《『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』に対する個人的メモ》

今後、追加と整理を行う予定。 原発事故発生前に、「『葛藤』を抱えながら、『純粋な日常の生活』を『普通』に続けるしかない」という結論が提出されていて、事故発生後もその結論が変更されていない、というのが開沼氏の基本的立場。
32
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(開沼博著)には、注釈はあるし、多数の参考文献記録もある。しかし、開沼氏自身の調査研究過程、調査手法、調査対象が、記録として全く示されていない。これでは、地域住民の話の中で、開沼氏がどのような選択基準で話を取り上げたかを確認できない

2015-05-04 17:53:32
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

この書籍が、物語であるとかエッセイであるとか主張するならば、この形でも大きな問題はないだろう。聞き書きの内容を実名付きで書籍内に記した人々への謝辞も、あとがきでは記載されているので、その方々への礼儀も最低限果たしたと言えるだろう。 が、他の調査対象者にはどうなのか?

2015-05-04 17:59:43
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

民俗学だろうが、地域社会学だろうが、人々から話を聞く調査者に対する戒めとして数十年来厳しく言われているのは「調査対象者には、決して失礼なことをするな。研究成果がまとまったら必ず、お礼の言葉を添えて研究成果を渡せ。それを怠ったら、学問分野自体が悪評を蒙り、後進の道を断つ」ことの筈だ

2015-05-04 18:03:26
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

開沼博氏は、311前後に話を聞いた多くの人に、自らの研究成果をきちんと示しているだろうか? 特に、修士論文を書き上げるために話を聞いた多くの人に、出来上がった論文または、それをベースにした書籍に関して、きちんと報告しているだろうか? 残念ながら、報告はまだのようだ。

2015-05-04 18:08:09

2015年5月5日追加

宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたか』(開沼博著 2011年) 読めば読むだけ、事実誤認だらけで泣けてくるほどだ。著者が「福島生まれ」であることがセールスポイントであるはずなのに、福島県関係の原子力に関する知識と引用文献が、古過ぎる。(続く)

2015-05-05 14:41:31
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

(続き)事故発生数年前、井戸川氏が双葉町長に就任した時代から双葉町財政が原発関係の陥った話は、開沼氏が語る「原子力ムラ」(氏は、原子力施設立地地域をこう呼ぶ)の現状とは異なるので省略されている。双葉町は原子力施設の新規立地が無くなって補助金がカットされ、財政再建団体突入寸前だった

2015-05-05 14:46:09

誤「原発関係の陥った話」
正「原発関係で陥った話」

宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

(続き)福島県の学校教育の中で「原発」に関して教わったことがあるかどうかについては、文献引用は1980年の朝日新聞いわき支社の記述だし、「住民の多くは『学校で原子力について習ったことは無い』「家族でもそんなに深刻に原発の話はしたことがない』と答える。」(開沼著 P104)とある

2015-05-05 14:51:26
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

(続き)開沼氏が通学していた学校の図書館がどの程度整備され、寄贈本がどの程度閲覧可能にされ、さらにそこにどの程度開沼氏が足を運んでいたかは知らない。が、2000年ごろには、1年に20種類程度の原発推進本が、福島県内の公立学校宛てに寄贈されていた。(当時私は、図書館担当教員だった)

2015-05-05 14:54:42
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

(続き)いわき市は開沼氏の定義では「原子力ムラ」に入らないので知らないのかもしれないが、1970年代以降生まれの福島県原発立地自治体の小学生の殆どは、富岡町にあった「エネルギー館」は遠足コースの中で見学してきた例が多い。 開沼氏は原発立地地域の生活の詳細を知らないのだ。

2015-05-05 15:01:09
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

(続き)開沼氏が、彼が言う「原子力ムラ」(原発立地地元)に対して、どの程度の詳細さで「調査」したのかは、彼の著書のP097からP098に、正直に書かれている。フィールドワークは2006年7月から2007年11月まで。対象地域は青森県、福島県、新潟県。(続く)

2015-05-05 15:06:16
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

(続き)聞き取り対象者は40人超。 その中で引用に使ったのは、政治家や反原発アクティビストなどを除いた「普通の生活者12人」(「」は原文には付されていない)六ヶ所村住民、大間町住民、刈羽村住民と出身者、浪江町住民、双葉町住民、大熊町住民、富岡町住民3名と出身者。計12名。

2015-05-05 15:15:59
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

(続き)福島県の原発立地自治体で言うと、楢葉町だけが含まれていないことは、勿論問題だが。それよりもはるか手前の問題として、これだけの大きなテーマに関するフィールドワークとして、聞き取り対象50名未満、というのはあまりにもお粗末過ぎる。しかも各自治体からほぼ一人ずつしか選んでいない

2015-05-05 15:18:58
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

(続き)たまたまだが、原発事故発生後に開沼氏の聞き取りを受けた経験者から聞いた話によると、 開沼氏による聞き取りは2時間弱にわたったという。一人から聞き取りをする時間としては、短いとは言えないが、それを合計50人未満から実施しただけで論文は書かれたのだ。(続く)

2015-05-05 15:23:15
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

(続き)著書を読む限りにおいては、開沼氏は自らを「原子力ムラ」(原発立地地元の住民社会)の外部にいる人間として文章を記述している。いわば「外部の第三者」だ。そのような属性の人物が、50人弱から話を聞いて、古い文献を読み漁って、「原子力ムラ」の人たちの気持ちが分かるだろうか?

2015-05-05 15:26:24
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

開沼氏の論文に出てくる「原子力ムラ」住民の話は、個人的な経験だけからも、最低でも事実に基づいていないことが分かる。 「事実に基づかない話」になった理由は、詳細情報が公開されていないので、話をした人が事実に基づかないことを語ったのか、開沼氏が話を作ったのか、確認する術が無い。

2015-05-05 16:33:26
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

2006年から2007年ごろに、「危険な作業をするために『黒人』(原文ママ)が来て作業している」「危険な作業をする住民などいない」というのは事実に反する。 アフリカ系の外国人が来て作業をしていたというのは、第一原発稼動前後の話として岩本忠夫嫌疑(当時)が議会で質問していた昔の話。

2015-05-05 16:37:55
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

岩本県議(当時)が県議会で質問した直後に、外国人作業者は一斉に姿を消した。この話は、1985年ごろに私が双葉町に住むようになった頃に、多くの人が「内輪の話」として語っていた。その後は、外国人作業員が大勢来たという話は、原発事故発生前には聞いた記憶が無い。

2015-05-05 16:40:59
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

開沼氏が書く「危険な仕事」というのが、線量被ばくを伴う作業のことだとするなら、地元住民でも従事していた者は、ずっといた。「計画線量」にすぐに到達するので「1日の作業時間は実質10分だ」という話は、元生徒から、1990年ごろ、私が直接聞いた話だった。

2015-05-05 16:44:08