「まおゆう」とサイバーパンクと「円環少女」

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@crow_henmi

まおゆうとサイバーパンクの対比。まおゆう:中世から近代/中世的人間から近代的人間/近代世界システムの構築。サイバーパンク:近代から脱近代/近代的人間からポストヒューマン/スキズマトリックスの構築。いずれも個人の政治的ロマン主義が実存主義的な世界へのコミットとなる。

2010-12-31 07:48:59
@crow_henmi

まおゆう読んで思い出す作品といえば、俺にとっては「巣」(ブルース・スターリング「蝉の女王」所収)。「お前ら知性を武器にする種族は丘のむこうに行くと千年くらいで滅びるよ。ここで永劫存続しよう」「それでも俺たちは丘の向こうを目指す!」という話がやたらに突き放した筆致で描かれる。

2010-12-31 07:50:58
@crow_henmi

ここで重要なのは永劫存続を呼びかける優越種族のシステムが実際に「丘の向こう」に行ってしまった連中の末路を知っていること、それを聞かされてなお主人公が「俺はやるぜ」といっちゃうこと、そしてそれをシステムが冷ややかに見下ろしていること。あと、近代的人間性の徹底した相対化。

2010-12-31 07:52:45
@crow_henmi

まおゆうの持つ個人の政治的ロマン主義に基づく決断が世界レベルに大きな影響を与えシステムの再編まで進むダイナミズムをゲームで再現するには、やはりそれが物語化されることが重要であり、TRPGという形式がふさわしい。物語整流の都合上よりふさわしいのはゲームブック/ADVかな。

2010-12-31 07:55:18
さひろ @sahiro

@crow_henmi そういうまとめを聞くと、どう考えてもあんまり愉快な"ものがたり"とは思えないのだよなぁ……。>『まおゆう』

2010-12-31 07:56:10
@crow_henmi

@sahiro 近代世界システムの形成とかにダイナミックなワクワク感を覚える歴史とかシミュレーション好きの人には受けると思うし俺はそう嫌いではないです。倫理的にはツッコミどころあるけど、そこは政治的ロマン主義に惚れられるかどうか。

2010-12-31 07:58:04
さひろ @sahiro

@crow_henmi ん。その「倫理的なツッコミどころ」が鼻につくのかなぁ、わたしは。あと「技術にしろ思想にしろ、世界から突出した代物がいきなり存在するようになるわけがない」とか。実物読んでなくって、一部の紹介記事を読んでの感想だから、大外しかもだけれど。

2010-12-31 08:06:44
@crow_henmi

まおゆう語りで必須なのはウォーラーステインかなあ。「近代世界システム」と「ヨーロッパ的普遍主義」。あとシュミット「政治的ロマン主義」ホルクハイマー「啓蒙の弁証法」サイード「オリエンタリズム」……批判的まおゆう語り必須アイテムのような気もするが。

2010-12-31 08:01:23
@crow_henmi

円環12巻読んだけど、あらかじめ成功した未来から制御されて単線的発展の過程をなぞらされる――自由意志の存在しないユートピアってやっぱ怖いです、というのと、その過程で「あらかじめ先取りされた未来のためのあらゆる犠牲」が正当化されるのってそれスターリニズムだよね、というのがある。

2010-12-31 08:05:36
tricken(Tw以外の居場所は固定参照) @tricken

@crow_henmi アドルノ&ホルクハイマー『啓蒙の弁証法』における〈野蛮〉の概念は後半にもきちんと出てきましたから、その意味で魔王の知識は経済学が20世紀後半水準(ただし選好の計算より市場を対象とした経済学がメインなので20世紀中盤)、歴史観は19世紀後半水準なんですよね。

2010-12-31 08:04:58
@crow_henmi

@tricken そこら辺が20世紀後半的政治/歴史観によって批判される部分でもあるわけですが。

2010-12-31 08:06:43
@crow_henmi

円環はその辺を批判的に展開して自由意志の否定や、自由意志の根拠となる身近な物への執着を否定するアンゼロッテと対決するわけだが。

2010-12-31 08:08:46
@crow_henmi

まおゆうと円環少女の対比もありだったかー。魔王がアンゼロッテくらい気合が入ったキャラだったら真に「魔王」であったことよなあとか。で、やってることは余り変わらん。

2010-12-31 08:12:34
tricken(Tw以外の居場所は固定参照) @tricken

@crow_henmi 話の推移によって「単眼的」とされる内容の大半(特に魔王のパターナリスティックな位置づけ)が破綻するので、ある程度自己吟味がなされているという読みが可能なんではとは思ってました。ドラえもんののび太に対する苦悩ですよね。

2010-12-31 08:10:57
@crow_henmi

@tricken その辺は精霊ルビス伝説組み込んで後半で話のトーンが変わるところも含めて作者はいろいろ考えたと思います。長い話なんで書いてるうちにいろいろあるよね的な。

2010-12-31 08:13:43
tricken(Tw以外の居場所は固定参照) @tricken

@crow_henmi キャンペーンGM的な逐次介入をしてますね。ままれさんは(多分僕の来歴もニヨニヨ知ってるだろうくらいの)ゲーマーなので、その辺の手腕も活かしていると思います。

2010-12-31 08:16:22
@crow_henmi

円環。アンゼロッテの人類救済ビジョンがスキズマトリックスの段階まで見通しているあたり、長谷敏司はやっぱりSFの人だなあとか思ったり。可能性未来の再演魔導師たちは既に人の姿をなしていないポストヒューマンやオーバーマインドなのかもしれない。

2010-12-31 08:17:30
@crow_henmi

@tricken ところで「どの時点での最適解を求めるのか」というスケールの違いが、目前の選択における違いとして現出するという問題を、まおゆうとか円環についてつらつら考えているときにふと思い出しました。順次戦略の迷走問題ですね、これは。

2010-12-31 08:20:47
@crow_henmi

「あらかじめ先取りされた未来」を軸線にする戦略は迷走しても常に修正可能であり、永遠にそこにたどり着かなくてもそこを目指し続けられるという意味において悪夢的な情景を生む、というのがソビエト的失敗。みたいな。

2010-12-31 08:22:46