昨日発生していたサイトログインできない不具合は修正されております(詳細はこちら)

ミイラレ!第二話:幽霊のこと(実況付き)

怪異に好かれる少年と退魔師の少女がなんやかんやするお話。引っ越して早々のトラブルです。 こちらは実況付きになります。原文のみはこちら→ http://togetter.com/li/829552
0
前へ 1 2 3 ・・ 6 次へ
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

幽霊の対面に座る怜は、厳しい表情を崩さない。「なるほど。じゃあ次の質問。なんでこの部屋を選んだの?」その問いに小夜子が無言で首を傾げる。「……ここ、アパートなんだから他にも入り込む場所はあったでしょ?なのにこの部屋を選んだのはなぜ?」「なんでと言われましても」30 #4215tk

2015-06-04 20:51:07
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

怜=サンの、浮気相手を問い詰めるがごとき容赦ない尋問だ。 #4215tk

2015-06-04 20:52:59
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

小夜子が困ったように顔を歪める。「居心地のよさそうな部屋だったからとしか……」「他の部屋とそんな変わらないと思うんだけどな」四季は思わずぼやく。小夜子が意外そうに彼を見た。「そうですか?けっこう住み心地が違いますよ」「ええー?」遠慮なく疑問の声を上げる四季。31 #4215tk

2015-06-04 20:54:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「……たぶん、ではあるんだけど」怜の声に二人は揃って彼女への向き直る。「部屋の霊気に惹かれたのかもね」自らの側頭部を指で軽く叩きながら、退魔師は続けた。「霊気?」「怪異が存在するために必要な……なんていえばいいかな、エネルギー?そんな感じのものなんだけど」32 #4215tk

2015-06-04 21:00:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「それがこの部屋に?」「というより、他の部屋よりそれが濃いのかも」「あー、言われてみればそうかもしれないです!」小夜子が得心したように手を打った。しかし四季は訝しむ。「なんでこの部屋だけそんなことに」「……一応それも説明できる」言いにくそうに彼女は口を開いた。33 #4215tk

2015-06-04 21:03:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「たぶんだけど、下見に来たときに四季の霊気が残ってたんだと思う」「俺の?」四季は首を傾げる。「人間も持ってるもんなの、霊気って」「生き物なら……ううん、自然のものならだいたいは持ってるよ」事も無げに退魔師が答えた。「もちろん怪異よりはずっと少ないよ。普通はね」34 #4215tk

2015-06-04 21:06:17
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

そこで彼女の眉がひそめられる。「けどひょっとしたら……四季はそうじゃないのかも」「え?」「四季は昔から怪異と交流したり、異界に連れ込まれたりしてたんだよね?」頷く彼を見て、怜はどこか心配そうに続けた。「普通の人に比べて霊気の量が多いのかも。検査がいるかな」35 #4215tk

2015-06-04 21:09:03
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「たぶんだけど、下見に来たときに四季の霊気が残ってたんだと思う」「俺の?」四季は首を傾げる。「人間も持ってるもんなの、霊気って」「生き物なら……ううん、自然のものならだいたいは持ってるよ」事も無げに退魔師が答えた。「もちろん怪異よりはずっと少ないよ。普通はね」34 #4215tk

2015-06-05 21:26:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

そこで彼女の眉がひそめられる。「けどひょっとしたら……四季はそうじゃないのかも」「え?」「四季は昔から怪異と交流したり、異界に連れ込まれたりしてたんだよね?」頷く彼を見て、怜はどこか心配そうに続けた。「普通の人に比べて霊気の量が多いのかも。検査がいるかな」35 #4215tk

2015-06-05 21:28:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「検査って……何をどう調べたらわかるの?そういうのって」「然るべき研究機関に任せる感じになるね」怜はどこか苦い顔で答えた。「退魔師と共同で怪異の研究をしている人たちがいる。たぶん、そこに連絡することになるかな」「なるほど?」四季は小さく相槌を打った。36 #4215tk

2015-06-05 21:30:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「まあ、四季は心配しなくていいよ。手続きは私がしておくし、検査もそこまで時間はかからないはずだから」怜が笑みを浮かべる。曖昧に頷く四季を見た彼女は、すぐに小夜子へと視線を移した。浮かべていた笑みを一瞬で消して。「で、最後の質問だけど」「まだあるんですか!?」37 #4215tk

2015-06-05 21:33:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

悲鳴じみた声を上げる幽霊に構うことなく、退魔師は淡々と尋ねる。「あなた、なんの未練があって現世に残っているの?」「未練……?」小夜子が不思議そうに首を傾げる。どこか苛立った様子で、怜は手に持った札を目の前に掲げた。四季の手によって剥がされたものである。38 #4215tk

2015-06-05 21:36:32
たいむしふたーまくず @znntmk

これではまさにインタビュー!コワイ! #4215tk

2015-06-05 21:38:14
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「これ。さっき改めさせてもらったけど、やっぱり精霊級の怪異を想定したものだった」二人を交互に見ながら怜が言う。「こんなものを数枚も貼られて、それでも動ける。……はっきり言って普通の幽霊じゃ考えられないことだよ。生前によほどの怨みがあったとしか思えない」39 #4215tk

2015-06-05 21:39:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ちょっといいかな、怜」四季は軽く手を上げる。視線で促されたのを確認し、言葉を続けた。「さっきも気になったんだけど、その……精霊級ってのはなに?なんかすごそうなのはわかるけど」「退魔師内で使う、怪異の危険度の指標だね。すごく大まかな分類だけど」40 #4215tk

2015-06-05 21:42:06
たいむしふたーまくず @znntmk

シェイプシフターおじさんでどのくらいかなあ… #4215tk

2015-06-05 21:43:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

彼女は四季と視線を合わせる。「下から順に『幽霊級』『妖精級』そして『精霊級』。霊気の強さや力の危険度なんかでランク付けされるの」「……精霊級ってのは、いちばん格が上?」「そう。例えば……」口を開きかけた怜の首元を、突然白い靄が覆った。それは即座に蛇の形を取る。41 #4215tk

2015-06-05 21:45:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

『妾のような怪異じゃの』鎌首をもたげた白蛇は、どこか得意げに言葉を発した。小夜子が目を丸くしている。「あー、小夜子さん。この怪異は朽縄御前。怜の実家で祀られてる蛇神さんなんだ」「それはそれは……あの、よろしくお願いします」「うむ。苦しゅうない」42 #4215tk

2015-06-05 21:48:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

胸を張るがごとく身を反らした蛇神を見て、怜が苦笑する。しかし彼女はすぐに真面目な表情へと戻った。「ともかく。精霊級の怪異っていうのは、御前様や山の神くらい強力な連中ってこと。正直、よほどのことがなければ手出しするべきじゃない相手なの」「なるほど」43 #4215tk

2015-06-05 21:51:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

頷きながら、四季はこっそりと隣の幽霊を盗み見る。彼女は難しい表情で眉間に手を当てていた。「幽霊で精霊級の力の持ち主となると、はっきり言ってよほどの怨恨がある怨霊としか思えない」厳しい眼差しの退魔師が言う。「だから聞いておかないといけない。あなたの目的はなに?」44 #4215tk

2015-06-05 21:54:15
前へ 1 2 3 ・・ 6 次へ