モーリー・ロバートソンさんの「カルトは楽しく、ほどほどに」

「国家の枠組みに縛られず、個人や草の根の市民の覚醒によって世直しをするはずが、いつしか超国家主義になるという矛盾。ユートピアは目指すべきです。人類苦も終結させるべきです。ただ、それを簡単ですぐにできると思い込まされると、ねずみ講やカルトが待ち構えていると疑ったほうがいいでしょう。」2015年3月22日付モーリーさん呟きより
心理 宗教 カルト スピリチャリズム
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モーリー・ロバートソン @gjmorley
う…おもしろい…> なぜ人間はオカルトにハマってしまうのか? 『現代オカルトの根源』の著者、大田俊寛氏に聞く | 今月のマストバイ新書 - 東洋経済オンライン toyokeizai.net/articles/-/181… @Toyokeizai
モーリー・ロバートソン @gjmorley
東洋経済の記事に興味深いくだりを見つけました:19世紀後半、ロシアの霊媒ブラヴァツキー夫人が創始した「神智学」というオカルト思想です。彼女は『シークレット・ドクトリン』という著作において、ダーウィンの生物学的進化論に対抗し、「根幹人種論」という特異な進化論を提唱しました。
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スピリチュアリズムは戦前、大本教が当局に解体させられた後の日本にも吸収され、新興宗教の基板となっていきます。「人類の魂は、一部の覚醒したエリートから先に神の方向へと進化していく」というドクトリンは谷口雅春の「生長の家」では「人間神の子」という形にメタモルフォーゼ。
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この「一部の覚醒した者たち」の解釈が、大変な恣意的なスペースとなっており、20世紀初頭のドイツでは「アーリア人優位主義」という「反ユダヤ主義」とワンセットになった思想へと凝固します。第一次大戦に敗戦した後の混乱したドイツでは極右、極左の革命家やさまざまなオカルティズムが跳梁跋扈。
モーリー・ロバートソン @gjmorley
ぼくは1920年代から1930年代のドイツに詳しくないのでどれぐらいの勢いでナチズムが伸びていったのかよくわかりませんが、共産主義革命が起きても不思議ではない状況が続いていた、との印象です。ドイツの人々は経済と政治の混乱から救い出してくれる強い指導者を待望していたことでしょう。
モーリー・ロバートソン @gjmorley
その中で傑出したユートピアンな思想家の一人がルドルフ・シュタイナーでした。シュタイナーはブラヴァツキーの神智学協会のフランチャイズに当初加わっていましたが、意見の相違から分派しアントロポゾフィー(人智学)を名乗りました。シュタイナーは人類の霊的進化と完成を熱烈に提唱。
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抽象画の父の一人とされる画家カンディンスキーは、シュタイナーの講演会に熱心に通い、シュタイナーの教えを積極的に絵画に取り入れることにコミットしました。彼の抽象画にはことごとく「意味」がある。大学の卒業制作にカンディンスキーの思想を盛り込んで研究したので、ぼくもこの辺りにどっぷり。
モーリー・ロバートソン @gjmorley
青という色や赤という色にはそれぞれ「意味」や「作用」があり、これらを点と線と面を使って統合していくことで、絵画が人類の霊的な進化に貢献するのだ。そうカンディンスキーは著書で断言。また、霊的進化の解釈として「人類のうち、進化ができる少数者はあらかじめ選ばれている」とも主張。
モーリー・ロバートソン @gjmorley
単位を取るために絵画の授業にも出ていたのですが、カンディンスキーの文献をインストラクターやまわりの大学生に読み聞かせる度に物笑いの対象になったのを覚えています。そして、ばかにされればされるほど原理主義的にカンディンスキーやシュタイナーの霊的な教えを堅持し、覚醒を目指しました。
モーリー・ロバートソン @gjmorley
その結実がこの卒業作品のアニメーションです。むちゃくちゃな内容で激しいストロボ効果を使って脳内の「覚醒」を呼び覚まそうという意図で、一年かけて撮影・編集しました。音響はアナログシンセサイザーやクラシック音楽のコラージュなど。 officemorley.jp/news/1300
モーリー・ロバートソン @gjmorley
卒業アニメの中では随所、チャンス・オペレーション(無作為)を取り込んでおり、まとまったストーリーやテーマの流れがあえて分断されることで「非日常」の時間を作り出すこと、つまりアニメのオカルティズムが試みられています。カット・アップの原理は作家ウイリアム・バロウズから学びました。
モーリー・ロバートソン @gjmorley
この作品を撮影・編集し続けた1年間、カンディンスキーの文献をひたすら吸収していたのですが、1980年代のアメリカにいてどうしてもついていけない部分もありました。それは選民思考です。人間の自由意志よりも、宇宙の高次の存在によって選ばれることの方が上だとする発想が随所にありました。
モーリー・ロバートソン @gjmorley
シュタイナーが弾圧された後、カンディンスキーはナチスを礼賛していた、とする説と、否定する説がせめぎ合っていたので結論は出せず。ただ、世界の秩序が「より優れた霊性を持つ人種」と、学ぶことができず下から支えるべく存在する人種で構成される世界観は、リサーチしていた当時も後味が悪かった。
モーリー・ロバートソン @gjmorley
去年の8月、BBCが今も続くシュタイナー教育のあり方に疑問を呈するレポートを発表。ワクチン反対や人種差別思想を示す資料も> BBC News - Why are Steiner schools so controversial? bbc.com/news/education…
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東洋経済の記事で共鳴した部分は、シュタイナーのオカルティズムが化学の分野でブレイク・スルーしてほやほやの進化論を東洋思想と合体させていたことです。BBC記事によれば、シュタイナーは白人を「知的な人種」黒人を「本能的な人種」と分類し、ヨーロッパに黒人がいることを不快に思っていた。
モーリー・ロバートソン @gjmorley
さらに一歩進んで、白人は「過去世に黒人から始めて、何回も生まれ変わりながら人種の階段を登り、最終的に白人へとゴールインした存在」だと主張していたそうです。これが戦前や戦時中の日本社会、あるいは日本の政治においてどれだけ意識されていたか定かではないけど、なんか妙に符合する。
モーリー・ロバートソン @gjmorley
戦後のシュタイナー学徒たちは、人智学がいかに博愛的でエコロジカルであるかを強調し続けてきました。人種差別は膨大な文献の中のごく一部にあるだけで、そこだけを読んで揚げ足を取られるのは不当だ、と反論します。ただ、冷ややかに見るとやっぱり人類の「階層」を大前提にしているとの印象。
モーリー・ロバートソン @gjmorley
レイシズム(人種差別)の考え方は、頻繁に神秘主義と結合しています。論理的な飛躍の順序には定形がある。まず(1)理想的な世界を本来は作れるはずだ。それは人間誰しも心のなかに完成した霊性・および神のテンプレートがあるから(2)しかしその進化を妨げる要因、邪悪さがこの世にある。→
モーリー・ロバートソン @gjmorley
(3)より内観的な宗派やスピリチュアリズムは、この悟りに至るまでの障り(さわり)を個人の煩悩に帰結させ、ヨガ・瞑想・放浪・修行などを通じて喝破していこうと試みます。どっちかというと仙人や隠者の方向性です。対して正邪の二元論を強く押し出す宗派もあり、そちらは敵対者を想定します。→
モーリー・ロバートソン @gjmorley
(3b)さらに複雑なのですが、建前上は個人の内観を探求する宗派・組織であっても実のところは搾取的・戦闘的なカルトであったり、政治家や資産家と結託して支配者になろうという願望を強く共有するケースもあります。表立っては平和でエコロジカルな未来を謳っていても、それはフロント。→
モーリー・ロバートソン @gjmorley
(4)理想郷の実現には霊的に目覚めた者たちによる祭政一致の独裁体制しかない、とする急進的な思想がこのあたりから枝分かれします。現存の権力構造に深く浸透して事実上乗っ取ろうとする戦略、あるいは草の根から革命を起こそうという戦略など、「ガラガラポン」へのロードマップは多種多様。→
モーリー・ロバートソン @gjmorley
(5)そこに「進化する人種の序列」という副次的な物語がコバンザメのようにくっつく場合が非常に多い。つまり、エコロジーや古代復古、霊性の目覚め、争いの集結、地上の楽園を目指している共同体がいつしか、進化の邪魔をする人種・民族との聖なる戦争に参戦して人類を防衛する物語に変貌する。→
モーリー・ロバートソン @gjmorley
(6)この一つの「グルーヴ」がもうひとつの「グルーヴ」へとモーフィングするきっかけやトリガーが何なのか、ぼくにはわかりません。ただ、そもそもの牧歌的なユートピアの絵柄の中に、すでに実現不可能性があるのかも、ということをよく考える。ユートピアを思考する本当の理由が現実逃避だから。→
モーリー・ロバートソン @gjmorley
(7)理想郷を建設したいから現実が許せないのか、現実に対応できないから理想郷の幻影に逃げ込むのか?どちらが先であっても原理主義化が進むと「敵か味方か」の二元論しか選択肢がありません。今ある現実そのものに肉体も霊魂も蝕まれており、もうすぐ世界は終わりが来るのですから。→
モーリー・ロバートソン @gjmorley
(8)こうして「人類が平等で豊かな、神と大自然に生かされた日々」を求める人々の信仰が純粋であればあるほど悟りの障りとなる劣悪な属性を持つ人類(実はマジョリティー)との対決へと投影されていくのかもしれません。「思いは思い、現実は現実。折り合いをつけなきゃね」とはならずに。→
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コメント

toumei-unicorn @monstar81053 2015年3月22日
(8)の「思いは思い、現実は現実。折り合いをつけなきゃね」を見て、「イデオロギーも楽しく、ほどほどに」。踊ってもいいけれど不謹慎と言われないくらいには折り合いをつけなきゃ状況は改善しないんですよね。
きゃすばる兄さん @kyasubaru_ani 2015年3月22日
真っ先に谷口雅春先生の神の子って概念持ち出してはるけど。あれは大乗の仏子(菩薩)くらいの意味合いで選民思想じゃないからね。と一応補足しとくが。このまとめは面白かった。
佐藤龍一 @RyuichiSato 2015年3月22日
シュタイナーは読んだがヒエラルキー的な考え方がなじめなかった。神知学協会が救世主の器として選んだクリシュナムルティは「真理はそこへ至る道のない土地である」として教団を解散し、一切のオカルトを否定した。
mnianzinno @mnianzinno 2015年3月22日
オカルトはカルトの丁寧語じゃないですよ。「おカルト」じゃないです。
ゴイスー @goisup 2015年3月22日
内容は「カルト cult」では無く、「オカルト occultism」のお話そのものなので、単にモーリーさんの書き間違いでしょう。
みゃおぞうとソラ @myaozou 2015年3月22日
昔、カール・セーガンの「人はなぜエセ科学に騙されるのか」を読んだのを思い出した。
不織布マスク @ran_hiroo 2015年3月22日
大学に入ったばかりの頃にシュタイナー教育のビデオを見せられて、サブカルっぽくてオシャレと思って惹かれかけた。危ないところだった。
neologcutter @neologcuter 2015年3月22日
#反原発 「3.11以降目覚めました」とプロフに書いてる人に精神がアッチへ行っちゃってる人が多いのはこのためなんですね~
ミトス@宮城 @mitos7 2015年3月24日
超国家主義が出てくるのは覚醒した人間は同じような価値観を持ち、皆で集まれば自分たちだけのユートピアを作ることが可能になると考えてるからじゃないのカナー。そして覚醒は人それぞれに問いも違えば答えも違うし、言語で説明はできず自分で答えを出さないと意味がないし…。よって自分たちだけでユートピア作って度し難い人間は皆殺しとゆー結論に><
夜更至ヒルネスキー @hiruneskey 2015年3月24日
《「一部の覚醒した者たち」の解釈が、大変な恣意的なスペースとなっており、20世紀初頭のドイツでは「アーリア人優位主義」という「反ユダヤ主義」とワンセットになった思想へと凝固します》《1980年代のアメリカにいてどうしてもついていけない部分もありました。それは選民思考です。人間の自由意志よりも、宇宙の高次の存在によって選ばれることの方が上だとする発想が随所にありました》
夜更至ヒルネスキー @hiruneskey 2015年3月24日
日独等の直系家族は大体男系の長子相続、英米等の絶対核家族は双系で遺言次第というのをエマニュエル・トッドで読んだ。それだけであの戦争が起こった(≒必然だった)とは思わないけど……。
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