艦これ✕鋼鉄の咆哮『双頭の巨人』

艦娘VS超兵器シリーズ第三弾。播磨さんと戦うお話(予定)。
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碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「消えてしまった筈は無い。海流から移動地点を予測。その周辺を重点的に探索。移動している可能性を考慮して、出撃していない潜水艦で水中を……」だが、その時の自分は……ある重大な可能性を見落としていたことに気付いてはいなかったのだ。21

2015-06-06 15:34:37
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

艦これ✕鋼鉄の咆哮『双頭の巨人』 - Togetterまとめ togetter.com/li/830300

2015-06-20 11:58:40
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「……いい雨だね」「この時期、雨は殆ど降りませんが」「うん……この国はいい国だけど、そこだけが本当に残念だ」海辺。ヴェネツィアの港にほど近い場所。嘗て水の都と謳われた街も、深海棲艦の脅威が確認されてからは人通りは疎らだ。22

2015-06-20 12:00:56
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

その場所を歩くのは、一人は中高生くらいの東洋人の少女。髪は三つ編み、服装は黒い半袖のセーラー服。雨も降っていないのに、傘をさしている。その瞳は青い。「では、その傘は?」「これ?盗聴対策だよ。無いよりマシだから」少女と一緒に歩くのは、スーツ姿のイタリア人。カタギの人間ではない。23

2015-06-20 12:10:04
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「……気になるのかい?」「艦娘の『観光案内』を仰せつかった時はどうなるかと思ったが、意外と変わらないものだね」「勿論、艤装が無ければ僕達は普通の女の子だからね。提督の許可無く除籍はできないけど。と言っても、君達の国にも居るじゃないか」「セクションが違うのでね」24

2015-06-20 12:18:15
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「セクションが違う……うん、なるほどね」三つ編みの少女は立ち止まり、くるり、と振り向く。「改めて、僕は『白露型二番艦』時雨。よろしく」「ああ、自分は……」「いいよ、名乗らなくても。嘘の名前に興味は無いし、どうせ『一度きりの付き合い』だから」25

2015-06-20 12:22:15
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

時雨と名乗った少女は、目を細める。「提督は、君達が艦娘(ぼくたち)の技術を使って、何をしているのか知っている。『公社』のこともだ」「何のことかね?エネルギー公社なら……」「『福祉公社』の方だよ。同盟国のよしみで不問にするし、今は人類同士で足並みを乱している場合じゃない」26

2015-06-20 12:26:58
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「君は何者だ?」「メッセンジャーだよ。僕達は、地中海の深海棲艦を片付け、代わりにイタリア艦を迎え入れる。そこまでがコインの表の話。これは裏の話だ。僕達は君達の秘密を黙っている。その代わり……これから暫くの間、この海で何が起こったとしても。決して、余計な横槍を入れないでほしい」27

2015-06-20 12:32:30
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「……何が起こるんだ?」「わからない」時雨は海を見つめる。「ただ……何も起きないと、いいんだけどね」 -----------28

2015-06-20 12:35:02
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

艦これ✕鋼鉄の咆哮『双頭の巨人』 - Togetterまとめ togetter.com/li/830300

2015-06-27 00:25:15
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「……そろそろ、白いご飯が食べたいですね」「はい、パスタはもう飽きました」イタリア海軍基地。その一画に『横須賀鎮守府出張所』という日本語のプレートが吊るされた場所はある。文字通り、横須賀鎮守府の遠征艦隊が間借りしているのだ。言わばそこは、切り取られた日本だった。29

2015-06-27 00:37:13
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

……その食堂で。日本海軍の精鋭とも言うべき正規空母2人は、食事の不満を零していた。「パスタもパスタで、美味しいのだけれど」「お味噌汁が飲みたいわ。瑞鶴、作ってくれないかしら?」「加賀さん、瑞鶴は留守番組ですよ」「……そうでした、赤城さん」30

2015-06-27 00:39:56
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

会話を続けながらも、山盛りのパスタを胃の中に収めていく赤城・加賀の2人。「パスターパスター」その横を、秋月が嬉しそうにパスタを運んでいる。「でも、作戦はもう終わったのだから、後は日本に帰るだけよね?」「提督の『交渉』が終われば、そうなるでしょう」31

2015-06-27 00:46:51
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「どんな艦なのか楽しみです」笑う赤城。「戦艦『Roma』……既に配属されているLittorioの同型艦」「新世代の高速戦艦。楽しみですよね」「……赤城さん」彼女達も元々、そうなる『筈だった』。天城型巡洋戦艦。加賀型戦艦。特に天城型は、30ノットの高速艦。32

2015-06-27 01:01:53
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

航空主兵。ワシントン海軍条約。歴史にifはなく、『史実』において彼女達は空母になった。大艦巨砲主義は遠い昔。そして大和型を最後に、日本での戦艦の系譜は途絶えることとなる。「でも、少しだけ妙な予感がするの」「妙な予感、ですか?」「ええ」33

2015-06-27 01:06:08
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

歴史にifはない。本当にそうだろうか?既に、幾つかの出来事は『史実』からは離れ始めている。こうしてイタリアまで『日本海軍』が遠征していることも、正にその1つだ。数多あるifの1つ。その中には、もしかすると戦艦が進化を続けた世界があったのかもしれない。34

2015-06-27 01:09:49
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

その『可能性』を具現しうる存在を、彼女達は知っている。摩天楼。謎の機械。「……いえ、多分考えすぎね」「赤城さんがそう言うなら」読めないものは、提督の真意。この海で、提督が何かをしようとしていることは、赤城も薄々感づいてはいた。「一体、何をしようとしているのか……」35

2015-06-27 01:14:49
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「提督ですか?」「……いえ、提督には提督のお考えがある筈。そんなことより、デザートにしましょう」「はい。時雨がジェラートを山盛りで買って来ましたからね」「でもこれ、ベネチアの……」「確か、『優しいおじさんに買って貰った』と言っていたような」「誰なんでしょうね?」「さあ?」36

2015-06-27 01:16:56
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

--臨時提督執務室-- 「何が、何が足りない……」巨大な超兵器。超兵器と人との、欠けた輪を埋める巨人。それは、何処かへと消え失せた。探査範囲を広げるべきか。だが、残された作戦期間は僅か。しかも今回は、人間相手の競争。どうやって見付けるべきか。 37

2015-06-28 21:47:39
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