インターフェロンとサイトカインストーム ~MERSコロナウイルス~
@Butayama3 承前)いわゆる「サイトカインストーム」の状態ですね。SARSウイルスの遺伝子の解明も進んでいて、そのうちのいくつかは宿主細胞で増殖しやすくなるよう、自然免疫の一部が上手く働かないようにする遺伝子を作ってる。それが回り回って(続
2015-06-02 19:24:10@Butayama3 承前)感染した細胞の中で抑え込めないままウイルスが増えて、替わりに大量の白血球が動員されてきて大量のサイトカインが作られるとか、そんな感じで激しい炎症が起きるイメージというか。MERSもおそらくこれに似るが、急性腎不全起こすとかも言われてるから微妙に違うかも
2015-06-02 19:27:17@Butayama3 コロナウイルスはRNAウイルスの中では最大で、持っている遺伝子の量も多い。その中にあるいくつかのタンパク質は「アクセサリータンパク質」と呼ばれるウイルスタンパクの一種で、増殖に必須ではないけど、それを持っていることで宿主の免疫を抑えて増殖を有利にする。
2015-06-02 19:31:33ん?「免疫を抑える」?。あれ?
まあ確かに免疫を抑えないとウイルスは繁殖できないわけで・・・。
でも「サイトカインストーム」は免疫の過剰反応なわけで・・・。
@Butayama3 これもある意味「免疫は多段構え」だから起きることかもしれない。一つの部分がウイルスに押さえ込まれると、別の部分が過剰に働かざるを得なくなる。
2015-06-02 19:37:23えっと、インターフェロンは「ウイルスが増えるのを抑える」。
ここから下は、サイトカインストーム発生のメカニズム。
@Butayama3 基本的に細胞には、万一ウイルスが侵入してきたら、自分自身のタンパク質やDNA/RNA合成を、全体的に止めようとする機能が備わってます。その中でも良く知られてるのが、細胞のインターフェロン応答ってやつなんだけど(続
2015-06-02 19:42:22@Butayama3 承前)これは細胞表面のインターフェロン受容体にインターフェロンが結合することで最初のスイッチが入り、以下、細胞内にあるいくつかの専用のタンパク質がその情報(シグナル)を伝えて、最終的にいろんなのを抑える仕組み。こういうのを「細胞内シグナル伝達経路」と呼ぶ(続
2015-06-02 19:46:31ウイルスは、ウイルスの増殖を抑えるインターフェロンを邪魔しようとする。
@Butayama3 承前)ウイルスとしては、このインターフェロン応答が働くと増えることができなくなるものだから、この経路を邪魔しようとするわけ。具体的には、このシグナルを伝える細胞内タンパク質にべたっとくっついて邪魔するようなタンパク質をウイルス遺伝子の中にコードしたりする(続
2015-06-02 19:49:00@Butayama3 承前)そうするってーと、この細胞は「外からいくらインターフェロンの信号が来ても、タンパクとかの合成が抑えられず、ウイルス粒子をどんどん複製する」状態になるって寸法ね。(続
2015-06-02 19:50:20@Butayama3 シグナル経路の「下流側」で、シグナル(情報)伝達が止まってるものだから、例えば免疫系の細胞がそこに来てたら「まだか?まだ止まらんのか?」とサイトカインを出しつづける。挙げ句には「これはもう駄目だ」と炎症性サイトカイン出して周りの細胞ごと全部やっつけようと…
2015-06-02 19:55:50@Butayama3 承前)こうして「免疫(の一部)が抑えられた結果、免疫(の一部)が異常に亢進する」ことに。あ、これはいろんなウイルスで見られる一般論的な現象なので、SARSやMERSにそっくりそのまま当てはまるわけではない(こいつらで具体的にどうなるかは不明)ので注意
2015-06-02 19:58:11@Butayama3 かなり、かっ飛ばしたからゆっくりどうぞ。ちなみにここらへんがあれよ、阪大の審良先生とかがやってるToll様受容体が関わっている「自然免疫」の部分。
2015-06-02 21:02:34