#トラ泊神戸支部～激闘の本土近海決戦編⑨

ですか @desuka_desuyo

加賀さんは一度言葉を切ると、空母棲鬼を見つめてから言いました。 「本当に似ているわね」 「へ？」 加賀さんの意外な言葉に思わず間抜けな返事をしてしまいました。加賀さんはというと素知らぬ顔で気にしなくていいわと言います。いやいや、気になりますよ！ #トラ泊神戸支部

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青葉のことを全く無視して戦闘は進んでいきます。青葉も慌てて気持ちを切り替えることにしました。目線の先には今にもぶつかり合わんという二つの航空隊。その先頭を飛ぶ機が真っ赤な炎を上げて墜落して行きました。途端に鳴り響く銃撃音。敵味方の艦載機が次々と墜落していきます。 #トラ泊神戸支部

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「敵機来ます！」 大鳳が皆に向かって叫びます。青葉たちは機銃を空に向け、近づけないようにする他ありません。戦闘機での戦いは互角。攻撃機を積んでいる分向こう側の方が若干有利とも言えます。とはいえなんとか最初の航空戦はやり過ごすことが出来たようでした。 #トラ泊神戸支部

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支援攻撃と先制雷撃が少ないながらも的にダメージを与えていきます。あとは砲撃戦でどれだけ被害を抑えることが出来るかです。青葉は空母棲鬼を守るように立ちはだかる駆逐に狙いを定めました。 「一捻りで黙らせてあげますわ！」 熊野さんが重巡リ級に大ダメージを与えます。 #トラ泊神戸支部

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「敵機直上！」 大井さんの声でハッと見上げると、上空から今にも攻撃せんという体勢で、敵機が急降下してきました。狙いは輪形陣の中心の一人である加賀さん。青葉たちは急いで対空射撃を試みましたが、何機かの艦載機がそれをすり抜けていきました。 #トラ泊神戸支部

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「ぐっ！」 何度かの爆弾を受け、加賀さんの表情が歪みます。 「加賀さん！」 「前を見なさい！　敵はそっちよ」 咄嗟にそちらへ顔を向けると、加賀さんは厳しくそう言い放ちました。 #トラ泊神戸支部

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ちらりと見えた加賀さんは、被弾箇所からもうもうと上がる煙に包まれながら敵から少しも視線を逸らすことなく見据えていました。 「敵は前……」 加賀さんの言葉を反芻して、青葉も目の前の敵を睨み付けます。 #トラ泊神戸支部

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そこに待ち構えるは駆逐艦。一撃で決める。そう心に誓い放った砲弾は、駆逐艦をとらえ、爆沈させました。 続けざまに敵の随伴艦が炎をあげ離脱していきます。どうやら雷巡の二人が砲撃を命中させたようです。 #トラ泊神戸支部

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健在なのは空母ヲ級と旗艦である空母棲姫。その空母ヲ級が艦載機を放ちます。 「敵機来ます」 大鳳さんが注意を呼び掛けます。敵の狙いは……またしても加賀さん！ 青葉は一瞬悩みました。加賀さんを守るべきか、敵への攻撃を続けるか。 #トラ泊神戸支部

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これ以上の損傷を受ければここで撤退することを余儀なくされます。かといって庇って青葉が損傷を受けてしまえば元も子もありません。 躊躇した青葉は加賀さんを、泊地内最高練度の彼女を信じることにしました。 #トラ泊神戸支部

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前を見ろ。彼女は確かにそう言ったのです。ならば青葉はその言葉に従うまでです。 「はあぁぁぁっ！」 耳に飛び込んできたのは気合いの入った大鳳さんの声と風切り音。続けて銃撃音と撃墜され艦載機が爆ぜる音が。 #トラ泊神戸支部

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頭上をプロペラ機の音が通りすぎていきます。状況は見ずにもわかりました。大鳳さんが咄嗟に放った烈風機隊が、敵機を撃ち落としたのです。 「雷撃準備！」 大井さんが言います。 #トラ泊神戸支部

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雷撃を放った青葉たちは、その海域から離脱すべく全速力で駆けました。敵はというと雷撃の回避に専念しています。回避はされるでしょうが、その間に距離を取れれば十分です。案の定後方から雷撃が命中した音は聞こえませんでしたが、かなり離れることに成功しました。 #トラ泊神戸支部

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敵が見えなくなるまで離れてから、大井さんを中心に被害の確認をします。もっとも被害を受けたのは、やはり加賀さんでした。 「ごめんなさい」 「謝ることないわよ」 目を伏せて謝る加賀さんに、大井さんは言います。 #トラ泊神戸支部

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「そうですわよ。それに中破で耐えきったからこそ、チャンスが生まれたんですし」 熊野さんの言葉に加賀さんが小さく頷きます。中破相当の損傷なら、次の一戦ぐらいなら耐えられるはずです。司令官からの指示ももちろん進軍でした。 #トラ泊神戸支部

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「本当に大丈夫ですか？」 「大丈夫よ」 青葉の問いかけに加賀さんが口元をわずかにあげて答えます。それを聞いて大井さんが全員の顔を見回して言いました。 「これで最後にするわよ」 #トラ泊神戸支部

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皆が無言で頷きます。そして顔を向けたのは敵主力艦隊のいる方向。 「第一艦隊、進撃します！」 大井さんが通信に向かってそう言い放ちます。 青葉たちは敵のボスを倒すため、海域最深部に向けて進み始めました。 #トラ泊神戸支部