藤村龍至さんによる『東京でBIGを語る』(レム・コールハース、中島直人、太田佳代子、藤村龍至 南後由和 )の感想(20150519)

レム・コールハース、太田佳代子、藤村龍至らが参加する、トークセッション「東京でBIGを語る」が開催されます。開催日は、2015年5月17日。会場は、TSUTAYA TOKYO ROPPONGIです。参加条件ありです。『S,M,L,XL+――現代都市をめぐるエッセイ』の出版を記念して行われるものです。 ********** 「S,M,L,XL+――現代都市をめぐるエッセイ」 続きを読む
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Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

藤村:国際的にみれば日本列島こそが日本人にとっての最大のビッグネス建築作品かも知れないし、これからは福島第一原発の廃炉現場こそが最大のビッグネス建築というアイロニーをどう考えるか。

2015-05-19 08:56:53
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:藤村の質問は本についての質問というよりコメントでありもう少し具体的な質問だと応えやすいのだが、なかにいろいろな論点が織り込まれているのでそれについて話す。『S, M, L, XL』以後に何が起こったかはとても興味深い論点でまずこの本は出た時からインターネットを意識していた。

2015-05-19 08:59:55
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:本自体が、ハイパーテキスト構造であることを言っておきたい。インターネットとさらにビッグデータの存在は若者にとっては新しいライフスタイルに繋がるものだ。他方で日本で現在見られる建築活動を見ると非常に小さなスケールのものが多い。

2015-05-19 09:00:38
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:また、集団で何かするとき、リサーチ、行動、それのすくい上げ、といった構図が見られるが、これは60年代に理想とされた姿とはかけ離れている。私は日本のこのようなスモールスケールを扱うやり方にシンパシーを感じると同時に危うさを感じる。

2015-05-19 09:02:32
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:政治との関係を持てない、議論出来ないというのは退化であり、問題だ。アジアの国々には生命力や躍動感はあるが、欧米諸国同様、建築家に政治的な力がない。(=日本人建築家に対する「警告・注意喚起」その1)

2015-05-19 09:04:23
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

藤村:1995年にテレビタレント・アーキテクト(政治家)である青島都知事が当選し、伊東豊雄がマスタープランを描いていた世界都市博が中止となった。田中角栄の列島改造論の背後にはテレビでの世論の先導があった。今日、ビッグネスを動かすのにテレビはいまだ有効かが大阪都構想で問われている。

2015-05-19 09:07:38
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

藤村:キャス・サンスティーンがいうようにネットによる評判社会が全面化すると大衆が集団極性化する。コミュニティアプローチは「小さく」見えるが、うまくイシューを設定するとこれまでと違うかたちで大衆を手なずける方法となる。ブルームバーグがニューヨークを動かしたように。

2015-05-19 09:09:26
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:ブルームバーグは成功したと思う? 藤村:そう思う レム:我々は時に我々の想像をはるかに超えるスケールのものを相手にしなくてはいけない。そしてその様な相手にとっては金儲けが第一優先だ。全てを圧倒する様な組織体に対抗しなくては行けないとき、今までの伝統的な手法は通用しない。

2015-05-19 09:11:53
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:背後に退いたビッグネスに抵抗することはあらゆる建築家が今までに経験したことのないこと。敢えてこの言葉を使わせてもらうなら、それはまるで「津波」なのだ。そのことを若い世代に「警告・注意喚起」したい。

2015-05-19 09:14:30
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

藤村:若い世代がコールハースの「警告」を受けて、スモールネスをネットワークしてビッグネスに対抗することに取り組んでいるから大丈夫だとお伝えしたい。 レム:グッド・ラック(笑)!

2015-05-19 09:16:56
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

ここまでで半分。続きは後ほど。

2015-05-19 09:17:29
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

南後:英語版は95年のメディア感覚を感じ、ネットサーフィン的に読んだが、日本語版は精読するものという印象。質問はGoogle、FB、TSUTAYAなどビッグデータを扱う民間企業は社会全体に影響を与えているなかで、建築≒都市となりうる時代に果たして建築はどうすべきだろうか?

2015-05-19 12:07:09
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

南後:1960年代の状況主義者、特にコンスタントの影響については?

2015-05-19 12:07:40
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:日本語版はただの翻訳ではなく、翻訳者との長年の対話と理解の末にある。画像をほとんど挿入しなかった点が重要で、是非テキストに集中して欲しい。私は自分の職能を文筆家と定義している。建築家は通常建築家でしかいられないが、文筆家はどんな人間にもなれる(その後の質問には答えず)。

2015-05-19 12:12:05
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

会場からの質問(1):建築家たちは建築を扱う以上、物理的に対処する必要があると思うが、現代では物理的な環境はどのように変化したと思うか?

2015-05-19 12:13:40
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:建築はその時代ごとのメタファーの具現化といえる。コンピューター業界では建築用語を用いて複雑なものごとを整理し、論理の組み立てに使う。また現代では都市と地方の関係なども物理的なものとしてではなく、むしろそれ以外の要素で考えられる。もはや物理的な段階ではないとも言える。

2015-05-19 12:14:54
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

会場からの質問(2):コールハース氏がミースやコルビュジエなどの巨匠に並ぶ存在だと先生から聞いた。なぜ文筆家から建築家になったのか。(=「私は文筆家だ」と言っているのにそれを誤解している発言)

2015-05-19 12:17:20
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:(学生の質問を遮って)先回りして答える。何とでも説明できるが、25, 6歳の時にロシアに初めて行き、モスクワで構成主義に触れ、異なる人生の提案をする、人がどう生きるかを考えるという点で建築家と文筆家に差はないと気づいた。巨匠とはラジカルさに大きな差があり比較にならない。

2015-05-19 12:19:55
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

南後:建築家が何かを構築しなくては行けない義務から解放され思考する自由が与えられたのが現代ではないか。そういう観点から見ると今、日本では3.11以降の「建てない建築」や「コミュニティデザイン」が流行しているが、そのことについてどう思うか?

2015-05-19 12:22:36
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:建築が出来るのは形を与えることと、形を歪めることだ。医師は治すことしか出来ないが、建築は破壊も生産も出来る。現在の状況を見ると、この両義的な職能の有意義さは30年前より高まっていると思われる。

2015-05-19 12:24:44
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

藤村(口を挟む):ちなみに著者としては『S, M, L, XL』をどのように読んで欲しいか? 建築を拡大解釈するように読んで欲しいのか、これまでの建築を発展させ、押し進めるように読んで欲しいのか。

2015-05-19 12:29:12
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:二択の質問はやめてくれというくらいに辛い。自分にとって一番嬉しい読まれ方は想定外の反応を得ること。今の二択はどちらも私の想定内であり、想定内である以上それはどちらでもよい。

2015-05-19 12:30:43
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

藤村:なぜそういう質問をしたのかというと、今までの質問と会場に来ている人たちの表情を見ていると、彼らが『S, M, L, XL』を今の自分の置かれているそれぞれの立場や感情を肯定してもらいたい、そのための根拠として読もうとしているように見えるからだ。 レム:OK、次行こう!

2015-05-19 12:35:09
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

レム:(自己肯定したいという点に関して)ここで敢えて今まで話したことのないことをお話しするならば、経験したことのない状況に直面したとき、私はいつも恐怖を感じる。そこから少しずつ勇気を集めて打開するのだ。恐怖を理解し、誠意を持って向き合うことが重要だ。

2015-05-19 12:36:23