- satuki_sigure
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ものすごい勢いで粉々にされていく。 プロの本領発揮だ。 そうして、二時間。 午後七時。 身体を元に戻すと、台所に向かう。 「先ほどした味付けてたんで、すぐですね」 さっと調理し、葉の皿を抱えて、不満を抱えた民のもとへ。 食事しながらも、割られる。
2015-06-11 04:08:14「これはまあ、アマチュアの(埴輪の)人たちもやってる技ですからね。自然体って奴ですよ」 午後八時。 ようやく一段落ついたかと思いきや、手元にあった弓矢引っ張り出して、 狩りの準備をする彼女。
2015-06-11 04:11:19「今日の夜食にね」 普段は日中にしているという狩りも今日は予定より押したためにこの時間になったという。 一時間。 その間にも何度か割られるものの 基本、狩りに打ち込んだ。
2015-06-11 04:13:37午後九時。 またも割られる彼女。 夜になろうと音が鳴り止むことは無い。 衰えないどころか勢いはさらに増す。 「この時間は、本当に勢いがありますから。元に戻るのが大変です(笑)」 この日の仕事は十一時まで続いた。
2015-06-11 04:15:00時刻はとうに十一時半。 風呂に向かう彼女だが、休む気配は無い。 Q.休まないんですか? 「これから土作りです。風呂はいって頭と目を覚まさないと。まあご飯食べて4時間たってるから寝てもいいんですけど」
2015-06-11 04:17:17食事は寝る四時間前には済ませる。 これもプロの譲れない流儀だ。 土の蓄えがある日はこのまま寝てしまうこともあるという。 「さて、始めるか」 彼女は真剣な表情で地面を掘る。 「この土のサラサラ感がたまらないんです。」 地を削る音が古墳に広がる。
2015-06-11 04:20:43「もともと、土作りの仕事に就こうか迷ったこともあるんですよ、でも今の(プロの埴輪)をとった。後悔は無いですね」 そう語った彼女。 志していただけに見る目も厳しい。 「あー、最近はいないんですよねぇ、上質な土を作れる埴輪は。オリジナリティーが感じられない。」
2015-06-11 04:23:31時刻は朝の三時 彼女はこれから寝るという。 Q.睡眠時間短く無いです? 「確かにね。でも土の管理は気をつけているし、昼寝も効果あるからね。むしろ眠く無いよ(笑)」
2015-06-11 04:24:25Q.これを365日、つらくないんですか? 「正直、はじめのうちはやめたいと思ったこともある。毎日、割られてばかりでいいのかってね。ただ、プロとして譲っちゃいけないラインを考えた時、アマとプロの違いは何だろうって考えて。それからかな。ふっきれて専念できる様になったのは(笑)」
2015-06-11 04:25:29Q.プライド、ですか? 「なんていうのかな。私にはこれが向いてる!っていう確信めいたものがあって。ほら、昔はプロどころか、埴輪って、なかったじゃん」
2015-06-11 04:26:16Q.確かにありませんでしたが 「それが、今、プロになれる。だからこそ頑張ろうって。それが今の私で。土の質を維持するのは大変だけど、毎日この決まった生活は満足してるよ」
2015-06-11 04:27:04現在、日本に存在する埴輪はおよそ82万人。 その多くはプロではないアマチュアだという。 プロの門は決して広くなく、なったあとも容易なものでは無い。 それでも確かに、プロの埴輪はいた。 古墳の影に隠れ、プライドを持って埴輪をするものがいる。 プロ埴輪。
2015-06-11 04:29:50彼らは、己の土を守り今日もまた、古墳で働く。 午前四時 消灯し、彼女の古墳は闇に包まれた。 人々のため、どんなに砕かれようとも立ち向かっていく姿。 埴輪のプロはそこにいた。 プロ埴輪・御堂はにわ。 彼女は明日の朝もまた、六時には起きるという。 end
2015-06-11 04:34:21プロ埴輪さんの生き様、最高にかっこよかったです。私も頑張らなくちゃ!って思いました。ありがとうございました。(20代・女性)
2015-06-11 04:37:00