一日目、交流 - 今様に落つる怪奇譚

2015/04/02から2015/04/05までの、人間とあやかしの語らいの様子です。
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蓮田 颯丞 @hasterMissing

どう答えたものか躊躇っていると、大人びた女の子が語ってくれた。 どこかあやかしにも似ている少女。けれどあやかしとは何かが決定的に違う少女。 そしてふと、あるいはようやく。夕奈は周りの人々に目を向ける事を思い出した。 いや、正確には人らしきものへと。人であるという確証はない。

2015-04-04 14:27:30
蓮田 颯丞 @hasterMissing

目を巡らせれば、近くには長い黒髪の少女と日本人形のような女の子。 浮世絵離れしている人形少女はともかく、黒髪少女は着ている服も纏う雰囲気も人間のそれだった。 自分以外に人間(確定)がいる事に、密かに安堵する。

2015-04-04 14:31:34
白堀之水藤 @sirafji

答える声に静かにうなずく。 煙管を咥えて一息付けば、ねぶると黒いののやりとりを眺めてぼそりと呟き始めた。 「…あやかしは人間の『思い』から生まれるんだ。恐怖、希望、畏れ、恨み、願い…色々な『思い』から、あたしら『あやかし』は生まれる。」

2015-04-04 15:08:54
白堀之水藤 @sirafji

「神様だってそうだ、日本には古来より八百万の神といって、そこに転がる石も、木も、なんにでも神様はいると信じ、大切にしようとする『思い』から生まれる。居てほしいと思うから居る。昔の人間は見えずとも確かにそこに居ると信じてた。だからこそあたしら『あやかし』は生きてこれたのさ」

2015-04-04 15:09:05
白堀之水藤 @sirafji

近くの小石を拾い上げ手で弄び、ほろりと零すように地へ落した。触れていた小石は水に落されたように濡れている。 そうして、よく見れば蛇のように縦に割れた焔目を今近くに居る人間ふたつにしかと向けた。

2015-04-04 15:09:13
白堀之水藤 @sirafji

「けど今はどうだ、お前さんも、あんたらも、あたしらなんてもの居るはずがない、もしくは伝承の類いだって、噂話にすぎない架空の生物だって思ってたんじゃあないのかい?」 どこか叱るようなきつい口調。けれど次の瞬間にはふっと笑顔を戻し柔らかく零した。

2015-04-04 15:10:03
白堀之水藤 @sirafji

「記憶と同じさ。忘れられたら死ぬ。あやかしも、神様だなんてのも、結局は人間によって左右されるのさ」

2015-04-04 15:11:22
白堀之水藤 @sirafji

「…ふふ、ちょっと湿っぽくなっちまったねぇ。まぁ今のところ生きるのに簡単な手法といえば『恨み』だからな。怨恨やら呪いやらで人間に危害を加えれば簡単に『呪い』だのなんだのって認識できるだろう?今やそういうのばっかだ。…蓮といったな、お前さんならよくわかるんじゃないのかい?」

2015-04-04 15:12:30
白堀之水藤 @sirafji

霊能力者なら、きっと見てきたんじゃないだろうかと。 恨み祟り鎖繋がる様に残る者、危害を加える者、あるいはただ訳も分からずふらふらと彷徨う者。 「あやかしに残された手段は三つ。このまま消えゆくか、恨み祟りそして朽ちるか。新たな宿主…まぁ認識してくれる人間と一緒に生きていくか、だな」

2015-04-04 15:13:32
染井 恭子 @Swamp_swap

妖怪ですら作法を守るのに。 新しい柄杓を手に取ると先程と同じように口をつけて飲み干して。 じゃぶじゃぶと水遊びをするように乱雑に洗った後、元に戻す。 洗いかたが乱雑すぎて袖口がぐっしょりと濡れているが気にするようすはない。

2015-04-04 15:29:54
染井 恭子 @Swamp_swap

「憑かれるのは、構わない。」 聞いていないようで聞いていたようで。 そう、返答する。 袖口で眼鏡を拭こうとして、諦める。 「なれてるから。」

2015-04-04 15:45:46
不老 蓮 @Lotus_frow

「……」 白堀之水藤の言葉に対して、まるで教科書の内容を聞くように。そうしてこちら側へと向けられる目。 「……それは」 僕が見たことがあるあやかしといえば、それこそ恨みを糧とするものばかりだった。人間に危害を加え、徘徊するだけのもの。

2015-04-04 16:15:36
不老 蓮 @Lotus_frow

これらは決して弱いとは言い切れない。けれど。 再び僕に向けて問われた「分かるんじゃないか」という言葉。僕は首肯するだけにとどめて瞑目する。

2015-04-04 16:15:47
不老 蓮 @Lotus_frow

「……それ」 それから、目をゆっくりと開いて手水舎に目線をやる。 『黒いの』さんが乱雑に洗った柄杓を指す。 「……もう少し、お綺麗に……」 洗って、ください。

2015-04-04 16:26:05
赫滑ねぶる @akanameneburu

「おぅ、なんでぇ嬢ちゃん、案外ぶきっちょさんかい?」 ヘラヘラと笑いながら、腰に巻いた花市松柄の作務衣のポケットから手ぬぐいを取り出し、黒い少女へと無造作に差し出す。 その白い手ぬぐいには、青色で『天然温泉はなひし屋』と印字が施されていた。

2015-04-04 19:27:50
染井 恭子 @Swamp_swap

蓮に言われ少し悩んだ後。 柄杓をまるごと水に沈めた。 水槽を覗きこむようにたっぷり一分を数え。 袖をめくることなく、水の中に腕を入れ柄杓を持ち上げる。 ねぶるから手拭いを受け取るとそれで柄杓を丁寧に拭き取って元の場所に戻した。 どややぁ とした雰囲気で蓮に向き直って。

2015-04-04 19:43:40
染井 恭子 @Swamp_swap

それから。 肌に張り付く感覚が気になるのか濡れて黒く色を変えた袖をじっと見た後。 手元にまだ手拭いを持っていたことを思い出して 「ありがと、うござい。ます。」 それをねぶるに返すように差し出す。

2015-04-04 19:45:03
赫滑ねぶる @akanameneburu

「なんでやねーん!じゃなくて、手まで拭けってぇの!」 思わずナニワ式でツッコミを入れてから、返された手ぬぐいを受け取り、少女のビチャビチャの腕をつかんで、手ぬぐいをポンポンと押し当てるようにして水を吸わせる。 「……こりゃ、手ぬぐいじゃあ足りねぇなぁ」 呆れて笑う。

2015-04-04 19:59:56
赫滑ねぶる @akanameneburu

風呂でも沸かして、釜の前に一時間も干しといてやれば乾くかな、などと考えながら。 「…こりゃしかしアレだ、憑かれ慣れてるってぇのぁ、お嬢ちゃんも難儀だねぇ」 労うと言うよりは、どこか世間話じみた言葉で。 「まぁ、そいつぁ俺らにとっちゃあ、なんとも都合のいい話だぁな」

2015-04-04 19:59:58
赫滑ねぶる @akanameneburu

「水藤の姐さんが言ったとおりで……例えば俺が生きてくにぁ、『穢れを落とすために風呂に入る』人間が必要なんだ。まあ、君らにもわかりやすく言うなら、『穢れ』ってぇなぁ、疲れとかストレスとか憂鬱とか傷心とか……そういうたぐいの、新陳代謝で死んだ魂の屑。心身に溜まる悪い『垢』だ」

2015-04-04 20:02:18
赫滑ねぶる @akanameneburu

「湯船に浸かってあぁ〜極楽極楽生き返る〜ってな安堵のため息の一つもつきゃ、俺が一日食うに困らねぇだけの『穢れ』が落ちるんだが……最近は風呂なんてワンタッチで沸くもんだから、ありがたみも忘れて、流れ作業で入るヤツが多すぎんだ。全く、粋も何もあったもんじゃねぇ」 最後は愚痴である。

2015-04-04 20:03:22
赫滑ねぶる @akanameneburu

「そいで、お嬢ちゃん。……風呂ぁ好きかい?」 濁った灰色の目を歪め。 ニヤリと、本人なりの親愛に満ちた笑顔で、びしょ濡れの少女に問いかける。

2015-04-04 23:01:53
染井 恭子 @Swamp_swap

「そのうち、居なくなる。」 大人しく、袖を捕まれる。 腕をすぽっと抜いて絞った方が早い気もする。 「憑くけどいなくなる。」 それは、はたして延命になっているのか。 あるいは、彼女の甲斐の無さにほとほと呆れて出ていっただけかもしれないが。

2015-04-05 00:40:19
染井 恭子 @Swamp_swap

「おふろ?」 はじめて聞いた単語のようにそれを繰り返し。 「……はいる、よ?」 ただ、そう 今の彼女にはその心地よさを語るすべはない 穢れが落ちているかなんて、目に見えない 目に見えなければ、彼女はそれを語れない

2015-04-05 00:41:34
不老 蓮 @Lotus_frow

どやぁぁ、としたお顔を眺める。なんともいえないよう苦笑してから「それでいいです」と僕は言った。この人はこういう人なんだろう。不思議な人だ。 「……」 ねぶると黒いのさんの会話に意識を傾けながら、差し込む斜陽に目を細めた。もうそろそろ暗くなる時間。

2015-04-05 11:55:04
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