- volcano_tan
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それじゃ、今夜の連続ツイートを始めるね。今回は第1部で火山と観光の関係について話して、それを踏まえた上で第2部では箱根火山と今回の活動についてを話す予定だよ。
2015-05-05 20:02:18まず火山と観光について話していくね。 日本には110の活火山と、それには指定されていないものの山体のはっきりした火山がたくさんあるけれど、それらは様々な形で観光資源になっているんだよ。
2015-05-05 20:04:47例えば富士山だったら景色の一部として、また登山の対象として観光資源になっているね。箱根や草津、伊香保などの温泉地は火山と関係が深いし、浅間山の山麓には避暑地として有名な軽井沢があるよね。これらは火山がマグマの熱によって活動し、噴火を続けてきたからこそ存在するんだよ。
2015-05-05 20:08:49ただ、火山活動は観光資源であると同時に、予測が難しいことによって災害をもたらす原因にもなり得るんだよね。私は、これが火山活動という自然現象の特異性であり、そのために様々な問題が生じていると思うんだよ。
2015-05-05 20:11:58たとえば台風や土砂崩れ、また地震といった自然現象は、それ自身が災害の原因になる事はあっても、それ自身が観光資源になる事はほとんど無いよね。 ところが火山は、マグマの熱による火山活動である温泉や噴気、時には噴火でさえも観光資源になってしまうんだよ。
2015-05-05 20:15:21こういう性質があるから、火山活動の観光をする際には「観光客の安全」と「観光産業が地域経済を潤すこと」を天秤にかける必要性が出てくるんだよね。その2つを両立させるのがベストではあるんだけれど、現状としてはなかなか難しいという感じかな…
2015-05-05 20:18:55そういった難しさがある火山観光だけれど、ここからは過去の事例をいくつか挙げつつ火山観光と防災の関係を見ていくね。 最初に紹介するのは1986年に伊豆大島で起きた噴火だよ。
2015-05-05 20:21:05この火山は島の中心にカルデラがあって、最初はそこの中にある山で噴火が始まったんだよ。真っ赤な溶岩が噴き上がる様子を、火口から距離のあるカルデラの縁で見れるという事で、島には多くの観光客がやってきたんだよね。 pic.twitter.com/SONq04TMDr
2015-05-05 20:24:54ところが噴火開始から数日が経つと、火口から溶岩が噴き上がらなくなってしまったんだよ。それでも観光客はやってきて、地元の観光業に従事している人は火口付近へ行く事を許可するように地元自治体に要請したとか…この時点までは、噴火は観光資源でしか無かったんだよね。
2015-05-05 20:28:55しかし、火山は予測できない行動をする存在なんだよ… 最初の噴火から6日後、カルデラの縁に居た観光客やマスコミ関係者たちが感じられるほどの地震が急に増えた後、カルデラ床に割れ目火口が開いて真っ赤な火柱が立ち上がったんだよ。 youtube.com/watch?v=LOuvyD…
2015-05-05 20:34:37ただちに避難が行われて幸いにも人的被害はなかったんだけれど、もし火口の位置や風向きが違っていたらカルデラの縁に居た人たちに大きな被害が出ていたかもしれない事例なんだよ。
2015-05-05 20:38:02この噴火と、その5年後に起きた雲仙普賢岳での火砕流による被害などによって、だんだん「噴火には適切な対応をしないといけない」という意識が広がっていったように思えるんだよ。 ただ、この時点では基本的に、地域住民の被害をどう減らすのかがメインに検討されていたんだよね。
2015-05-05 20:41:22観光を考えた上での火山への意識が変わり始めたのが、2000年に起きた有珠山での噴火だよ。その数年前から、有珠山の周りのいくつかの自治体は住民へのハザードマップの配布とそれに基づく避難訓練の実施などを行っていたんだよ。
2015-05-05 20:47:33そういう事は今では当たり前になっているけれど、当時はまだ「被害予測を地図で示されると地価が下がる」などの反発があったんだよね。だけれど、有珠山の周辺の人たちは防災を進める事を選んだんだよ。それは、「有珠山のおかげで観光産業が成り立っている」と感じていたからだと言われているんだよ。
2015-05-05 20:50:18洞爺湖温泉街や昭和新山など、有珠山がもたらした観光資源が多くあって、それを活かした観光が行われてきているのが有珠山の周辺なんだよね。火山の恵みを感じているからこそ、たまに噴火がやってくるという現実を認識して備えておこう…そういう意識が育ち始めたんだよ。
2015-05-05 20:52:57そして、2000年の噴火では地域住民を中心に地元自治体などの行政、気象台や北海道大学などの専門機関、テレビ局や新聞社などのマスコミが協力して、日本で初めてとなる噴火前の避難が達成されたんだよ。
2015-05-05 20:55:56さらに、噴火活動が落ち着いた後には、その噴火で生じた火口や被害を受けた道路や建物などは噴火の記憶を受け継ぐために保存されて観光用の道などが整備されたんだよ。普段は火山を観光資源として利用しつつ、緊急時には適切な対処をするという付き合い方が確立しつつあるんだよね。
2015-05-05 21:01:05ただ…火山の地元に住んでいる人は普段から火山の事を学習して避難などを考えているから良いとして、噴火の時にたまたま居た観光客は必ずしも必要な情報を持っているというワケじゃないよね?その問題がクローズアップされるようになったのが、2014年の御嶽山噴火だよ。
2015-05-05 21:03:30あの噴火は戦後最悪の火山災害となってしまったんだけれど、地元自治体への被害はほとんど無かったんだよね。噴火の規模としては小さな方だったのだけれど、噴火のタイミングや山の知名度など様々な条件が重なって大きな災害になってしまったんだよ。
2015-05-05 21:07:59噴火前に気象庁から火山性地震が増加しているという情報は出されていたんだけれど、山に居た人のほとんどはその事を知らなくて…それどころか、御嶽山が火山だという事を知らない人も居たみたいなんだよね。
2015-05-05 21:10:11適切な情報を火山に来た観光客に対して分かりやすく伝える…これが、御嶽山の噴火から得られた教訓の1つだと思うんだよ。 ただ、それは火山防災の事を考えた場合なんだよね。噴火が与える別の影響…それは、地元の観光業への打撃だよ。
2015-05-05 21:14:09噴火が直接的には影響しないだろうと思われるエリアでも、観光の目玉スポットが火口の近くにあって立ち入りが規制されたら、そこへの観光で成り立っている地元経済は破綻するんだよね。実際、御嶽山の噴火でもそういう事が起きたんだよ。
2015-05-05 21:16:39御嶽山麓の王滝村は、冬季の大きな観光資源が山腹のスキー場なんだよね。だけれど、噴火によってそこの一部への立ち入りが規制されたからスキー場の営業が出来ない状態が続いたんだよ。 私は去年末に王滝村に行ったんだけれど、観光客はとても少なかったんだよね。
2015-05-05 21:20:20村の食堂に入ってみると、やってきてた地元の人たちが「誰々のお母さんがスキー場閉鎖で職が無くなって…」というような会話をしていて、村全体に元気が無いのが感じられたんだよ。
2015-05-05 21:23:32この場合のように噴火が起きてしまったのなら、そういう影響は仕方ない事かもだけれど、噴火まで至っていないのに観光に影響が出ている場合もあるよね。今年になってから噴火警報が発表された蔵王山の山麓がそうだよ。
2015-05-05 21:25:26