とあるツイッタラーの語る、経済成長・一億総中流・貧困と、人口ボーナス・オーナス ほか

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きつね @gon_shot

問題関心は現在の日本の構造的な政策課題を、(総力戦体制からの連続性と、占領統治下での改革との二つの要因から説明される)戦後体制の解体過程から明らかにすること。その際、戦後体制の特色を資本蓄積型の残滓的福祉国家モデルに求める。それは大河内理論と生産第一主義に思想的基盤をおく。

2010-12-19 14:34:40
きつね @gon_shot

「国民所得倍増計画」以降、生産第一主義は資本蓄積型の税制と、完全雇用による社会保障の確保を政策目標に置く。公的福祉は発達せず、代わりに企業福祉がその役割を担った。この生産第一主義の最大の特徴は再配分機能の欠如である。

2010-12-19 14:42:25
きつね @gon_shot

より正確を期せば、再配分機能を不要とするような水平的平等が生産性の向上(=経済成長)によって実現するだろう、という楽観的観測の下に成立している。これは「一億総中流」という大きな物語として国民に共有された。一方でこの成長から取り残される外部(典型的には雇用に参入できない高齢者など)

2010-12-19 14:45:24
きつね @gon_shot

に対しては、「救貧」措置が取られた。これはあくまでシステムの外部に「貧困層」を位置づける政策である。同様の措置は心身障害者に対しても取られた。この生産第一主義はその行き過ぎ(=構造的課題ではなく単に調子に乗りすぎたが故の公害等)から1960年代後半以降左派や市民運動の抵抗を招く。

2010-12-19 14:50:38
きつね @gon_shot

しかしながら、より巨視的にみれば生産第一主義=経済成長そのものを支えていた「人口ボーナス」が急速に凋んでいったことの方が問題であった。興味深いのはなぜか政府がこの点に対し無関心だったこと。既に1950年代後半に高齢者人口の爆発的増加が厚生白書で懸念されていたにも関わらず、である。

2010-12-19 14:54:56
きつね @gon_shot

人口ボーナスの終焉は二つの帰結を齎す。第一に社会保障費の増大。第二に経済成長の鈍化。安価な労働力供給も終わり(尤もそれでも1970年代後半の日本人の平均給与はアメリカのそれより遥かに低かったが)、国内市場規模の拡大も止まる。

2010-12-19 15:00:36
きつね @gon_shot

さて、生産第一主義は内需指向型の産業政策と一体であり、この産業政策の軸となっていたのが地域間再分配のシステムとしての公共投資であった。1980年代に日本の輸出競争型産業は国際化を強める。これと平行して国主体の公共投資の削減と実施主体の地方移転が行われるようになる。

2010-12-19 15:05:34
きつね @gon_shot

これは、明らかに経済の二重構造の深刻化という帰結を生んだ。そしてこのあたりからグローバリゼーションの浸透というまた一つ別の問題(今までの方法論的ナショナリズムからは分析しきれない余剰)が生じてくるのである。

2010-12-19 15:10:18
きつね @gon_shot

さて、全体の趨勢はこんなものでいいとして、これを「福祉国家」というレベルから分析するとなると何をすればいいのやら…そもそもどの程度まで各論に踏み込むべきなのか、分析のレベルをどこに置けばいいのか、というのが問題になる。つまるところ「福祉国家」ってなに?ってことが。

2010-12-19 15:12:34
きつね @gon_shot

社会保障政策の実施主体を「福祉国家」と呼ぶとすれば、それは企業福祉に大きく依存した日本型福祉レジームの重要な側面を見落とすことになる。しかし逆に地域間再分配政策を含むとすればそれは定義の徒な拡張であるとの批判を受けざるを得ないであろう。

2010-12-19 15:17:58
きつね @gon_shot

ここで総合政策とか言い始めたら負けなんだろうな…てかこの仮説を検証するためにはそもそもの臨調の経緯(つまり1970年代後半の財政赤字の拡大)が社会保障費の増大によるものだということを示せないとだめじゃね?

2010-12-19 15:26:29
きつね @gon_shot

確か単純に公共投資の拡大によるものだったはず…だとすれば、むしろ内需指向型のモデルを無理に推し進めようとした結果の破綻とみなすべきか。

2010-12-19 15:29:54