心ゆさぶれ！先輩 ROCK YOU 漫画家　浦沢直樹先生登場回

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加藤「力入りすぎちゃって？」木南「そっか～」浦沢さん「そうすると…（スクリントーン完成）」大東「ホンマや～そういう事か！」木南「漫画っぽくなる、一気に！」加藤「スゴイ！スゴイ！」（浦沢さん、スクリントーンを削る）木南「何だろ？あっ！分かった！スゴーイ！！」浦沢さん「雲です」

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加藤「でも細かいし、これ大変だな～」大東「週刊連載って何ページですか？1話？」浦沢さん「週刊は大体18～20位じゃないですか？」大東「20ページ位？」

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浦沢さん「だから1週間でドラマを考えて、演出全部考えて、画を入れて、仕上げるっていうのを、20ページ1週間でやるって絶対無理だと思いません？」大東「ね～」加藤「確かに。例えばドラマみたいに、3か月やって、休んで、また3か月やってとかっていう…」木南「はいはい」

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浦沢さん「それは読者が許してくれればでしょうね？」加藤「ま～そういう事でしょうね～」浦沢さん「さっき、加藤さん1週休んだだけで腹が立つって言ってたでしょ？」加藤「何で今週休みなんだよ～！」大東「ホンマに思う」加藤「サボるなよ！と思ってました」一同「（笑い）」

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加藤「じゃないんですね？」浦沢さん「フル回転やって、無理！ってやってるんですよ」大東「そういう事なんや！」加藤「色んな漫画読んでてね、延ばしてるな～みたいな時、僕あるんです」木南「ある！」加藤「『いつ終わんだよ、この試合』みたいな」木南「やたらキャラクターのアップだけが続くとかね

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加藤「あれはどうですか？」浦沢さん「ホントの地獄にいる人達ってやっぱいますから、例えばね、木曜日が〆切、そこに仕上がりませんでした。週開けた月曜日で印刷所でなんとか編集者が話をつけた。じゃあそこに入れました。そうすると、次の〆切、もう火、水、木しかないんですよ」大東「そうっすね」

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木南「3日だ！」浦沢さん「それは何やっても仕方ないんじゃないですか？」一同「（笑い）」大東「そういう事？」加藤「そうか！延ばしてんな～と見るなと？辛かったんだな～と思って読んだ方がいいんですね、我々？辛いんだ～いま辛いとこなんだ～」浦沢さん「永遠それが続くんですよ」

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加藤「そしたらドンっとよりだけをトントントントンってやる週を1回でも作らないと…」浦沢さん「やって、まず〆切のスケジュールの正常化をはかんないといけないでしょ？」一同「（笑い）」

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加藤「そりゃそうだ！そりゃそうだ！」浦沢さん「それは致し方のない事じゃないですか？」加藤「致し方ないですね。でも浦沢さんはそれをしたくない？」浦沢さん「僕はものすごいスケジュールの時も、向こう3か月位、全部きっちりスケジュール作って…」

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浦沢さん「で3か月先にスケジュールの破たんがきますって言ったら、『そこにお休み入れて下さい』って3か月前にお休みを入れてもらうんですよ」加藤「なるほど、なるほど」浦沢さん「それは原稿落とした事にならないんで」加藤「そうか～」

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では、ストーリーはどのように？－－加藤「『20世紀少年』はどうやって考えていったんですか？」浦沢さん「最初ね、『YAWARA！』から『Happy！』で14年位かな？週刊誌やってたんで、もうやだ！と。週刊連載の仕事はもうやめようと思って。それで終わった後に風呂入ってたんですよ」

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浦沢さん「そしたらね、国連総会の事務総長みたいな人の挨拶で『彼らがいなければ21世紀を迎える事は無かったでしょう。彼らを紹介しましょう』って言うと、T.Rexの『20th Century Boy』が流れるっていうのが頭に浮かんだんですよ」加藤「ポンとですか？風呂場で？」

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浦沢さん「何の話だろな～これはと思って、こんな事が浮かびましたってFAXしたんです、編集部に」加藤「実際に『20世紀少年』でもそのシーンは出てきますもんね？」

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浦沢さん「そうなんです、それで、編集長やってた長崎尚志（たかし）さんと、打ち合わせしてて、『彼らは一体何と戦って21世紀を無事に迎えるようにしてくれたのか浮かばないんですけどね』みたいな話をしたら、『怪獣と戦ったんですかね？』って言ったんですよ」

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浦沢さん「そしたら長崎さんが『いや、カルト教団だろ？』って言ったんですよ」加藤「おっ！」浦沢さん「え？ってなって、いや～面倒くさそうだな～って思ったんですよ。それ面倒くさそうだな～と思って、『ないっしょ！それはないっしょ！』それでまた風呂とか入ってたのかな？」

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浦沢さん「そのカルト教団の教祖の名前が“ともだち”って面白いな～って思ったんですよ。友達か～って言って、気持ち悪いな～って。で翌週の打ち合わせの時に『先週、長崎さんが言ってたカルト教団の話ですけどね、教祖様“ともだち”っていうのが思いついたんですよ』って言ったら…」

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浦沢さん「長崎さんがその時に、『うわ～この作品は空前のヒット作になるな～』って思ったんだって」木南「え～！」加藤「その2つだけで？え～スゴイナ！それ！！なんでその編集の人、分かったんですかね？」浦沢さん「う～ん、ムードでしょうね？ムード。作品のムード」

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加藤「浦沢さん的にはどんな感じでした？それ言われた時は？」浦沢さん「僕も話しながら、あ～いま扉開いたな～って感じしましたよ」加藤「見えた！っていう？」浦沢さん「そっから悪戦苦闘始まるんですけど。細かくこう作っていく。でも全体のムードがつかめるっていうのは大体その位…」

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漫画は予言の書になっちゃう？――浦沢さん「一生懸命、漫画を作っているとですね、漫画で描いたことが、現実になるって事がとっても多くてですね、例えば『YAWARA！』って漫画を描きはじめたら、福岡でものすごい柔道の強い女の子が…」

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加藤「先か！そうか！『YAWARA！』の方が先だ、そうだ！」浦沢さん「『YAWARA！』は1986年に始まってるんで、その時まだ彼女、小学生なんですよ」木南「そうなんだ～！」浦沢さん「テレビ見てたら、あれっ？ってなって、横断幕で“ガンバレYAWARA！”って応援してるわけですよ」

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加藤「だって世の中でやわらちゃんて、田村（亮子）さん、言われるようになりましたからね」木南「確かに」加藤「そのやわらちゃんが出てくるっていうのが、ちょっと予言してるっちゃ、予言してるのか、内容的にも？」

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浦沢さん「で、その後『Happy！』って作品描いて、世界の舞台で日本のテニスプレイヤーなかなか通用しないっていうのをその夢を漫画で叶えようと思ってやってたら、伊達公子さんブワ～っと出て来て…」加藤「きましたね、確かに」

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浦沢さん「これはね、現実と拮抗してるような漫画はダメだと思って、離れようと、思いっきり発想ぶっ飛んだものにして、『20世紀少年』とか描いていくうちにですね、このシーンなんですけど、新宿西口で…」

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浦沢さん「新宿西口でこの後、大爆発が起きて、高層ビルが全部、倒壊して底が真っ平になっちゃうシーンを描こうとして…」加藤「はい。考えてらっしゃった？」浦沢さん「まさに続く…ってなったんです。担当編集者に『来週、新宿西口描くの大変だな～』って言いながら渡したら…」

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浦沢さん「ここにうち仕事場、テレビがあって、ニューヨークの貿易トレードセンタービル」加藤「9.11？」浦沢さん「え？ってなって、もうこれで来週の新宿ビル倒壊シーンは描けないって言うか描きたくもない」加藤「それは浦沢さんの感情として、これはもう描きたくない」浦沢さん「描きたくない