【GC_POD】薔薇と蝶の六時間舞踏会

墓維鈍 @steelmgmg

@goldius_m 応えてくれる。その舌のゆるやかな動きに、誘われるように口付けを繰り返す。 呼吸なんていらない。ここにあるのは魂の抽象的な形なのだから。 体を重ねたまま、喉に、心臓に、指を滑らせる。 この体の中に、私の種子が眠っている。 今はそれだけで充分だ。 →

墓維鈍 @steelmgmg

@goldius_m でも、もう少しだけ、ここでまどろんでいたい。 境界を擦れ合わせて、いたい。 個としての我を少しだけ手放して、眠りにも似た恍惚に、浸る。 【種子を宿させる】 22 [6D6] 6,6,6,1,2,1

ブリード（同盟） @goldius_m

@steelmgmg 脳が冷やせない。久々に外れた箍を何処かへやったまま、なくしてしまったようだ。 ただ、ぼんやりと口付けを受け入れては、体を滑る細指の感覚を追う。 種を飲ませられたことも、然程気にならない。気にすることができない。 心をとらわれた状態、とも言うのだろうか。 →

ブリード（同盟） @goldius_m

@steelmgmg 少し、唇を離して。 「りぎる、」 うまく回らない舌で名を呼んだ。どんな響きを持ったかは、分からない。ただ、ひどく熱に浮かされた声だった。 「 」 種子の事を聞こうとした喉が、舌が、もつれた。ごほごほと大量の花弁を吐き出す。 →

ブリード（同盟） @goldius_m

@steelmgmg 「これ、は、」 赤。白、青、黄。様々な色の花びらを吐き散らしながら、聞いた。 「なに、を、のんだ？」 真意など、どうでもよかったのだが、漠然と聞かねばならない気がして。

墓維鈍 @steelmgmg

@goldius_m 眩暈がする。 色香、花の色と香り。極彩色。混沌。 意識が遠のいて、口が勝手に回る。 「それは、私の狂気」 「君の心に根を張り、君の乳を吸い、やがて花咲く私の種子」 「その花が咲くとき、君と私は一つになるんだ。きっとね」

ブリード（同盟） @goldius_m

@steelmgmg 「ひとつ、に……」 自分のことではないように、その言葉を聞いていた。 「花が、咲く…………」 ぼんやり、反芻。ふ、と笑う。 「これから、どの戦場でも、『リギルグレイヴ』がついてくるのかと、思うと…………妙だな……」

墓維鈍 @steelmgmg

@goldius_m 「あは。――（奇妙な発音。ヴォイドと聞こえる）は、遍在するモノだから。私もまた、しかり。不確定な未来の、あらゆる分岐の先に、私はいる」 赤い蝶が、花びらにまぎれて、ひらり、はらり。 「未来で会おう。また、この場所で」

ブリード（同盟） @goldius_m

@steelmgmg 「……みらい、で」 そこまでだった。失血量と、喉を圧迫する花弁の閉塞が、意識を急激に奪う。 「リギル、 グレイヴ」 最後に一言だけ、呻くように、手を伸ばして。笑って。 「…………ザダム、は、とても、元気だぞ」 ぶつり。意識が途切れた。

墓維鈍 @steelmgmg

@goldius_m 死体のように静かな君に、少しだけ爪を立てて。 私がいない間、たった一人の家族の傍にいた人間。 感謝と――嫉ましさと。 「ゴルディウス。ありがとう……さよなら」 そしてこの名称未設定の感情は、寂しさ、あるいは。 今は微笑んで見送ろう。 →

墓維鈍 @steelmgmg

@goldius_m 「意識」のレベルが、現実の肉体に移行する。 灰の腕を操作し、ゴルディウスの懐から速やかに希望の箱を抜き取った。 これで自分の目的は一先ず、達成と言える。しかし、だ。 ぐったりとして血の気を失っている彼をこのまま放置しておくのは、色んな意味で非常に危ない。→

墓維鈍 @steelmgmg

@goldius_m 血液から入手した情報を大雑把に解析する―― 印象的な顔―― 風景―― 移動記録―― ――約束。 転送位置にだいたいの検討をつけることができた。 仲間のもとへ帰せば、介抱してもらえるだろう。 彼にはもう少し、生きていてほしい。 →

墓維鈍 @steelmgmg

@goldius_m 身体リソースをさらにカットし、混沌調律に振り分ける。 名残惜しいが、こんな体では触れることすらままならない。 歪んだ空間がゴルディウスを飲み込み、そして後には蟲の塊だけが残った。