スパイスを探しに#4(終)

冒険者の二人がスパイスを取りにあるダンジョンを訪れたときの話です。そこには不思議な老人がいて…… #1はこちら http://togetter.com/li/798275 #2はこちら http://togetter.com/li/801267 #3はこちら http://togetter.com/li/807614 続きを読む
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ミェルヒはエンジェの手に自分の手を重ねて一生懸命ハンドルを回した。ゆっくりと開くゲートの扉。「その扉の向こうに行けばワシの魔法の領域から外れ、帰還の魔法を使えるじゃろう。さらばじゃ」 二人はハンドルを回す。火の勢いは止まらず、やがて夢は……全て灰になった。 120

2015-04-18 20:24:50
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――スパイスを探しに エピローグ

2015-04-18 20:28:44
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帰還の魔法によって、二人は坑道前のキャンプに帰還した。全身煤だらけで顔は真っ黒だ。二人は新鮮な空気を吸って、大きな仕事の終わりに脱力した。村役場の職員が帰還に気付いて慌てて二人のいるテントに入ってくる。「大丈夫ですか!?」 「先任の冒険者はもう回収できなかったよ」 121

2015-04-18 20:31:17
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ミェルヒは申し訳なさそうに肩をすくめた。「工場から煙が出てますよ!? これはいったい……」 「害虫駆除さ。サービスだ」 そう言ってミェルヒはバシネットのバイザーを上げる。職員は役場に連絡を入れるため、慌ただしくテントを出ていった。「燃えちゃったね」 122

2015-04-18 20:33:25
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エンジェは悲しそうにテントの入口から覗く景色を見る。丁度坑道の口が開いていて、そこから煙が出ているのが分かる。「おじいちゃんの夢が全部燃えていくよ……夢はダメだと思ったら、全部捨てなくちゃいけないのかなぁ。私の夢も……」 エンジェは呟く。ミェルヒは笑った。 123

2015-04-18 20:36:43
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「スパイスの生態、忘れたのかい? アレは熱によって初めて発芽するのさ。ちょうど、山火事が多発する地域が原産なのさ」 エンジェはミェルヒの言いたいことが分かって、笑顔になる。ミェルヒは手拭いで顔を拭って言った。「灰からでも芽吹くものはあるって話さ」 124

2015-04-18 20:39:15
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「そう、おじいさんの夢は終わらない……」 ミェルヒは新しい手拭いをエンジェに差し出す。「顔、真っ黒だよ」 エンジェは、煤で真っ黒の顔のまま照れたのだった。125

2015-04-18 20:42:10
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――スパイスを探しに (了)

2015-04-18 20:43:28