川上氏の深夜のツイノベ

ラノベ作家、川上稔氏が深夜に始めたツイノベのまとめ。
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川上稔 @kawakamiminoru

あれは化け物の親が、彼一匹だけだったならば勝てたことだと聞いた。 ただ、化け物の親は、天使を守ろうとしたのだと。

2010-12-30 01:22:53
川上稔 @kawakamiminoru

● 少年はそのことを知らない。 ただ人から聞いて知っている。 地元の警察も、いつものことだと対処が遅れたのが響いたのだとも。 一人の警察官が、仲裁に入ろうとして、出来なかったのだとも。

2010-12-30 01:23:15
川上稔 @kawakamiminoru

○ それは化け物が幼かった頃のこと。

2010-12-30 01:23:25
川上稔 @kawakamiminoru

● そして少年の浴びる風は夏前の匂いを含み、翌週のHRでは和紙が配られた。 少年の元へは手紙が来ない。 しかし少年はまた何も書かずに海に出る。

2010-12-30 01:23:35
川上稔 @kawakamiminoru

○ 化け物が海に出ると、そこでは夏の用意が始まりつつあった。 人が海に来るようになる。 だから化け物は山へと行った。

2010-12-30 01:23:46
川上稔 @kawakamiminoru

● ある日、夏前の雨を少年は浴びた。 雨期の力無い雨。 だが少年はまた夜に出ていく。 父の革ジャンパーは傷だらけで、夏の時期でも着るものだ。 少年は、浴びる雨の冷たさよりも、ジャンパーの脇にある穴から入る滴にこそ怖気を感じる。

2010-12-30 01:23:58
川上稔 @kawakamiminoru

○ 化け物は、また、目の前に立ちはだかったものを駆逐した。 敵は怖くない。戦士も勇者も。 怖いものはもっと別にあるものだ。

2010-12-30 01:24:06
川上稔 @kawakamiminoru

● 雨の授業で、少年の目の前には、また和紙が配られた。 皆の手元には、手紙が配られた。 そして少年の机の上にも、手紙が置かれた。 少年は、また和紙に何も書かなかった。 手紙は、しかし、不思議を感じたので、開いて読んだ。 鉛筆書きの、小さな字があった。

2010-12-30 01:24:15
川上稔 @kawakamiminoru

● 少年は何も書かない和紙の上に、封に入れた手紙を置いておいた。 和紙は老講師が回収した。 だけど手紙はそのままだった。 手紙は机の中に入れられた。

2010-12-30 01:24:34
川上稔 @kawakamiminoru

○ 化け物は人から恐れられている。 だけど、化け物は人の言葉を理解出来た。

2010-12-30 01:24:42
川上稔 @kawakamiminoru

● 少年の季節は夏になった。

2010-12-30 01:24:51
川上稔 @kawakamiminoru

○ 化け物は山を好むようになった。

2010-12-30 01:25:00
川上稔 @kawakamiminoru

● 窓を開けたHRの授業では、また少年の机に和紙が配られた。 また手紙も配られた。 手紙を開いてみると、小さな字があった。 『ごめんなさい』

2010-12-30 01:25:11
川上稔 @kawakamiminoru

○ 化け物は応えなかった。

2010-12-30 01:25:22
川上稔 @kawakamiminoru

● 夏のHRでは、また少年の机に和紙が配られた。 また手紙も配られた。 しかし少年は手紙を開かなかった。

2010-12-30 01:25:35
川上稔 @kawakamiminoru

● 次のHRでは、また少年の机に和紙が配られた。 また手紙も配られた。 しかし少年は、また手紙を開かなかった。

2010-12-30 01:26:08
川上稔 @kawakamiminoru

○ 化け物は山に行く。 人から離れて山に行く。

2010-12-30 01:26:18
川上稔 @kawakamiminoru

● 夏休み前のHRでは、また少年の机に和紙が配られた。 また手紙も配られた。

2010-12-30 01:26:25
川上稔 @kawakamiminoru

○ 化け物は夜のことを思い出した。 いつも、人は化け物を嫌って襲いかかってくる。 近寄るなと言っても無駄だと解っているし、化け物は人の言葉を話せない。 ならば襲いかかってくる人々は、化け物を嫌うために襲いかかってくるのだろうか。

2010-12-30 01:26:39
川上稔 @kawakamiminoru

● しかし少年は、また手紙を開かなかった。 ただ和紙に書いた。 《やめてくれ》

2010-12-30 01:26:50
川上稔 @kawakamiminoru

● 夏休みになり、少年は学校に行かずともよくなった。 学年は三年、他の皆は受験で忙しい。 自分達の頃は就職で忙しかったのにと、そう言っていたのは誰だったろうか。 否、忘れてはいないが、踏み込みたくはないだけか。

2010-12-30 01:27:26
川上稔 @kawakamiminoru

※ミス見つけたので書き直しタイム中。ぬおおお。

2010-12-30 01:27:55
川上稔 @kawakamiminoru

○ 化け物は夜を行く。 夜の中を、切り裂くように踏み込んでいく。

2010-12-30 01:28:17
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