『アニメ作家としての手塚治虫 その軌跡と本質』(津堅信之)を批判する --- その4

その3はこちら。 http://togetter.com/li/807080 以下も合わせて読んでいただくとうれしいです。 続きを読む
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It happens sometimes @ElementaryGard

「第四章 実験アニメーションの成果」から。

2015-04-11 23:20:39
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手塚アニメといっても商業用ではなく、自腹で作った(作らせた)ものが何本かあります。

2015-04-11 23:21:30
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p138に表があります。全13本。『ある街角の物語』はこれまで何度も紹介した作品です。東映で挫折した後、リミテッドに走った手塚の再起作。

2015-04-11 23:23:01
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1984年『JUMPING』。tezukaosamu.net/jp/anime/72.ht… 一人称アニメ。ゴムまりのようにひたすら飛んで跳ねていく。とんでもなく枚数を使っています。

2015-04-11 23:27:33
It happens sometimes @ElementaryGard

実際の作画は小林準治。彼の動画はもっと滑らかなものでしたが、試写を見て手塚の意向でわざと絵を抜いたところもあるそうです。

2015-04-11 23:29:22
It happens sometimes @ElementaryGard

1963年『鉄腕アトム』第一話から。youtu.be/SluIFzvWmx0 こういうのお好きですね手塚先生。動きよりメリハリ。飛躍するの。

2015-04-11 23:36:06
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『増補改訂版 作画汗まみれ』に、東映アニメの『西遊記』(1960年)のために手塚が描いた絵コンテ(を秘蔵っ子の月岡貞夫が清書した)と、実際に使われた絵コンテが紹介されていました。手塚コンテはメリハリ優先。コマつなぎはあまり滑らかではないんですよ。

2015-04-11 23:42:38
It happens sometimes @ElementaryGard

なんかこう、カットごとに流れが止まってしまう。そのカットごとに何かひとを驚かせる仕掛けがされている。そんな印象。

2015-04-11 23:43:33
It happens sometimes @ElementaryGard

もともとアニメーション、というか広義でいう映画に向く資質ではなかった、と見ます。

2015-04-11 23:44:24
It happens sometimes @ElementaryGard

p168で津堅は、1969年、1970年、1973年に公開された虫プロ制作の成人アニメ映画三部作について「もしも虫プロが倒産していなければ、『鉄腕アトム』によってテレビアニメ時代を切り開いたのと同じ構図で、アニメラマ路線を新たなアニメの分野として切り開いていたことに

2015-04-11 23:47:05
It happens sometimes @ElementaryGard

なっていたかもしれない」と論評。「近年、アニメファンの青年向けのテレビシリーズや、ふだんはあまりアニメを見ない20~30歳代のサラリーマン世代向けのテレビシリーズが深夜枠を賑わせている。そうした、幅広い世代へ向けてアニメーションを送り出すという戦略としてのアニメラマは、

2015-04-11 23:49:29
It happens sometimes @ElementaryGard

そもそもの企画は発注者のヘラルドからもたらされたとはいえ、手塚治虫のアニメーションに対する柔軟な解釈がもたらした作品群だったと評価すべきである」

2015-04-11 23:50:33
It happens sometimes @ElementaryGard

贔屓の引き倒しとしか思えない理屈。虫プロが倒産を免れていたとしても、それこそ成人アニメ映画路線はもう取らなかったはずです。赤字三連発なんだから。それよりもテレビアニメでぎりぎり採算を維持する道を選んだと思います。

2015-04-11 23:52:07
It happens sometimes @ElementaryGard

深夜アニメとの比較も無茶。あれは要するに、大のおとなが子ども文化を楽しむ構図。アニメラマは違うでしょ。アート狙いだったのだから。

2015-04-11 23:53:15
It happens sometimes @ElementaryGard

アニメラマ三部作で露呈したのは、虫プロが制作管理をろくにできないということ。この三部作で監督を務めた山本暎一そのひとが『虫プロ興亡記』のなかで漏らしています。どこのセクションでどのカットの何を誰がどうしているのかも途中で把握できなくなってしまった、と。

2015-04-11 23:55:35
It happens sometimes @ElementaryGard

『西遊記』で挫折を味わった手塚が、よせばいいのに劇場用作品に手を伸ばした。自分が現場の、とりわけ人間の管理能力がなかった(またはそういうのを嫌がった)のを忘れてしまった。新しいことに挑みたいという野心に駆られて。

2015-04-11 23:57:14
It happens sometimes @ElementaryGard

テレビアニメの世界で独り勝ちの時代がとうに終わってしまったなか、新機軸を求めたのです。

2015-04-11 23:57:49
It happens sometimes @ElementaryGard

津堅はなぜか指摘していないのですが、手塚の実験アニメ(ちなみにアニメラマ三部作は商業作品です)は、虫プロで作ったわけではありません。『展覧会の絵』からして虫プロの企画会議で却下されたので手塚の自費で制作された。宮崎駿が後にこき下ろしたオムニバス。

2015-04-11 23:59:42
It happens sometimes @ElementaryGard

ディズニーに心底憧れ、いつか自分でスタジオを作るんだと必死にまんがを描いて資金を貯めていたところに東映アニメから声がかかって大張り切りで参加したけれど管理者になれない自分を思い知って挫折しリミテッドに走ったらテレビアニメで油田を掘り当てたもののやがて失速。

2015-04-12 00:04:38
It happens sometimes @ElementaryGard

彼の実験アニメは、その隙間に咲いたあだ花という気がします。

2015-04-12 00:05:01
It happens sometimes @ElementaryGard

宮崎駿による手塚の個人アニメへの評。

2015-04-12 00:11:37
It happens sometimes @ElementaryGard

>ぼくが、いったいどこで手塚さんへの通過儀礼をしたかというと、彼の初期のアニメを何本か見たときです。  漂流している男のところに滴が一本たれ落ちる「しずく」(1965.9)や「人魚」(64.9)という作品では、それらが持っている安っぽいペシミズムにうんざりした。

2015-04-12 00:11:47
It happens sometimes @ElementaryGard

>かつて手塚さんがアトムの初期のころ持っていたペシミズムとは、質的に違うと思って-あるいはアトムのころはぼくが幼かったために安っぽいペシミズムにも悲劇性を感じてゾクゾクしただけかもしれない。その辺はもう確かめようがありませんが。要するに、残骸がそこにあった。

2015-04-12 00:12:16