカルト的存在に好かれる少年と退魔師の少女がなんかするお話。こちらは原文のみ。 実況付きはこちら→ http://togetter.com/li/797423
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

◇怪◇ドーモ、シカナです。これよりニンジャ関係ない一次創作【ミイラレ!】の投下を行います。TLがドバッとなりそうなので必要だったら #4215tk をミュート推奨。実況もこのタグにどうぞ。してくれると個人的に嬉しい。途中でニンジャが始まったら中断します。ではやる◇異◇

2015-03-20 18:57:04

これまでのおはなし:

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

【ミイラレ!:幼馴染と蛇神のこと】♯2 #4215tk

2015-03-20 19:00:14
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

『なんじゃ。妾のことまで忘れおったのか?』「いや、そんなことはないけど」呆れたような白蛇の物言いに、四季は頬を掻く。突如空から降ってきた幼馴染。空飛ぶ反物。それらに比べれば、その白蛇は彼にとってまだ馴染みのある存在だった。「朽縄さんだよね?」1 #4215tk

2015-03-20 19:05:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

正確には朽縄御前さま、だね」白蛇を首に巻きつけた怜が言う。「うちの神社で祀ってる蛇神さまだから、こう見えて結構格の高い存在なの」『こう見えて、は余計じゃぞ。怜』白蛇が抗議する。四季は感心して朽縄御前を見た。よく家を訪れていたこの白蛇が、神様だとは思わなかった。2 #4215tk

2015-03-20 19:10:20
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

そう。四季は何度もこの白蛇を見たことがある。気づいたら家の中に入り込んでいた、と言った方が正しいか。口を聞いた時もそこまで驚かなかった。人の言葉を喋る動物は彼にとってはそう珍しくもない。「そっか。朽縄さんならうちの話も知ってるなあ」3 #4215tk

2015-03-20 19:15:16
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

思わず得心する。からからと朽縄御前が笑った。『知っておるともさ。お主に限らず、あの家の者は不用心に過ぎるもの。放っておいても話は聞こえる』「怪異に話を隠すつもりはないよ。というか無理でしょ」『そうとも言うのう』会話を聞いていた怜が眉根を寄せた。4 #4215tk

2015-03-20 19:20:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「よくまあそんなのほほんとしてられるね……」「いや、これでも苦労はしてるよ。高校進学決めた時とか、説得が大変だったもん」「親の?」「いや、友達の」四季が苦笑する。怜がなんとも言えない表情で彼を見た。「変なところで度胸があるよね、四季は」5 #4215tk

2015-03-20 19:25:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「そう?怜もできるんじゃない?こういう怪異の力も借りてるみたいだし」四季は白い反物を軽く叩いてみせる。独力で飛行する布が、科学的なものとは思えない。故にこれも怪異なのだろうと彼は考えていた。怜の眉間の皺が深くなる。「怪異といえば怪異だけど」6 #4215tk

2015-03-20 19:30:15
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

『そいつ自体に意思があるわけではないぞ』「そうなの?その割には、怜の言うことちゃんと聞いてる気がするんだけど」割り込んできた朽縄御前に、四季は遠慮なく疑問をぶつける。白蛇は心なし自慢げに身を反らして見せた。『それは妾が力を貸しておるからよ』7 #4215tk

2015-03-20 19:35:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

首を傾げ、四季は視線で怜に解説を求める。彼女は小さく溜息をついた。「簡単に言うと、御前さまの分身を憑依させてるの」「朽縄さん、分身できるの?」「条件が揃えばね。今は私に憑依してもらって、私の力を元に分身を作り出す形になるかな」8 #4215tk

2015-03-20 19:40:25
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「……それ、怜は大丈夫なの?」眉をひそめ、四季は問いかける。怜は少しだけ目を丸くし、小さく吹き出した。「大丈夫だよ。伊達に今まで修行してきたわけじゃないから」「修行?」「うん。……あ、そっか。まずそこから話した方がよかったか」9 #4215tk

2015-03-20 19:45:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

怜が居住まいを正し、咳払いをする。そして真っ直ぐに四季を見据えた。「あのね、四季。真面目な話なんだけど」「うん」その真剣さに、四季は思わず唾を飲む。「あの日からずっと、私は怪異に対抗する術を学んできた」「……うん?」「今日から退魔師として四季を守る。よろしく」10 #4215tk

2015-03-20 19:50:13
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

四季は思わず怜を見つめ返した。彼女の表情は至極真剣だ。彼は額に手を当て、思考を整理する。退魔師とはなんだ。文脈からして怪異と戦う何かか。成る程、怪異がいるのだからそうした……職業?の人間がいてもおかしくはない。わかる。ここまではいい。11 #4215tk

2015-03-20 19:55:19
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「俺を守るってのはどういうことさ」目を開いた四季は開口一番そう聞いた。「その……これから行く高校って、都会だろ?そういうとこには怪異なんていないんじゃ」「考えが甘すぎる」ぴしゃりとした言葉に、四季は口を噤んだ。怜が呆れたように息を吐く。12 #4215tk

2015-03-20 20:00:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「怪異なんてどこにでもいるよ。そりゃあ、力の強い連中はあそこみたいな田舎にしかいないだろうけど」怜が言葉を続ける。その首元で、朽縄御膳が頷いて同意を示していた。「それでも、人に危害を加える怪異は都会にもいる。向こうに行って、そういうのに襲われたら困るでしょ?」13 #4215tk

2015-03-20 20:03:31
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

怜の言葉に、四季は何も答えられない。とても残念なことに、向こうにも怪異がいるとしたら間違いなく遭遇するのが目に見えているからだ。怪異を集める体質はともかくとして、彼自身は喧嘩の経験もないただの人間である。敵意のある怪異に絡まれたらなす術がない。14 #4215tk

2015-03-20 20:06:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「四季の体質は退魔師の間でも知られてさ。これは何か対策が必要だって話になってて」「待って。そんな評判になってるの?」「そりゃあ……天狗とか山姫とか、そういう精霊級の怪異を引き寄せる人間ってそうはいないしね」あっさりと同意の意見。四季は小さく肩を落とす。15 #4215tk

2015-03-20 20:14:24
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「だから対策の一環としてまず私が四季を守る。で、それでも寄ってくるであろう怪異は周辺の退魔師が対応する!そういう段取りになったから」「なったから、って。そんな勝手に決められても」『妾の管轄内で退魔師が下手に動くと、近隣の怪異を刺激しかねんからの』16 #4215tk

2015-03-20 20:15:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

四季は朽縄御前にしかめ面を向ける。『それにお主はまだ運のいい方じゃ。隔離しようなどどいう案も出ておったようじゃからの。退魔師の内では』「えー……」顔を歪める四季に、慌てて怜が口を開く。「そ、そういうのは一部の過激な奴だけだから!他の人たちはもっとまともだよ」17 #4215tk

2015-03-20 20:18:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「まあ、実際どれくらい怪異が騒ぎ出すかは向こうに行かないとわからないし。大したことがないようだったら、すぐにでも……四季?」怜が訝る。不意に四季が反物から身を乗り出したからだ。「どうかした?」「……いや。やっぱお世話にならなきゃダメそうだなって」18 #4215tk

2015-03-20 20:21:13
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

四季はすぐに頭を引っ込める。一拍遅れて、反物が揺れた。かろうじて反物を掠めて急上昇していった影が見えた。怜が厳しい顔つきで頭上を見やる。彼らの頭上で、人型の影が大きくその手を……否、翼を広げていた。腕の代わりに生えた翼は、その体躯に比べて不釣り合いに大きい。19 #4215tk

2015-03-20 20:24:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「四季」「なに?」突如出現した怪異を見上げていた四季は、振り向くことなく怜に答える。「あれは知り合い?」「……いや。初めて見る奴だ」「そう」彼女は無感情に言った。「振り切れるかやってみる。掴まってて」四季は慌てて反物を握りしめる。20 #4215tk

2015-03-20 20:27:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

同時に反物が加速!四季は必死にしがみつき、吹き飛ばされぬよう持ちこたえる。対する怜は片膝を突き、上を見上げていた。その視線の先では大翼の怪異が食らい付いてきている。嘲るかの如く、ぴたりと付いて離れる気配がない。彼女は小さく舌打ちした。21 #4215tk

2015-03-20 20:30:06