ニー仏さんの新著『仏教思想のゼロポイント―「悟り」とは何か』への反応
- southmtmonk
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ニー仏さんの新著、第七章まで読む。第七章は興味ぶかい話だよ。ニー仏さんの現時点での仏教にたいする考え方が開示されてる。仏教者もよくよく考えねばならんテーマやと思う。まあとにかく最後まで読もう。
2015-04-26 08:26:28読了したので紹介。魚川祐司(ニー仏さん)の新著『仏教思想のゼロポイント』(新潮社、2015)。主にパーリ経典を考察の対象としつつゴータマ・ブッダの仏教を解説したもの。だからといって文献ばっかりに依拠するわけではない。→
2015-04-26 14:25:34従来、研究者には欠けていたと思われる現代の瞑想実践者たちの意見を参考にして、ゴータマの言う解脱・涅槃とは何か、ゴータマが悟った後なぜ死ななかったのか、ということを明らかにされている。→
2015-04-26 14:26:06もちろんニー仏さんが言うように、パーリ経典に依拠するからと言って氏の理解がテーラワーダ寄りになることはない。それは本を読んで頂いてもわかると思うが、西洋哲学や禅の理解を披瀝しつつ、ご自身の解釈を提示されている。→
2015-04-26 14:26:58個人的にその解釈は考察力に非常に富み、そして大胆、かつクリアなものと思った。研究書ではないが、仏教に慣れていないものには少し難しいかもしれない。しかし、それに少しでも興味のある方には読んで頂きたいし、仏教者はもちろんのこと、→
2015-04-26 14:27:54私は文献学をメインとするところからすでに距離を取っていて、普通の坊主だ。そして拝むこと、実践することを主とする真言坊主としての私に重きを置いている。文献学は文献学として捉えているが、坊主としての私はというと、文献学をたまに無視してありえない解釈をしては一人喜悦に浸っている次第。
2015-04-26 14:30:31だから従来、文献学と坊主とのつながりは見えにくいものであったが、ニー仏さんのようなご成果は良い意味で私に刺激を与えて下さった。ニー仏さんを嚆矢として今後もこのようなタイプの書籍がじゃんじゃん出てくれば良いなと思う。
2015-04-26 14:30:5450年後に振り返ってそういえばニー仏さんのあの本以降、仏教界の空気がちょっと変わったよね、みたいな。あ、今、私、井上円了の『仏教活論序論』出版時のことを思って言ってます。青年僧侶に与えた影響力が大きかったから。
2015-04-26 14:31:28そうかニー仏さんはSue Hamiltonさんの著書にわりと影響を受けているのか。私は五蘊のこと勉強しようとしたときにジャイナ専門の谷川先生からこういう本があると紹介された。それがIdentity and experienceという著書だったと思う。
2015-04-26 15:15:59その後、五蘊に関する著書がVetter先生のものや、なんかもう一冊出版されて読むの大変やなあと思ったことがある。仏教は「人間とは何か」ではなく「人間とはどのようであるか」を明らかにするものだとHamiltonさんは仰ってた。
2015-04-26 15:17:07そうそうあとニー仏さんが瞑想では人格はよくならないということを仰っていたけど、それに関連することでいうとゾンサル・ジャムヤン・ケンツェ・リンポチェがNot for Happinessという著書を出版されてて、幸福感を得たいがために瞑想するってのは薦めまへんってこと仰ってたと思う。
2015-04-26 15:45:12ゾンサルさんの面白いなって思うところは仏教と現代科学の接点とか言ってもしゃあないよ、むしろ仏教と経済との関係を研究する方が重要なんじゃない、みたなこと仰ってて、ああこれは猊下を乗り越えていこうとされるのかなと感心した記憶がある。ゾンサルさんの本は和訳されてもよいと思うなあ。
2015-04-26 15:45:51ニー仏さんの言葉を拝借。「如実の風光からすれば、物語の世界から解放されてるのだから、有意味/無意味という視点が全くの虚構に過ぎん」ということ。ご存じのようにインドの文法学的な視点を持ち込むと「無意味」の「無」の解釈は二通りあると思う。
2015-04-27 04:55:10一つはニー仏さんが指摘されるように「無」ということであらたな「有」を生成してしまう場合。相対否定。一つはあらたな「有」を全く生成しない場合。絶対否定。発話者の意図によって「無」の解釈は異なってくる。
2015-04-27 04:56:09ニー仏さんの意図するところはそういうことではないが、「そんなの無意味だ」っていう話者の意図はインドの文法学的な観点を持ち込むとややこしくなっちまう。私の理解間違ってるかもしれんので、どなたか専門家いらっしゃったら訂正なりなんなりして下さい。
2015-04-27 04:57:26智慧と慈悲の関係、これは智慧を空性としても同じことで、このことはSchmithausen先生も問題にしていることだ。緊張関係にあると言ってた。しかしニー仏さんは文献学を越えた実践的な視点でそれを乗り越えようとされている。
2015-04-27 05:06:44日本の仏教者はじめ密教坊主はとくに両者の関係をさも当然のように両立すると捉えようとするがそんなもんじゃない。ちょっと立ち止まらんと。
2015-04-27 05:07:40『仏教思想のゼロポイント-悟りとは何か』魚川祐司著、新潮社。「ゴータマ・ブッダの仏教」の根本思想を簡明に説明しており、さらに特筆すべきは研究者と実践者の仏教理解の統合を目指す著者の姿勢である。両者の乖離は日本において特に顕著であるという認識はとても大事なことだ。
2015-04-28 18:25:11