- scidreamer
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(1)「トリクルダウン理論」というものが提唱されている。これは、「『富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる(トリクルダウンする)』とする経済理論または経済思想」(Wikipedia)だ。
2015-05-10 11:32:29(2)しかし、この理論は現実に即していないように思われる。実際、「実証性の観点からは、富裕層をさらに富ませれば貧困層の経済状況が改善することを裏付ける有力な研究は存在しないとされている」(同上)とある。
2015-05-10 11:33:30(3)経済とは循環だ。それは特にお金を中心とした富の循環である。経済が成長するとは富の循環が促進されるということであり、経済が停滞するとは富の循環が停滞するということである。
2015-05-10 11:34:33(4)この富は二つの理由で遍在する傾向がある。第一に、各人の労働能力の差である。これによって労働所得は遍在する。第二に、資産が資産を生む性質である。これによって資産が多い者ほどさらに多くの不労所得を得る。
2015-05-10 11:35:19(5)このように富は一部の人間(労働能力の高い者、資産を多く持つ者)に集まる傾向がある。これはさながら、水が高い所から低い所に自然に流れるようなものだ。富が「滴り落ちる」のはむしろ「貧しい者から富める者へ」なのである。
2015-05-10 11:36:02(6)さて、先に経済は富の循環であると言った。しかし、一方で富は貧しい者から富める者へ流れる傾向がある。自然に任せれば、貧しい者はますます貧しくなり、富める者はますます富むであろう。そうすると、この富の循環(経済)も停滞してしまう。
2015-05-10 11:36:44(7)自然に任せれば、富は偏在し、経済が停滞する。それでは富の循環を促進するにはどうしたら良いだろうか。そのためには、富が偏在しようとするという自然の法則に反して、この富を人為的に再分配することが必要である。
2015-05-10 11:37:31(8)重力の法則によって山から海へ流れた水を、太陽のエネルギーが蒸発させることで、水は雲になり雨や雪になり山へ戻り、水は循環し続ける。それと同様に、富める者に遍在する傾向がある富を、政府が吸い上げて貧しい者に再分配し、富の循環を維持するのだ。
2015-05-10 11:38:14(9)これを『ポンプアップ理論』と名付けよう。政府が富裕層の富を吸い上げ(ポンプアップし)、貧困層へと再分配することによって、富の循環を促進し、経済を成長させることができるのである。
2015-05-10 11:39:12(10)この『ポンプアップ理論』はディマンドサイド経済学と親和性が高いだろう。つまり、消費性向の低い富裕層から消費性向の高い貧困層に富を再分配することで、総需要を増やし、経済を成長させることができるというわけだ。
2015-05-10 11:40:22