ミイラレ!第二話:幽霊のこと(原文のみ)

怪異に好かれる少年と退魔師の少女がなんやかんやするお話。引っ越して早々のトラブルです。 こちらは原文のみになります。実況付きはこちら→ http://togetter.com/li/829549
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

■怪■ドーモ、シカナです。これよりニンジャは特に関係ない一次創作、ミイラレの試験放送を行います。これは実際短く、たぶん今日中に終わる。TLの流速がなんかなると心配な方はタグ #4215tk をミュートしよう。なおこのタグは実況にも使うことができる。エコロジー!■異■

2015-06-01 23:27:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

【ミイラレ!第二話:幽霊のこと】 #4215tk

2015-06-01 23:30:02
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

新居のドアを開けると、そこには幽霊がいた。1 #4215tk

2015-06-01 23:33:03
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

思わずドアを閉め、四季はひとまず部屋の番号を確認した。二〇五号室。間違いなく自分が住む予定の部屋である。彼は腕組みして部屋の中にいたものの姿を反芻する。「……下見にきた時はいなかったはずなんだけどなあ」思わず呟き、隣の部屋へと向かう。とりあえず怜に相談すべきか。2 #4215tk

2015-06-01 23:36:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

一瞬だけ躊躇してから、彼は隣の二〇三号室のドアを叩く。部屋の中から響く軽い足音。「どうしたの、四季?」すぐに顔を出した幼馴染が怪訝そうに首を傾げた。「あー……」思わず言葉に詰まる。「その。ちょっときてほしくて」「待ってて」何を察したか、少女が顔を引っ込める。3 #4215tk

2015-06-01 23:39:14
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

奥から聞こえる慌ただしい物音。四季は少しだけ申し訳なく思った。つい先ほど再会したばかりの彼女に頼ってしまうのは、いくらなんでも厚かましすぎただろうか?「おまたせ」すぐに戻ってきた声に、ハッとして顔を上げる。赤と青の反物を両腕に巻いた幼馴染がそこにいた。4 #4215tk

2015-06-01 23:42:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

先鋭的なファッション……というわけではない。驚くべきことに、怜は退魔師なのだ。なんでも小学校の頃引っ越してからずっと修行をしていたのだという。随分突飛な話だ、と今でも四季は思っている。面と向かって言ったら、「四季ほどじゃない」という言葉が返ってきそうだが。5 #4215tk

2015-06-01 23:45:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「それで?なにがいたの」腕組みをし、小首を傾げて怜が問う。「幽霊」迷わず答えた四季に、彼女の眉間に皺が寄った。「幽霊?おかしいな、ここにはそういうのいないと思ったんだけど」「俺もそう思ってたんだけどさ……」彼は思わず頭を掻いた。実際にいたのだからしょうがない。6 #4215tk

2015-06-01 23:48:02
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「どんなやつだった?」「いや、よく見てないんだ。すぐに閉めちゃったから……あ」思わず四季は口に手を当てる。不思議そうにこちらを眺める怜に、彼は頭を下げた。「ごめん。とっさに反応しちゃったから、向こう、こっちに気づいてるかも……」「……ああ、なるほど。そうかもね」7 #4215tk

2015-06-01 23:51:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

退魔師は特に気にしたふうもない。そのまま四季の部屋に近づき、ドアノブに手をかける。「どっちにしても問題ないよ。祓っちゃうから」「……できるの?」「こう見えて退魔師だからね。任せて」彼女はウインクし、勢いよくドアを開けた。四季は反射的に身構える。8 #4215tk

2015-06-01 23:54:12
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ドアの向こうには、幽霊がいた。ただし、先ほどよりもずっと近い位置に。部屋の中央に立ち尽くしていたはずのそれは、ドアのすぐ向こう側に接近してきていた。四季が目を丸くすると同時に、その手が彼めがけて伸びてきた。9 #4215tk

2015-06-01 23:57:12
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

■以上で本日の投下は終わりです。試験放送とはなにか? 実はミイラレを少しずつ、しかし着実に更新していくためのなんかだ。具体的に言うと毎日更新を目指したいがニンジャとかなんとかで難しいかもしれない。けどなるべく書き、そして投稿したいと思う。ご了承ください。以上です■ #4215tk

2015-06-01 23:59:01
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ドアの向こうには、幽霊がいた。ただし、先ほどよりもずっと近い位置に。部屋の中央に立ち尽くしていたはずのそれは、ドアのすぐ向こう側に接近してきていた。四季が目を丸くすると同時に、その手が彼めがけて伸びてきた。9 #4215tk

2015-06-02 21:30:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

怜の動きは速かった。彼女は幽霊が外に出てきたことを見て取ると、容赦なく右の拳を叩き込んだのである。顔面に。「あ゛う゛ッ」衝撃のために幽霊の首があらぬ方向に捻じ曲がった。四季は目を丸くする。退魔師は眉間のしわを深くし、さらに左拳を叩きつけようとした。10 #4215tk

2015-06-02 21:33:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

それよりも早く幽霊が復帰した。幽霊は縋るように四季の腕を掴む。四季はまじまじと幽霊を見た。長い黒髪に、黒く汚れたボロボロの服。顔は見えない。数枚の札が貼られているのだ。「う゛う゛う゛……」幽霊は呻き、空いた片手でガリガリとその札を引っ掻いてみせる。11 #4215tk

2015-06-02 21:36:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

その仕草で四季は幽霊の目的を理解した。「怜!ストップ!」幽霊の後頭部目がけて放たれた拳が、寸前で停止。「……なんで止めるの」底冷えするような声と視線。一瞬意思がくじけかけたものの、彼はなんとか答えを返した。「え、と。こいつ、別に祓う必要のないやつかも」12 #4215tk

2015-06-02 21:39:16
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「あー、幽霊さん?こっちの言うことはわかる?声出せなかったら頷くなりなんなりしてほしいんだけど」怪訝な顔をする怜の前で、四季は慌てて問いかける。幽霊はこくこくと頷いた。意思疎通はできるらしい。彼は内心で安堵し、言葉を続ける。「それ、外してほしいんだよね?」13 #4215tk

2015-06-02 21:42:13
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

幽霊の顔を……正確にはそこに貼られた数枚の札を指差し、確認する。幽霊が勢いよく頷いた。「外してもいいけど……」「ちょっと!」咎めるような怜の声。四季は視線で彼女を制した。「外してもいいけど条件がある。こっちの言うことはちゃんと聞いて。約束できなきゃ外せないよ」14 #4215tk

2015-06-02 21:45:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

幽霊は思案するように首を傾げ、少しの間を置いて頷いた。了承してくれたらしい。四季は再び怜に視線を送る。硬い顔で渋々頷いた彼女は握り拳を固め、構えた。もしもの時の備えだ。それを確認した上で、四季は幽霊の札に触れる。触れた途端、静電気のように小さな痛みが走る。15 #4215tk

2015-06-02 21:48:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

四季はわずかに顔をしかめた。それだけだ。そのまま勢いよく札をまとめて剥がす!覗いた幽霊の顔には虚ろな眼窩。それが見えたのも一瞬だけのことだ。「あ、あ、あ!」幽霊が声を上げた。ボロ布めいた服が白いワンピースへと変貌し、その顔も人間らしい面影を取り戻していく。16 #4215tk

2015-06-02 21:51:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

靄のように曖昧だった下半身の輪郭がはっきりとする。数秒も経ったころには、幽霊の雰囲気は一変していた。長い黒髪に白のワンピースの女、という現代の怪談につきものの出で立ち。死人の如く青白い肌や目の下の深い隈を除けば、ほとんど人間と変わらない外見となっていた。17 #4215tk

2015-06-02 21:54:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「あ、あ、あー。う、う、うらめしやー、と」「なんでそこで恨まれなきゃならないのさ」発声練習らしきことを始めた幽霊に、四季はジト目で呟いた。幽霊は慌てたように手を振る。「あ、いえいえ!別にあなたに怨みはないですよ。どこかの退魔師とは違って。むしろ感謝してます」18 #4215tk

2015-06-02 21:57:03
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