- terry_rice88
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だから樹木を遺伝子の螺旋構造や、歴史という樹形図に見立てる演出はやりたい事だったんだろうなあと思うし、重ね方は丁寧だったと思う。そういう面ではのび太とママ、のび太とペガたち、ククルと両親などの描きもなるほどなあと。そういう意味では情景描写もやはり力が入ってたようにも。
2016-04-15 20:48:16けど旧作から、かなり平板な話の進み方をする作品なのでそれをそのまま引きずってしまったかなと感じた。作画も今風らしい全体に密度の濃い作画なんだけど、思い返してみるとその作画力が際立って映えるシーン(いわゆる見せ場)はなくて、全体的に高水準でまとまってる作品というイメージ。
2016-04-15 20:53:24その辺りは八鍬監督の資質にも関わってくるんだろうけど、情感的な演出に特性のある人ならば、下手に(無理にか)動かさなくてもいいかなあとか思ってしまうのは穿った視点なんだろうなあ。なかなか難しい問題ではあるが。ちょっと作画と演出がそこまでハマッてはいなかったように見えてしまった。
2016-04-15 21:01:36あとククルが時空乱流で現代にやってくる辺りの見せ方は八鍬監督の真骨頂だとも。反面、動きの部分は楽しませようとしてるのは分かるんだけど、いまいち快感に繋がらないのが気になったりはした。今のアニメ全体に言えることだけど動きのディテールが細やかなのもいろいろ功罪あるよなあとか感じる。
2016-04-15 21:08:15個人的にはディテールが細かくて余計だなとも思ったし、足取りが重いなあと。平板な原作と相俟って、時間経過の印象は旧作よりまったりしてたなあと。動きの情報量と話の情報量が多いからってのもあるんだろうけど、これはドラえもんばっかりの問題じゃないのでどうにもならない。
2016-04-15 21:13:45あとこれもなかなか難しいんだけど、旧作及び原作は大長編ドラが環境問題や人間の根源などの要素を取り入れ始めた最初期(F先生の晩年期)でもあるけど、これがわさドラが10年かけて育ててきたコミカルさとあんまり相性良くない。うまく咀嚼はしてたと思うけど、違和感はあった。
2016-04-15 21:20:46わさドラのドラえもんが「のび太の世話役」というよりは「のび太の友達」という位置づけでやってきたために生まれた弊害だとは思うんだけどね。そこらのイメージのズレにはちょっと苦労してたようにも。あちらが引っ込めば、こちらが出るみたいな。なかなか思うようにはいかないんだなあと。
2016-04-15 21:29:36シナリオについては二点ほど言いたい。一つはリメイクに当たって、挿入された主軸について。もう一つは終盤の変更点について。リメイク案件によるアレンジだとは重々承知してるのだけれど、個人的には「違う、そうじゃない」って印象があるので非常に悩ましいところ。もちろん挑戦したことは評価したい
2016-04-15 21:37:31一点目に付いては、わさドラの当初から抱えている問題点だと思う。というより、今回の新日本誕生と恐竜2006は対の作品になっている、というのが自分の見立て。対になっている要素というのが「親子」。恐竜2006は父親、今回は母親からのび太(子)へのまなざしが重なっている。
2016-04-15 21:43:31ファミリー向け映画としての側面を考える上では入れられるべき要素ではあると思う。けど、自分にはこの要素を入れられることによって、作品そのものが狭まっているように見えてしまう。親に見守られながら成長していくこともあるけど、見守られないところで成長するのもまた子供なのではないか、と。
2016-04-15 21:47:23大山ドラ大長編の諸作品を見ていると、話の大筋に親はほとんど関わってこない。というよりは「子供が親の知らないところで冒険する」というのが主眼になっているのだと思う。そういう点ではドラえもんが「保護者」である部分もあるのだけど、子供たちが背伸びして冒険するのが面白さなんだろうと思う。
2016-04-15 21:52:24子供たちにだって、意思はあるわけで。考えもするだろうし、自分で決断して行動することもある。それが親が知ってても知らなくても、だ。子供が全力で「大人の真似事」をするのが大長編ドラの醍醐味だとすれば、親の視線ってあんまり必要ないかなと。
2016-04-15 22:00:56「親子と家族」という要素はF先生がそこまで積極的に入れてこなかった、というのもあってそこを押し出されてしまうと、自分が感じてる大長編ドラえもんの「スペシャル感」がなんかこう薄らいでしまうというか。そこに結び付けてしまうのはさすがに安易じゃないかと思ってしまうわけです。
2016-04-15 22:07:30何をドラえもんに求めてるんだって言われそうだけど、自分の中じゃ「親に知られずにやる遊び(冒険)」が映画になっているものが大長編ドラなので、親に見守られてるとか、家族や親子を強調されるのはなんか違うなあと。冒険に必要不可欠かといわれたらそうでもないだろうにという、ね。
2016-04-15 22:11:10そして二点目。今回、後半の展開に大きな変更点があるんだけど、これは思い返してみるに自分が旧作の展開を存外好きだったんだなあという、結論に至る。タイムパトロールが出てきて、ドラえもんたちが解決してないじゃないかって言う批判はもちろんあるんだけど。納得感はあるんだよね。
2016-04-15 22:19:24ギガゾンビの潜伏先を見つけあぐねていて、のび太を突破口にして突き止めるという流れはF先生も安易だと反省はしてるんだけど、強引さはあんまりなくて結構スマートだとは思う。吹雪に巻き込まれ遭難したのび太を助けるというのも、未来の力で死なずにすんだってエクスキューズが出来てるから。
2016-04-15 22:24:36今回はのび太はエアコンスーツがカバーできない気温でマジで凍傷しかねない状況に陥ってるのに、アレで大丈夫でしたはないだろうって感じてしまったので、あのアレンジには良し悪しがあるよなあと思う。テーマが物語の整合性より先行しちゃったと感じた描写ではありました。
2016-04-15 22:29:33ギガゾンビは強くはなったけど、魅力はなくなったなあという感じ。なんだかんだで旧作の永井一郎さんのインパクトはかなり強かった。ツチダマ’sについても絵面の絶望感は強かったけど、あんまり活躍しなかったのが残念だったなあ。もっと強かったら楽しかった。
2016-04-15 22:34:20あとわさドラののび太たちは涙もろいのが自分は特に苦手で。これは元々ウェットなノリが好きじゃないのが一番でっかいんだけど。家族向けが強調されているからか、ドラえもんたちが感情豊かで大仰なのが特徴といえば特徴なので、そこはもう仕方ないんだけど、やはりおおっぴらにやられるとちょっと辟易
2016-04-15 22:39:43けどクライマックスに至るまでの複線回収はそういうテーマの好き嫌いとかをのけても、新日本誕生で繰り広げられた要素を繋げきってて、感心はした。ククルの活躍する場面もきっちり用意されていたから、そこはリメイクならではの展開だったと思う。
2016-04-15 22:43:34まあ、そういった所で自分には評価の難しい作品だったなあという感想。八鍬監督の個性を感じるところはあったけど、それが映画の「面白さ」に結びついているかと考えるとちょっと怪しいかなあ。出来はもちろんいいんですけど。出来だけで言うなら、わさドラトップ3くらいには入るんじゃないと思います
2016-04-15 22:50:13というわけで。「♪ぼくらはT・P ひみつのT・P 時の中を見守る パトロール」と歌って、この感想を締めくくりたいと思います。余談ですが、久川綾さんより佐久間レイさんの声で聞きたかったなあと思うのでした。何を言っているのかわかるかなあ、わっかんねえだろうなあ(by松鶴屋千とせ)
2016-04-15 22:59:51