九段会館を取り壊すのは文明国失格の愚行か！？―歴史的建築物との向き合い方。―

壁|*'ω')〜♪📷ぬころじ〜 @Necologie

九段会館、天井落ちたのに全面取り壊しじゃないのか！ という声を散見しますが、茨城空港のターミナルビルも震災の時に天井落ちてますから取り壊さないといけませんね。 というより長周期地震の際の吊り天井の宿命なんですわ、落っこちちゃうのは。

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九段会館はしっかり構造診断して、そのうえで保存再生を決めるべきだったのだ。 政治的判断より経済的判断が優先された結果、帝冠建築の最高峰たる軍人会館はこの世より永久に姿を消すのである。

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それに比して私が九段会館を帝冠建築の最高傑作というのは、 その大胆な白亜の石壁の使い方である。 牛ヶ淵に臨し、水面に映ることを考えると煉瓦色は地味である。 そのため白亜の色合いを使うべきだが、調和が取りにくい。 しかしそこを美観と偉容を優先し、大胆に配しながら上手くまとめたのだ。

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並べると、九段会館の白亜の石壁の存在感が際立っているのがわかる。 九段会館は道路側と広場側、そして牛ヶ淵側の三方正面とした大傑作といえる。 このような大傑作は天下に二つとない偉容を有すると言っても過言でなく、 勿体無いの一言である。 pic.twitter.com/RnRAZWVpZ6

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九段会館について申しておりますと、よく 「日本は台風、地震もある、自然が厳しいから歴史的建造物は残せないから仕方ない」 と諭されるわけです。 が、そんなのは 「日本人は地震で潰されないよう、台風で飛ばされてもいいように紙と木でできた家に住まざるを得ない」 と言うようなものです。

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(承前)上の言葉は欧米で日本の家について述べた古いものでありますが、まだ日本人自身に皮肉にもそのような諦観があるわけです。 歴史的建造物や町並み保全というと、やはり美観ガーの人たちがオランダやパリの美しい均整の取れた街並みを挙げるものですから、 西欧の専売特許のように思えます。

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(承前)西欧は硬い岩盤の上で穏やかな自然に恵まれていますが、 では他の地域では日本と同じく都心の歴史的建造物は朽ちるに任せ建て直すしかないのでしょうか？ と、問われれば答えはノーであります。 日本より雨が多く土地の無いシンガポール、地震が多く雨も多いインドネシアも保全に熱心です。

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(承前)特にこの2国にあるのは「植民地建築」という負の歴史的建造物であります。日本のように明るい開花の歴史の建物ではありません。 韓国のように市民がツルハシを振るい壊してもよかったでしょう。 しかし、シンガポールのシティ地区、ジャカルタのコタ・トゥア地区はしかと保全されています。

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(承前)ようは「自然が厳しいから」とか「日本は建造物保存に適さない」というのは物知り顔の逃げ口上でしか無いわけです。 結局のところは、自国史上最大級の出来事のあった歴史的建造物をファサードを残して破壊する、という行為を国家が止めない、 「国家の意識の問題」であるわけです。

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(承前)正の遺産であれ、負の遺産であれ、国家の歴史は都市にて起こり、都市の中でその舞台となった建物は「普通の国なら保全する」のです。 日本はその意識が無い、といって過言ではありません。 九段会館は国有財産で経済の摂理の外にあり毀損されることは無いのに、払下げてまで建替えする。

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(承前)シンガポールが歴史地区を 「自然災害のリスクもあるし、再開発する利益もあるので、象徴的な一棟の壁面のみ保存して複合オフィスビル街に建替えます」 と言ったら非難轟々となるでしょう。 シンガポール自身、負の遺産であれ歴史地区を観光化してますし。 日本はあまり観光化しませんが。

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(承前)世界第3位の経済規模をもつ大国でありながら、金が無い金を出せ！と民間が騒ぎながら、 国はウンともスンともニンともカンとも、な国ははっきり言ってオンリーインジャパンであります。 企業の文化事業に頼らず、日本国自身がもっと非商業的な文化的庇護者でなければいけません。