折太刀日記:連続ツイート・時事ネタまとめ

折太刀日記(@katakoi_mttd)の、通常のつぶやき以外のもののまとめ。
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折太刀日記 @Katakoi_mttd

今度ばかりは死ぬかと思った。今でもまだ、首のあたりがすっとする。どうして人間の体というのは、ところどころ弱い部分があるんだろう。あの一発を貰っていたら、本当に胴体とさよならするところだった。刀で受けるなら何ともない一撃なのに。まあ、いいか。生き残れたことだし。

2015-04-01 09:01:13
折太刀日記 @Katakoi_mttd

手入部屋の小人たちが、さまざまな道具や薬を頭に掲げて走り回っているのが可愛かった。本人たちは大忙しなんだろうけれど、身を任せている僕は気楽なものだ。人が近づいてくると、足音で吹き飛ばされるみたいに散るのがまた可愛い。重傷者への見舞いが制限されるのは、どうやらこれが理由らしい。

2015-04-01 10:01:19
折太刀日記 @Katakoi_mttd

意識が戻って間もなく主がやってきたので、簡単に報告を済ませた。どうやら検非違使は、その隊で一番練度の高い者に引き寄せられるらしい。前々から感じていたことではあったが、今回のことで確証を持てた。

2015-04-01 11:00:58
折太刀日記 @Katakoi_mttd

主の傍には彼が控えていたので、僕はばれないように笑ってみせた。僕が囮をやって正解だっただろ。君は確かに足も速いし囮向きだけど、あいつらの行動原則はああなんだから、今回ばかりは釣り出せなかったはずだ。不慣れなことをしたせいでぼろぼろではあるが、成果が上がったんだから認めてほしい。

2015-04-01 12:01:55
折太刀日記 @Katakoi_mttd

彼は凄い目でこちらを睨みつけてきた。なんとか話をしたかったが、主が近くにいるからそう言う訳にもいかない。一言も話せないうちに、彼は手入部屋を出て行った。

2015-04-01 13:01:09
折太刀日記 @Katakoi_mttd

なにもできないのでうとうとしていると、手入部屋の障子がすぱっと開いて、顔面に木の札が命中した。手伝い札だ。小人たちが一気に集まってきて、一気に体が回復した。どういう原理か理解に苦しむし、彼がこれを投げつけてきた理由も、その時は良く分からなかった。

2015-04-01 14:00:59
折太刀日記 @Katakoi_mttd

広間に出ると、一番に駆け寄ってきてくれたのは鶴丸さんだった。良かったと言って手を取られて、僕の方がびっくりした。あの鶴丸さんが、「驚いた」ではなくて「良かった」なんて。それではっとしたらしくて、あの状況で戻って来られるなんて驚きだな、なんて、わざとらしいいつもらしさに戻った。

2015-04-01 15:01:20
折太刀日記 @Katakoi_mttd

僕は自分で思っていた以上に重傷だったらしく、皆がありがたい言葉をくれるので、かえって恥ずかしいくらいだった。そんな感じでしばらく話していると、彼が足音高くやってきて、大変な目に遭ったんだからそいつにあまり構うな、お前も今日は部屋で休め、と居丈高に言い放って、その場を去っていった。

2015-04-01 16:00:57
折太刀日記 @Katakoi_mttd

実際、体が重いのは確かだったので、部屋に戻った。それで、この日記がうっかり机に出しっ放しになっていることに気が付いた。危なかった。もしあのまま討死していたら、きっと誰かに見つかる。戦の資料と間違われて、彼に読まれる可能性だってある。それはさすがに、死んでも死にきれない。

2015-04-01 17:01:35
折太刀日記 @Katakoi_mttd

縁側に出てぼんやりしていると、彼がやってきた。主から見舞いがあったのを忘れていたと言った。朝会ったばかりなのに、妙な話だ。手渡されたのは花束だった。きっと自分で選んで、品物選びに困って、僕が前に花を持って行ったのを思い出したのだと思う。彼は本当に不器用で、それが愛しい。

2015-04-01 18:01:02
折太刀日記 @Katakoi_mttd

俺は怒っているんだと彼は言った。怒っているんだが、自分が怒っている理由が分からないのだそうだ。きっと彼は、自分が傷つくのは平気でも、他人が傷つくのは我慢ならないたちなのだろう。危険な役は全部自分が引き受けていたいのだ。今回それが叶わなかったのが、悔しいのだと思う。

2015-04-01 19:01:17
折太刀日記 @Katakoi_mttd

自己犠牲とはまた違う。彼はいつだって、生きて帰ろうとしている。腕を捨てても足を捨てても帰ろうとする。いつもひたむきで、まっすぐだ。誇り高いのだと思う。誰よりも切れ味鋭く、誰よりも優れていようとする。だから仲間は決して見捨てないし、傷つくことも許せない。守る対象だからだ。

2015-04-01 20:01:51
折太刀日記 @Katakoi_mttd

そんなことを直接言うわけにもいかないので、僕はただ、心配してくれたんだねと答えた。彼は少し言葉に詰まってから、そうかもしれないと言った。こんなことなら、もっと鍛えておけば良かったと言った。そうすればお前が狙われることもなかったと、ひどく辛そうな声で言った。

2015-04-01 21:01:45
折太刀日記 @Katakoi_mttd

彼は僕が折れて死ぬ夢を見たらしい。それで気が気でなかったのだそうだ。昨日はすまなかったと彼は言った。謝れないまま別れるなど、考えるだけで恐ろしいと。お前にいなくなってもらっては困る、お前がいなくては散歩の仕方も分からないと彼は言って、最後に、もう置いていかれるのは嫌だと呟いた。

2015-04-01 22:01:25
折太刀日記 @Katakoi_mttd

彼は少し涙声になっていて、僕はいたたまれなくなった。そうまで自分が思われているなんて、全然気付かなかった。ずっと彼を見つめていたのに、情けないことだ。僕は反省して、ひとつ約束した。絶対に置いていったりしないと。こうして書いてみると、陳腐で恥ずかしいな。でも、そうすると決めたんだ。

2015-04-01 23:01:11
折太刀日記 @Katakoi_mttd

それからのことは、敢えて記さない。ただ、この日記をつける必要は、もうなくなった。少なくとも、もう悶々としないで済みそうだ。思い出した時に、こっそり見返してみることにしよう。しっかりしまっておかないと。彼に見せられないことには、変わりないんだから。

2015-04-01 23:51:20
折太刀日記 @Katakoi_mttd

【日記はここで終わっている】

2015-04-01 23:56:02
折太刀日記 @Katakoi_mttd

【嘘日記はこれ限り。元の日記にこの日のことはなく、付された日付は最後の次の日。折れかけただけで済んだなら、きっと翌日記されて、いつか彼を赤面させただろう一頁。本日からはまた、通常の内容に戻ります】

2015-04-02 00:02:21
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