レアケースファイル：性的欲求なき性犯罪者・爾後のケアを考える

@Tetsuro_S_Phil

私も、当事者としても支援者としても出来る限りの啓発をしていきます。喫緊の課題は「犯罪を起こしやすい」という誤解の是正だと思っています。 QT @Giantsganba2011: 最近だんだん発達障害というものが取り上げられるようになり、病気みたいに完全に治す事は出来ないけれど、

@Tetsuro_S_Phil

ちょっと困り果てている案件があるので、匿名性を保持するために中身を改変した事例を書きます。書くことで、何かがわかるかもしれない。当事者は20代の成年男性自閉症・精神遅滞。IQ=60台。言語性IQ=80台、動作性IQ=50台。左右の視覚認識にやや問題あり。触覚・味覚過敏。潔癖。

@Tetsuro_S_Phil

連続ツイート開始。

@Tetsuro_S_Phil

まず同行してきた親に、私が自閉症圏者であることを話した。いきなりで相当驚かれたが、どうやら信頼を得られたようだ（たとえ自分のハンデであっても、使えるリソースは何でも使うのが、私の対人援助の流儀でありますｗ）親には外で待ってもらい、彼と1対1で面接開始。

@Tetsuro_S_Phil

彼の問題行動は、一見すると幼女に対する性犯罪としか見えないが、彼に聞いてみると、その問題行動は、女児に対してだけでなく、男児にもしているという。付き合いたい女性の年齢層を問うてみると、同世代くらいだといい、少し年上の社協職員が好きだという。

@Tetsuro_S_Phil

そこで、彼の成育史を丹念に探っていくと、その問題行為は、幼少期に「ある検査を行うために必要な行為」（回りくどくてゴメン。以下「行為A」とする）を受けたことによる快感体験に根ざしていることが判明した。

@Tetsuro_S_Phil

最初は自分だけで行為Aをする側・される側の両方の役割をしていたのが、そのうち行為Aを行う側を他人に対してしたくなり、男児・女児かまわず行為Aをするようになった。新しいこだわり行動ができ、これが繰り返されて検挙され、見かけ上の小児性愛になってしまった。

@Tetsuro_S_Phil

実際の彼はというと、性的情動が何なのかさっぱり理解できていない。彼が最近、ふと好きな女性のことを考えると（それは行為Aとの関係は全くない）、性器の大きさが変化することが最近気がついたと述べる。

@Tetsuro_S_Phil

何となく性器を刺激してみると白い体液が排出されるが、彼はこれを小便や大便と同じような排泄物と同じものだとしか認識していない。そこで、性器の変化の理由や精液の説明を試みると、彼はなんと、男性も子が産めると思い込んでいた。

@Tetsuro_S_Phil

彼は、性的な面における男と女の境界線が、何もわかっていなかったのだ。その結果、快感と性的嗜好とがまったくリンクしていない、「世にも珍しい性犯罪（＝行為A）」が発生してしまった。

@Tetsuro_S_Phil

だからといって、多数の被害者を生み出した彼の行為は免責されない。にしても、私が前任者から聞いたストーリーとは全然違う。私は引継ぎの際の情報から、彼の問題行動を小児性愛の特異的なものと見立てていた。とんでもない誤りであり、私はこの見立てをバッサリ切り捨てた。

@Tetsuro_S_Phil

あらためて見立てを行う。彼の再犯のおそれは、ないとは言えない。しかし彼は、私に対して一貫して正直だった。「もうこんなことは絶対にしません。刑務所に入れられるくらいなら、自殺します」。面接集に何度も言ったこの言葉も多分真実だ。

@Tetsuro_S_Phil

彼がもし再び行為Aを行えば、たとえ誰に発覚しなくとも、自殺を選ぶおそれがある。これは防がねばならない。

@Tetsuro_S_Phil

彼のニードはなんだろう。彼は同年代の女性と結婚して子どもを2人もうけたいと言う。この、健常な人であればまず達成できそうな将来設計が、現在の彼にとってはほとんど不可能に近い。

@Tetsuro_S_Phil

生活上のニードは、仕事を得て自立し、家族を持ちたいということだが、まず仕事で躓く。多弁で、質問されていないことまで機関銃のごとく喋り、その上、土曜日が嫌いでこの日だけは家でじっとしていたい、不潔な職場は嫌だという「こだわり」が、当然採用判定に響く。

@Tetsuro_S_Phil

現在は社協が行うIT教室に週1回通っているが、ここでも、特定の品物ばかり検索し、データをエクセルで整理しシェア等を弾きだしてまとめていたりする。それに、このIT教室は言語等、専門性を要することまでは教えてくれない。ワード・エクセルとインターネットの活用法までだ。

@Tetsuro_S_Phil

とすると、職業訓練というひとつの答えが出てくるが、彼の特性に合った仕事は何かを考え抜かなければいけない。意思疎通をそれほど必要とせず、運転免許がなくても良く、ミスしたときの危険性が低く、土曜日は確実に休める仕事。…これは、アルバイトでもそうそう見つかるものではない。

@Tetsuro_S_Phil

まずは、作業所通所から始めるのも良いかもしれないが、彼が興味をもってくれるような作業があるだろうか？あらためて保健センターや社協に連絡し、市内の作業所を調査する必要がある。

@Tetsuro_S_Phil

もしかすると、彼の特性を、私はもう掴みかけているのかもしれない。彼はある品物の銘柄・味・価格と、入手可能な場所をすべて知っている。理解のある雇主さえいれば、この特性を活かせば案外解決するのかもしれない。ただし、もちろん、これは楽観的すぎる。

@Tetsuro_S_Phil

彼の性に関する認知を探る必要もある。性に対する正しい知識も必要。でないと、今度は男児に対する類似の性犯罪（行為Aのより過激な形である行為B）を起こしかねない。さらに被害者を増やし、彼は刑務所行きか、自殺かという痛ましい結果が残る。それを避けるための教育を行わなければ。

@Tetsuro_S_Phil

では、この性教育は誰がやるのだろう。やっぱり私かなあ。彼が出歩くときには、どんなに膝が痛くても必死に彼についていく父親を見ていると、これ以上の負担はかけられない。私が彼に多少比重を重くして教育するのが妥当な線か。

@Tetsuro_S_Phil

そして両親は、自閉症について肝心なところがわかっていない。両親ときょうだいは、彼の行為Aを歪んだ小児性愛だとしか捉えきれていない（無理もないが）。行為Aを起こす理由は彼から口止めされている。別の例を挙げて彼の特性を説明しなければ。親と膝詰めで話し、支援することが必要と感じた。

@Tetsuro_S_Phil

私は今回の面接で、彼をモンスター的存在から一人の生身の人間に引き戻すことはできた。しかしこの先の彼の生きづらさ（人生の思いどおりのいかなさ）を思うと、どんな支援が適切なのか……？あーーー、難しい。とりあえず、次は親と面接しよう。あとは行動しながら次の手を打つ。

@Tetsuro_S_Phil

以上、連続ツイート大変失礼しました。何か良い知恵がありましたらぜひ御拝借願いたく存じます。

Yuki Nakano @yuki58

@Tetsuro_S_Phil 連続ツイート拝見しました。言葉にならないけどそこまで引き出すことができたことに感嘆。私にはよい知恵など何もありません。そういう人にとって何が必要なのか、難しいですね。通常の枠にはめられない人を受け入れる場所（物心両面）がないように思います。