そして、ゲンドーソーは青年となっていた。 「センセイ、お呼びでしょうか」 「自ら兵士に志願したそうですね。 メンターの許しもなくドージョーを離れると?」 「これまでの鍛錬、チャドーは今この難局を打開するために…」 24
2015-05-08 03:12:43「ダマラッシェー!私がそんなことのためにあなたを鍛えてきたと思っていたのですか?お父様から託されたあなたを立派な人に」 「だからこそ、父の仇もそこにあればこそです」 「彼がそんなことを喜ぶはずがない。あなたは何もわかっていないんです。戦争はあなたが想像するようなものではない」25
2015-05-08 03:13:13「それでも俺は行きます、仮にここで師弟の縁を切られたとしても」 「…わかりました、あなたは言っても聞きませんからね。 ですが、これだけは忘れないでください。私はずっとあなたのセンセイですよ、これからも」 「センセイ…」 26
2015-05-08 03:14:06「インストラクション・ツー!《ニンジャは地水火風の精霊と常にコネクトし、操る存在。これをフーリンカザンと称す!》 」 「センセイ、今更そんなこと言われずともわかっています」 「だからあなたはアホなのです 未だニンジャにもなれぬ青二才が知った口をきかないことですね」27
2015-05-08 03:14:59「…くっ」 「戦場での振る舞いは常にフーリンカザンを意識する。これもニンジャの修行の一環と捉えなさい。そもそもまだ私の修行は終わっていないんですよ。 だから、必ず生きて帰ってくるのです。いいですね?」28
2015-05-08 03:15:31「はい…はい!センセイ、ありがとう、ございます」 「ほら何を泣いているんですか、兵士が泣いていて務まるんですか?やはりここで私と修行しているべきなのでは?」 「うっ、目にゴミが入っただけです!」29
2015-05-08 03:15:57「そういうことにしておきましょうか。でラーメンでも食べに行きましょうか? 今日は久しぶりに私が払いましょう」 「いえ、でもさすがにそれは…」 「センセイだからいいんです!当然なるとはもらいますからね!」 二人は久しぶりに笑いあった 30
2015-05-08 03:16:38高高度ニュークの使用はもはや夏の花火と変わらない風物詩と化し、海の穢れは閾値を超え近頃はマグロが人を殺すそうだ。じきに激しい磁気嵐が発生するようになるかもしれない。京都が独立するという噂すらある。33
2015-05-08 03:20:15おぉ、マッポーカリプス!!ブッダは寝ているのですか? そんな時代にあってもゲンドーソーが幼少から過ごしたドージョーは変わっていなかった。34
2015-05-08 03:20:50ようやく戻ってこれた。 彼は疲れていた。だがセンセイの、親代わりであるドラゴン・ニンジャの教えを忠実に守り続けた。 フーリンカザンを、すなわちカラテを。 そして生きて帰ってきた。35
2015-05-08 03:21:30彼はすでに壮年となっていた。 戸口に立ち彼は叫んだ。 「ただいま戻りました。こんなにも遅くなってしまい申し訳ありません」 ドージョーから最後に別れた時と全く変わらぬ姿でドラゴン・ニンジャが飛び出したとき、ゲンドーソーはいっとき呼吸も忘れ呆然としていた。35
2015-05-08 03:22:09頭では理解していたはずだった。リアルニンジャであるセンセイは年をほとんど取らないだろうと だがこれでは不老不死ではないか? むしろ私の娘といっても通るような… 唐突に全感覚が戻ってくる 36
2015-05-08 03:22:49「よかった…よく、生きて帰ってきてくれました。ゲンドーソー…本当に…」 センセイは泣いていた。己の胸に顔を押し付けて、声をあげて あぁ、やはりセンセイだ この暖かさ、私の母のような存在… 37
2015-05-08 03:23:57「ようやくニンジャとなれましたね、あなたほど覚えの悪い弟子は初めてです」 「こんな年齢になってしまいました、もはやニンジャににはなれぬかと…」40
2015-05-08 03:25:16「今日からあなたはローシ・ニンジャを名乗りなさい。ニュービーなのにローシ、おかしいですね」 「ローシ・ニンジャ…ありがとうございます」 「ドーモ、ローシ・ニンジャ=サン、ドラゴン・ニンジャです」 「ドーモ、ドラゴン・ニンジャ=サン、…ローシ・ニンジャです」41
2015-05-08 03:25:40「ふふふ、その調子ですよ。そのうちに馴染んできます」 一息ついてから、ドラゴン・ニンジャは真っ直ぐにローシ・ニンジャの瞳を見つめ、言った。 「私はこれより記憶を失い、ただの小娘同然となるでしょう。あなたがドラゴン・ドージョーを支えるのです」42
2015-05-08 03:26:18「そんな、私にそのような大役…」 「あなたはわたしが認めたニンジャ、このドラゴン・ニンジャが手ずから育てたローシ・ニンジャですよ、胸を張りなさい」 「僕は…」43
2015-05-08 03:26:48「できの悪いあなただからこそわかるはずです。 インストラクション・ワン 《百発のスリケンで倒せぬ相手だからといって、一発の力に頼ってはならぬ。一千発のスリケンを投げるのだ!》 頼みましたよ」 「センセイ!僕は」 「これからはあなたがセンセイですよ、ゲンちゃん、オタッシャデ」44
2015-05-08 03:27:22「…カノ、ユカノ!大丈夫か?ユカノッ!」 「ん、」 「おおユカノ無事だったか!わしがわかるか?」 「ユカ…ノ?…あなたは?」 「お前は頭を打ってしまったのだ。わしがわかるか?お前の祖父ドラゴン・ゲンドーソーだ」46
2015-05-08 03:28:33「ごめんなさい、わからない….」 「良い、良いのだオヌシが生きていてくれれば…またここから始めよう ドーモ、……ユカノ=サン、ローシ・ニンジャです。」 「ニンジャ?」 「そうだ、今一度オヌシにドラゴンドージョーの全てを伝える、覚悟せよ。だが今は少し休め」47
2015-05-08 03:30:16