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『のび太の人魚大海戦』にみるSF者的「業」の欠如+ドラにおける父親と母親

『映画ドラえもん のび太の人魚大海戦』を劇場で観賞した直後、2010年4月10日の深夜に連続Tweetしたツッコミを発掘しました。 -------- 4月13日に思い出して追記した、『ドラえもん』という作品における「父親と母親」についてのTweetを追加しました。 -------- 続きを読む
アニメ 作品考察 わさドラ ドラえもん
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森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』発売中! @Molice
で、ようやく『のび太の人魚大海戦』を観にいってきたわけですが、既にあちこちで指摘されているのだろうけれど、話の流れとは関係ないところでSF的にこれはどうなの?という突っ込みどころが凄い勢いで。日本SF作家クラブは、連名で東宝に指摘連絡を入れるべきレベル。
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「人魚族が5000年前まで住んでいたアクア星は、五つの星が五角形に並んでいた」「五角形といえばぎょしゃ座だよね」「きっとそこだよ!」-恒星だから。人間タイプの異星人住めないから。地球から五角形に見えるだけで、五角形に綺麗に並んでるわけじゃないから。
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「今は夏。ぎょしゃ座は冬の星座だから見えないよね」「そうだ、南半球は今冬じゃないか!」「よし、どこでもドアで……」-時期によって見える星座が異なるのは公転位置によるもので、季節関係ありませんから。そもそもぎょしゃ座は位置的に南半球から見えない星座だから。
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このあたり、藤本先生原作の大長編シリーズではそうした齟齬が見られない。彼はジュール・ヴェルヌの20世紀における後継者とも言うべき業の深い空想科学&秘境冒険物語作家だった。
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彼はその時点での最新の科学知識と同時に、地球空洞説のようなSFの古典的テーマを可能な限り伝統に即した上で盛り込み、更に自分なりの解釈をひとつまみ入れることを忘れなかった。彼の大好きなヴェルヌなりバローズなりの物語を「ドラえもん」というフォーマットに載せたのが大長編ドラなのだ。
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故に、『恐竜』『魔界大冒険』『宇宙開拓史』など、藤本原作を最新の技術で改めて映画化した新ドラ劇場版の出来栄えに比べて、『緑の巨人伝』『人魚大海戦』などのオリジナルエピソードが、手堅くまとめられていながらどこか微妙感が漂うのは、藤本先生の持っていたマニアックな「業」の欠如である。
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怪魚型潜水艇(宇宙船)、テキオー灯など共通の秘密道具の登場といった状況証拠からの断定だが、『人魚大海戦』は『のび太の海底鬼岩城』を2010年の映画市場に持ってくるために翻案した作品だ。この2作品に海底シーンの描写を比べると、自ずとそのスタンスの相違が見てとれる。
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『海底鬼岩城』は、藤本弘版『海底2万マイル』の側面を持っていた。アロナックス教授とコンセイユによる深海魚の博物学的解説が延々と続くあのシーンを、藤本先生はバギーに乗った海底サファリという形で再現している。海底の地質学的薀蓄や、サンキャクウオをはじめとする生物解説がそれだ。
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対するに『人魚大海戦』の海底シーンは、人魚族のゲストヒロインと一緒にのび太たちが楽しく海を泳いで回るというだけで、「見えているもの」についての講釈は一瞬たりとも出てこない。「海底なのに暗くないのはテキオー灯の効果」という説明があっただけ。このあたりが「業の欠如」というやつである。
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こんな時間で突然迸ってしまったので一気に書き連ねてみた。つまるところ、何が言いたいかというと俺を混ぜろって話だよね。(爆) 誤解のないように書いておくけれど、僕は基本的に新ドラの支持者で、毎週欠かさず観ている唯一のアニメが「わさドラ」なのだ。
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ちなみに「昔の映画の方が良かった」とか思ってる人は、一度ビデオで観直してみるといい。そんなに出来のいいもんでもないよ? おそらく、原作漫画のイメージが強くて記憶に美化補正がかかってる人が多いんじゃないかなと思う。
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……まあ、藤本先生もネス湖までドリルで彫り抜いた穴を通ってネッシーが日本まできちゃうとかやらかしてるんだけどね。何kmあると思ってry
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そうそう。ノーチラス号(現実の)と地上のテレパシー実験とか、余計なこと覚えましたよね! @sinkurou 昔の長編ドラって、近所の悪いおじさんに、悪いこと教えてもらってるような、ひそやかなおもしろさがあった つうか藤子Fの漫画はたいていそうだけど、長編ドラはとくに
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@makoto_sanda 確かに、「怖さ」は大分減りましたよね。子供配慮ですかな。ちなみに、TVの方でのび太たちと入れ替わりで「魔法の世界から、魔法のない世界にやってきたのび太たち」サイドの物語が放映されたのはご存知でした? 何気に『魔界大冒険』最大の謎の回答になっていました。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』発売中! @Molice
@makoto_sanda あの、謎の天体現象は魔法世界からやってきたドラたちが何とかしたようです。何気に、ナルニアデスの『魔界歴程』というのは秀逸なネーミングなので、魔術物の作品を書かれている方は本棚にシレッと並べて欲しいなあとか思うことも。(と、三田さんを横目でチラ見する)
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@ogawaissui 全体的に、決して「つまらない」出来ではなかったのですけれど--藤本先生が関わっていたらこれはなかっただろうなあ、と思える箇所が目につくのが大きなお友達としては残念でした。>『人魚大海戦』
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『ドラえもん百科』を別格にすれば、あらゆるドラえもん研究本の中で一番面白く、同時に「愛」を感じたのがこれでした。 http://www.amazon.co.jp/dp/4094160418/
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そして、『藤子・F・不二雄の奇譚クラブ』などというシャレにならない電波が降って来ましたよ。裏BUBKAに出てた藤本先生のSM趣味関係の記述、怪しいんだけど信じられなくもない程度に、あっち方面の業も深い御方でした……何人の無垢な少年読者を開眼させたやら。
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2011年の映画ドラは『鉄人兵団』ということで大方の予想は一致しているらしい。選択の理由はわかりやすくリルル(長門系包帯ヒロイン)の存在でしょうな。声をあてるのは多分女優。さて、百式(百式言うな)のデザインがどう変わるか、見ものです。
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そういえば、新劇場版ドラえもんの弱点がひとつあった。「ヒロイン」としてのしずちゃんの存在感が原作連載後期(初期の頃に比べると好感度がかなりアップ)段階になっているので、『魔界大冒険』の美夜子、『宇宙開拓史』のクレムなど、ストーリー上でのヒロインキャラクターが微妙な扱いになった。
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美夜子の場合は、しずちゃんとの「女の子同士の友情」が描かれることで存在感がそれほど薄らがなかった(実はドラえもんで数少ない、しずちゃんよりものび太に近いところまで行ったヒロインだと思うので、個人的にはちょっと不満)。クレムの場合、モリーナという新キャラの投入もあって空気状態。
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『新魔界大冒険』は初の女性監督作品ということで注目していたのだけれど、漢臭い作品が中心だった従来の大長編ドラに「女性」の感覚が盛り込まれ、色々と興味深かった。特に、食事中に地震が起きるシーンで、ママがのび太をテーブルの下に引っ張り込む一瞬の描写は必見。かつてのドラになかった演出。
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のび助が、「昔は自分も少年だった」お父さんとして、息子に語りかけるシーンはぐっとくる。『のび太の恐竜2006』とかね。そういえば、『のび太の結婚前夜』も、結婚を前に揺れるしずかと語り合うのは父親の役割だった。
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ドラえもんという作品は徹頭徹尾、漢の世界だった。だからこそ--大山のぶ代さんの演じたドラえもんは(声優自身の目線に引っ張られたということも大きいのだろうけれど)、欠けた要素を補うために親友/悪友ではなく保護者/母親になってしまったのかも知れない。僕は、それがたまらなく嫌だった。
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コメント

森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』発売中! @Molice 2011年2月12日
「ドラえもんにおける父親と母親」についてのTweetを追加。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』発売中! @Molice 2011年2月12日
その後、決定したリルルの声優は声優の沢城みゆきさんでした。昨年4月時点での「多分女優」予想は大ハズレ。失礼しました!
久松ゆのみ@ピッコマ連載中 @yunomin 2011年2月12日
おおお!私がもやもや思っていたことがほぼまるまる文章になっていて非常に嬉しいです。ただ、魔界大冒険が『魔界をあんま冒険してない』という部分だけはいただけないなぁとか思ったりします。魅力半減(汗)
S C @Dogwood_blossom 2011年4月17日
宮崎アニメもマニアックさが人を魅了するポイントだもんなぁ。RT @Molice: 故に、『恐竜』『魔界大冒険』『宇宙開拓史』など、藤本原作を最新の技術で改めて映画化した新ドラ劇場版の出来栄えに比べて、『緑の巨人伝』『人魚大海戦』などのオリジナルエピソードが、手堅くまとめられていながらどこか微妙感が漂うのは、藤本先生の持っていたマニアックな「業」の欠如である。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』発売中! @Molice 2012年3月18日
『ドラえもん のび太と奇跡の島』についての感想を追加。
すっぱいぶとう @RefurRusantiman 2019年2月4日
のび太の部屋が糞尿まみれになるシーン、確かに印象深い。こういうディテールって大事だなあ。
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