お前は素質ない、無駄だからやめとけ と言われ続けながらも50年とか60年とか研鑽を続けてようやくリアルニンジャと認めてもらえるゲンドーソー の話
2015-05-08 02:57:22のちにネオサイタマと呼ばれるこの土地に一つのドージョーが建てられた 周囲の新築ラッシュの喧騒を尻目に、不思議な静謐を保つバイオバンブー林に囲まれどこかシンピテキなアトモスフィアを放っている 2
2015-05-08 02:58:42「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」 裂帛の気合いが空気を切り裂きカラテトレーニング音が響く バンブーを飛び越え、身の丈の3倍のマフラーを地面につけないように走る 彼らは発狂マニアック集団であろうか? その目に狂気の曇りはない 3
2015-05-08 02:59:29カラテトレーニング者の中1人の少年がいた バンブーは跳び越せずマフラーを踏んで転んでばかりいる 彼の名はゲンドーソー このドージョーの一番年若いドージョー生だ 4
2015-05-08 02:59:54赤子の頃とある災害に巻き込まれ身寄りの無くなっていた彼は当時の対策班の司令官に引き取られた 彼は赤子を慈しみ、名を与え共に映画を見たがほどなく始まったばかりの電子戦争で命をおとした 6
2015-05-08 03:00:51その際まだ幼いゲンドーソーを引き取ったのが、養父の古い友人を名乗るこのドージョーのセンセイだった。 「ドーモ、ゲンドーソー=サン。ドラゴン・ニンジャです。」 その胸は豊満であった。 7
2015-05-08 03:01:35「ド、ドーモ、ドラゴン・ニンジャ=サン。これからお願いします…です」 「緊張しなくていいですよ、お父様は残念でしたね これからはずっとここにいていいんですよ、ね、ゲンちゃん」 「エッ⁉︎ゲンちゃ…?」 8
2015-05-08 03:02:01「あ、ごめんなさい。あまり子供と接することがなくて…ゲンドーソーですし、ゲンちゃんと呼んでみたのですが…嫌でしたか?」 「ううん、初めてだから驚いただけだよ…です」 「あなたはドージョーの門下生ではなく、これから家族となるんですからもっと気楽にして」 9
2015-05-08 03:02:31「でも…」 「それとも、ここが風呂場だから照れているんですか?おませな子ですね」 ドラゴンは楽しげに笑った。 その胸は豊満だった。10
2015-05-08 03:03:16ドラゴンは家族としてゲンドーソーと接していたがほどなく彼の方からドージョーでのカラテトレーニングに参加したいと言い出した。 初めこそ年齢を理由に難色を示したドラゴンだがすぐにゲンドーソーのドージョー参加を許した。12
2015-05-08 03:04:18ゲンドーソーの養父をなくす原因となった電子戦争の泥沼化はドラゴン・ニンジャにとって明白であった。その争いの時代にゲンドーソー自身を守るためのカラテが必要になると感じていたからだった。13
2015-05-08 03:04:46ドージョーにはゲンドーソーを含め全部で10人程度の門下生がいたが特別彼に悪意を持って接する者は居らずむしろ年若い彼の存在は皆の心を和ませた。14
2015-05-08 03:05:12「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」 「お、ゲンちゃん今日も元気だな!頑張れよ ほら、もっと高く跳ばないとぶつかるぞぉ」 「素早く突くためには反対の手をより素早く引くことが大切なんだ」 15
2015-05-08 03:06:04「気の抜けたコーラは回復に最適」 「センセイと一緒にお風呂羨ましい…どんなだったか教えてくれよォ」 「ゲンちゃんカラテ向いてないんじゃないの?」16
2015-05-08 03:06:31「イヤーッ!ゲンドーソーに構っていないで自分のトレーニングに戻りなさい!さもなくば私と30時間無休クミテスパーリングをさせますよ」 「セ、センセイ、さすがにそれは…」 「イヤーッ!」 「「「「「ハイヨロコンデー」」」」」17
2015-05-08 03:06:59ドージョー生が各自のトレーニングに戻って行く 「ドラゴン、ありが、痛!」 「ゲンちゃん、ドージョーにいるときはセンセイと呼びなさいと言っているでしょ」 「センセイだって僕のことをゲンちゃんって呼ぶくせに…」18
2015-05-08 03:07:23「センセイはセンセイだからいいんです。さあ、もう一度やってみましょう」 「僕もうだめだよ、スリケンも全然当たらないし…当たっても全然的をたおせないし」19
2015-05-08 03:08:02「忘れたんですか?インストラクション・ワン、《百発のスリケンで倒せぬ相手だからといって、一発の力に頼ってはならぬ。一千発のスリケンを投げるのだ!》 まだまだこれからですよ」 「うぅ…わかった」 「頑張って、今日のトレーニング終わったら2人でラーメン食べに行きましょう?ね?」20
2015-05-08 03:08:58「うん!頑張る!センセイなると好きでしょ、僕のもあげるね!」 「ありがとう、ゲンちゃん。じゃあセンセイのチャーシューはゲンちゃんにあげましょう。さぁ、頑張ってあと少し!」 ドージョー生の暖かな笑いが響く 戦火はずっと遠い 今はまだ 21
2015-05-08 03:09:53電子戦争は開戦からすでに10年以上経過していた。 徴兵制が始まりドージョー生も1人、また1人と戦地に連れ出され、今のここにはドラゴンとゲンドーソーの2人しか残っていない。かつての温かみは消えていた。 23
2015-05-08 03:11:58