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高峯みやび @sukamelancholy

「ちょっと変な話、なのだけれど」 そう言って切り出した陸奥の話は、以前着任した頃の龍鳳の行動を思い出させた。 「……オカルトっぽいけれど、でも夢の中で彼を見たの。普段とは違う、誠士郎クンが」 「夢、ですか」 「そう、夢」 #変態不知火さん

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「……ごめんなさい、変な事話しちゃったわ」 「いいえ、そのお話、私は信じます」 「……どうして？」 「私、着任したばかりの時、誠士郎さんのベッドに忍び込んだんです」 「そうだったわね。皆して大騒ぎ」 あれからもうそろそろ一年。遠いようでまだ近い記憶。 #変態不知火さん

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くす、と笑ってから龍鳳は当時の胸の高鳴りを思い出した。 やっと会えた運命の人。そう作られたと知っていても鼓動の早さは本物で。初対面だというのに夜這いならぬ朝這いをしたのだ。初回は成功して心が満たされたのだが、二回目はそうもいかなかった。 #変態不知火さん

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「実は私、暗示みたいなのをやった事があって」 「どういう？」 「眠っている相手にそっと話し掛けて、私が相手の夢の中にお邪魔するんです。夢の共有というか」 「あらあら、そんな凄い事が出来るのにどうして多用しなかったの？」 そう聞かれると龍鳳は苦笑し、答えた。 #変態不知火さん

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「ちょっとの間しか、出来ないんです。けど二回目の時、陸奥さんに拒まれたんです」 「あらあら、お姉さんったら誠士郎クンの中に登場？」 嬉しそうに笑う陸奥。 「……それにしては意思がはっきりしてましたし、一度私がお邪魔した事も知っていたんです」 #変態不知火さん

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「確かに変……ね」 「正体はわかりませんでしたが、陸奥さんなのははっきりしてるんです。……陸奥さんのお話を聞いていたらもしかして、と思って」 「……変な話ね。私はそんなサキュバスみたいな事出来ないわ」 陸奥の言葉に照れる龍鳳。 「そんなえっちじゃないです……っ」 #変態不知火さん

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静かに眠っている提督の話題中心に陸奥と龍鳳は話を続ける。中々話す機会がなかったのもあり意外と弾んだ。龍鳳が着任、誕生するよりも前にあった出来事を話したりしていると、また提督が呻きだした。 眉間に皺が寄り、次第に汗も吹き出てくる。 「また……苦しそうに」 #変態不知火さん

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タオルで汗を拭い、先程までの笑顔は消えた二人。 「潜り込む事は出来ないの？」 「試してみましたが……拒まれているのか閉ざされているのかはわかりませんけど、駄目でした」 「そうなの……」 次第に呻き声は大きくなる。龍鳳と陸奥はそれを見ている事しか出来ない。 #変態不知火さん

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『やっと、見つけた』 #変態不知火さん

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艦娘の誕生、クローンの生成後に使用される教育用ヘッドギアを装着した提督と、設備を忙しなく操作しそれを見守る三人の秘書艦。事の発端となった足柄の調査を終えたかと思うと、月影は唐突にこんなものを持ち出してきたのだ。 #変態不知火さん

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「見つけた、とは」 不知火の問いに月影は答えず、モニターを見つつキーボードを素早く打つ。目で追うことすら出来ない高速のタイピングから、彼女の必死さが感じて取れる。 「ママ……提督を、見つけたの……？」 今度は龍鳳が問う。 「ま、待って。今、集中、して、る」 #変態不知火さん

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「逃さない、から……っ！」 さらにタイピングは加速する。もはやキーボードが故障するのではないかと思う程のスピード。 ……そして、その動きがぴたりと止んだ。 時計の針がかちり、と動く音が聞こえる。 大きく息を吸ってから、月影は深いため息を吐いた。 #変態不知火さん

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「何がどうなっているのよ。説明しなさい」 急かすビスマルクに苦笑し月影はコーヒーを飲んでからふう、と一息。ゆっくりカップを置くと、「じゃあ一から説明するわ。質問は最後までとっておいて」と断ってから説明を始めた。 「まず私のカスタムした足柄について」 #変態不知火さん

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「足柄の身体は排泄物を一切出さず、全てのエネルギーに変換する、と言ったわね」 「はい、それによって疲れを知らずにずっと出撃していました」 「実はというと、それ、完全ではなかったの」 首をかしげて不知火は問う。 「実は未完成だったと」 「いいえ。改造を経て完成よ」 #変態不知火さん

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「改造を経て、というプロセスがよくわからないのですが」 「そもそも貴女達の改造は、自身の能力と軍艦の適応力がより強くなるの。それに合わせて身体も少しいじっているわ。その影響で性格がちょっと変わったりもするけれど」 その話には覚えがあった。改二になった筑摩だ。 #変態不知火さん

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筑摩は改二の改造をするまでは大人しく、ましてや下着を穿かずに過ごしてなどいなかった。だが、改造後に彼女は自分自身の性癖に初めて気付き、今に至る。 「ま、まさか私達も」 自分の身体を抱くようにしてビスマルクは恐る恐る聞く。 「例外はないわ」 誤魔化す事なく答える。 #変態不知火さん

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「答えなさい、私の身体の何処を弄ったのよ」 キッ、と睨むビスマルクに微笑んで返す月影。 「教えてあげない」 「どうしてよ！」 「だって、そういうのって自分で気付かない駄目よ」 「……そういえば」 頬に指を当てて龍鳳は改造について思い当たる事があると話す。 #変態不知火さん

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「私、大鯨の頃と比べて声色が変わっているような……。それに龍鳳になってから改の改造から、ちょっと下着のサイズが……あの」 自分で言って恥ずかしがる龍鳳に、ビスマルクもあ、と声を上げた。 「……私もそうだわ。前に着ていた服の胸のあたりがきつくなっていたの」 #変態不知火さん

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「……」 一方不知火は自分の胸を見てから首を傾げる。 「不知火は何も変化していませんが……」 するとビスマルクと龍鳳は慌てたように、 「ほら、成長なんて人それぞれって言うじゃない！？」 「ですです！ だから気にする事は」 「そういえば不知火は既に死んでいました」 #変態不知火さん

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ーー沈黙。 「不知火ちゃんはね」 見かねた月影が答える。 「身体能力、及び反応速度の強化が主ね。子宮の機能回復については……ごめんなさい、まだね」 その答えで不知火は合点がいった。 「納得しました。それで司令のお役に立てるなら」 「ふふ。話を戻すわね」 #変態不知火さん

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「足柄の場合はまず、元になった戦艦タ級の肉体構造をほぼ転用していて」 「ままま待ってください！！」 「どうしたのよ」 大慌てで龍鳳は突っ込みを入れた。 「今戦艦タ級って」 「言ったわね」 「そんなしれっと……」 「まぁ、不知火も重巡リ級でしたし」 #変態不知火さん

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「い、いえ、でも……え？」 「……続けなさい」 「ええ。その戦艦タ級の構造がかなり特殊で、栄養を得られるなら傷の治りも早いし、消化吸収百パーセントだしで、これは使わなきゃって」 「っ！？」 「で、試しにテストしたら足柄に適応力がかなりあって」 「！？？」 #変態不知火さん

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最早何処から指摘すれば良いのかわからず混乱する龍鳳にビスマルクは肩に手を置く。 「もう私は諦めてるわ」 「いえ駄目ですよねそれ！？」 「まぁなっちゃったもんはしょうがないじゃない？ もしかしたら不知火ちゃんみたいに本来は足柄だったのが戦艦タ級に転化したかもだし」 #変態不知火さん

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「まぁそういう感じでちょいちょいいじってたらそうなって」 「さっきからアバウトな説明になってます！？」 「え、だって全部喋ると疲れるくらい複雑なんだもの」 ずず、と残りの珈琲を飲み干す月影に、不知火は疑問を投げ掛ける。 「それと司令に何の関係が」 #変態不知火さん

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「さっきも言ったけど足柄の身体は改造を経て完成になるの。それで二回目の改造、つまり改二の時に完全な最適化を図ったようなの」 「……最適化」 「そう。元になった戦艦タ級の部分を不要分として排出。これは彼女の中から深海棲艦の反応がゼロになっていたから判明したの」 #変態不知火さん