伊勢神宮のご神体はなぜ鏡か

fukuebisu @fukuebisu_tao

『道教と日本思想』福永光司著‥（徳間書房刊） p５４～‥Ⅱ鬼道と神道…中国古代の宗教思想と日本古代… ・中国古代宗教思想誌の研究はなぜ必要か ・中国の神仙道教と「天皇」 ・伊勢神宮のご神体はなぜ鏡か ・日本古代研究の再検討を ・中国古代思想史の四重構造 →

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@fukuebisu_tao →『道教と日本思想』福永光司著‥（目次続き） ・シャーマニズムとしての鬼道 ・教理学としての神道 ・「鬼道」という言葉の意味変遷 ・「神道」という言葉の意味変遷 ・神道と「三玄（易・老・荘）」の学 ・仏教一辺倒の日本古代宗教思想の研究 →

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『道教と日本思想』福永光司著‥（徳間書店刊）より p６１ 　・伊勢神宮のご神体はなぜ鏡か それからこれはごく最近のことですけれども、私のこのような考え方を最もはっきり裏付けるものとして、伊勢神宮のご神体がなぜ鏡であるかという問題を取り上げてみました。→

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（伊勢神宮のご神体がなぜ鏡であるかという問題を取り上げてみました。） →　このことは『古事記』や『皇大神宮儀式帳』…これは平安朝の初期、延暦２３年（８０４）年に朝廷に献上されていますけれども…などには、すでにはっきりと、書かれております。→

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→『古事記』には天孫降臨にあたって天照皇大神が「この鏡はもっぱら吾が御魂として、吾が前を拝（いつ）くがごとくいつきまつれ」といっているように、言葉としては、はっきり書かれているわけです。そして具体的な制度儀礼として鏡をご神体にしていることが明記されているのは、この『儀式帳』です→

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（*古代中国道教が‥この島国の古代地方政権に与えた影響を考える上で‥） →それならば、なぜ鏡がご神体になるのかという問題。これは、伊勢神宮に限らず、伊勢神宮を元締めとする日本の神社の多くがやはり、鏡をご神体にしております。→

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→私は九州豊前の出身ですけれども、昔、小さいときに、村の氏神様の神殿が修理されるとき、中には何が祭られているのだろうかとのぞいてみましたら、やはり鏡がご神体として安置されてありました。私の郷里だけでなく日本の神社で、鏡がご神体になっているところはかなり多いだろうと思います。→

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→p６２ では、なぜ鏡がご神体になっているかとのかといえば、私は中国の神仙道教の思想に源流を持つと思います。といいますのは、鏡を製作する技術そのものが中国から来たものです。このことは現在の考古学や科学技術史でも反論の余地のないほど確実なこととされており、ましてやその鏡が‥→

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（仿製鏡） →神秘的な霊力を持つとする思想、あるいはご神体としてお祭りするという宗教哲学は、先ほど申しました中国の神仙道教の宗教思想史で、非常に古くから…西暦以前の頃から、成立しておりますから、それが日本において、古代のある時期に渡ってきたものであるということはまず間違いない。→

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→と申しますのは、それ以前の日本では、ご神体は鏡ではなかった。例えば近畿の三輪神社に行きますと、今でもご神体は鏡ではなくして山そのものがご神体になっています。 　つまり、これらのことからも知られるように、本来日本の神社は必ずしも鏡をご神体にしていなかった。→

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→伊勢神社の場合も本来は、伊勢地方で、豊年豊漁を祈る土着的な祭祀が行われていて、それが古代日本国家の成立とともに国家祭祀として格上げされ、政治的性格を持つようになって、神宮と呼ばれるようになったと考えられる。→

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注（*「と申しますのは、それ以前の日本では、ご神体は鏡ではなかった。例えば近畿の三輪神社に行きますと、今でもご神体は鏡ではなくして山そのものがご神体になっています。」とか「本来日本の神社は」は検討されるべきである。暗黙に‥この島国に独自の‥という縦糸が意識されすぎていはしないか）