学力は「素質」で決まるのか?その3

子どもには、説明を聞いて理解できるタイプと自分でやってみないことには理解できないタイプがいる。後者のタイプは教えるよりも「教えない教え方」の方が適している。指導方法を間違えると、効果が上がらない。
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shinshinohara @ShinShinohara

大学入学したての頃、受験テクニックに妙に自信があった。また、もともと成績が大変悪いところから這い上がってきたという経緯があったため、どれだけ勉強のできない子にも分かりやすく解法を教える自信があった。

2015-03-22 07:42:45
shinshinohara @ShinShinohara

実際に私が教えると、「分かりやすい!今まで全然分からなかったのに、初めて分かった」と子どもたちは感動してくれた。さあ、これで大幅成績アップ・・・とはいかなかった。翌日にはきれいさっぱり忘れてしまうのだ。もう一度教えると「ああ、そうそう」と言うが、やはり翌日には忘れてしまう。

2015-03-22 07:46:36
shinshinohara @ShinShinohara

教えても教えても、翌日には忘れてしまう。ちっとも身に付かず、成績も向上しなかった。正直、頭を抱えてしまった。 考えたあげく、ある日、教え方をまるっきり変えてしまうことにした。まったく教えないことに決めた。ただ「教科書を読んでごらん」とだけ指示を出して。

2015-03-22 08:29:36
shinshinohara @ShinShinohara

教科書を読むより手っ取り早く教えてほしい子どもは、「このあたりかなあ」とカマをかけて私の様子を見る。目の色の変化でヒントをもらおうとするのだが、私は「君がそう思うならそこを読んでごらん」と答えるだけ。子どもは「ちょっとくらいヒントを頂戴!」とキレ気味だが、それでも教えない。

2015-03-22 08:33:49
shinshinohara @ShinShinohara

いつまでたっても問題が解けない。たった1問を解くのに2時間経っても解けない。子どもは泣き出してしまう。でも教えない。「教科書のどこかに解き方が書いてある。探してごらん。」とだけ答えて。子どもは泣きながら仕方なく、教科書をめくりだす。すると、よく似た例題を見つけることができる。

2015-03-22 08:36:29
shinshinohara @ShinShinohara

例題通り解いてみると、問題が解けた。「よく頑張ったね」丸をつけてノートを渡すと、次からもう迷いなく、教科書を丹念に読み、解法のヒントを探しては解くようになる。私はそばで見ているだけ。 不思議なことにこの指導方法だと、子どもは一度覚えた解法を二度と忘れることがなかった。

2015-03-22 08:40:41
shinshinohara @ShinShinohara

なぜ私が教えるとちっとも覚えられなかったのに、自分で見つけた解法だと忘れないのか?「教えてもらう」ことが得意な子どもと「学ぶ」ことが得意な子どもと、2種類いるのだ。前者は勉強が良くできる子に限られる。勉強が苦手な子は後者になる。他人から教えてもらっても頭に入らないのだ。

2015-03-22 08:44:54
shinshinohara @ShinShinohara

勉強のできる子は、話を聞く能力が高い。話の途中で知らない言葉が出てきても、文脈全体から意味を推し量ることもできる。しかし勉強ができない子は、知らない単語が出ると「あ、俺には分からない話だ」とブレーカーが落ちたように、「うなづきロボット」と化して聞いているふりだけする。

2015-03-22 08:48:42
shinshinohara @ShinShinohara

勉強のできない子は知らない言葉が多すぎて、文脈全体から知らない言葉の意味を推し量ることもできない。だから「俺には分からない難しい話だ」とブレーカーが落ちてしまうのも仕方ないのだ。説明を聞いて理解する、というのは、十分に知識が身に付いてからでないと難しい。

2015-03-22 08:51:07
shinshinohara @ShinShinohara

また、私自身がそうなのだが、「体験型学習」でないと頭に入らない子どもというのは結構多い。たとえば新しいテレビの操作方法を覚えるのに、優等生タイプは説明書を丹念に読んで覚えてしまうが、私のようなタイプはリモコンを弄っているうちに覚えてしまおうとする。説明書を読むのが苦手なのだ。

2015-03-22 08:54:42
shinshinohara @ShinShinohara

大学生でも、説明書を読んでから機械を触るタイプと、機械を触って初めて原理が理解できるタイプに分かれる。後者は頭が悪いわけではない。文字情報ではどうも納得考えられず、自分で体験してみて初めて納得感が得られるタイプなのだ。体験さえすれば、メカニズムを推し量る能力は高い。

2015-03-22 08:58:27
shinshinohara @ShinShinohara

「体験型学習」のタイプは、「自分が発見した」という発見の喜びを大切にすることが多い。他人から説明を受けてしまうと、せっかくの発見の喜びを奪われてしまうのでつまらない。ぜんぶ自分で発見したくて仕方ない。こういうタイプの子に説明してしまうと、ちっとも頭に入らないのだ。

2015-03-22 09:02:12
shinshinohara @ShinShinohara

他人から説明を受けても理解ができ、感動もできる人は、こうした体験型学習の好きなタイプが理解しにくいようである。生まれてこの方優等生できた友人は「なぜ理解できないのかが理解できない」とまで言っていた。説明を聞くより、自分で体験し学びたい子の気持ちが分からないようだ。

2015-03-22 09:05:03
shinshinohara @ShinShinohara

もちろん、体験型学習の子も学習レベルが上がり、知識が増えると、他人からの説明も理解できるようになる。だからついつい、もともと自分も説明を受けるのが苦手だったことを忘れてしまう。私がそうだった。自分がそうだったことを思い出せたことで、「一切教えない」教え方にたどり着けた。

2015-03-22 09:08:55
shinshinohara @ShinShinohara

「教えない教え方」は非常に非効率に思える。たった1問の問題を解けるようになるのに2時間かかるのだから、教える側としては焦れてしまう。しかしこの方法は、あとで劇的な効果を生む。本人が2時間かけてようやく見つけた解法は、二度と忘れない。自分で見つけたことは身になるのだ。

2015-03-22 09:13:48
shinshinohara @ShinShinohara

また、「教えない教え方」は、コツをつかむと自分で勉強するようになる。自分で解法を発見した喜びがあるので、勉強が楽しくなるのだ。説明を受けてしまうと自分が発見する喜びが得られないのでつまらないし、頭に残らない。こういうタイプの子は、徹底して「自分で見つけさせる」指導が適している。

2015-03-22 09:16:24
shinshinohara @ShinShinohara

生まれてからずっと優等生だった人は、自分とは違う学び方を必要とするタイプの子を理解できないことがある。そういう人は、その子達がどんな「理解の嗜好」を持っているのか、思いを致してほしい。そうすれば、成績が上がらないと思っていた子どもも劇的に成績を上げることができるだろう。

2015-03-22 09:20:41