【お玉さんの読書マラソン】「名探偵図鑑完読作戦」第6部

お玉さんの読書マラソン企画「名探偵図鑑完読作戦」第6部です。青山剛昌『名探偵コナン』単行本の付録「世界の名探偵」で紹介された名作を読んで「名探偵」を勉強し直そう!というお取組みの続き。第6部では、刑事コロンボ、工藤俊作(『探偵物語』)、古畑任三郎、杉下右京(『相棒』)、ロバート・アイアンサイド(『鬼警部アイアンサイド』)、中禅寺秋彦、島田潔、コンチネンタル・オプまで、8人の名探偵登場作品を紹介してらっしゃいます。
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お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

今回の再読で五度目くらいの『姑獲鳥の夏』だったんだけど、とてつもなくスゴい作品であることは充分に認めた上で、「ミステリを成立させるためのそこらかしらで見られる危なっかしさ」や「以後のシリーズで見られることとなる悲喜劇的要素の希薄さから伺える小説的余裕の少なさ」には戸惑ったわけよね

2015-07-23 01:33:36
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

シリーズを重ねる度どんどん熟れ、時には過剰に、時にはテクニカルに提示される京極作品独特の要素たちが『姑獲鳥の夏』の時点はまだフワフワとして、固まってない、処女作故の違和感。 あのトリックを成立&解決させることに従事しすぎていて、遊びの少ない窮屈さ加減を、若干ながら感じたわけだ

2015-07-23 01:34:44
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『姑獲鳥の夏』の関口はちょっと自信がないくらい程度のいたって普通の人だし、榎木津の奇行はまだ常人の捉えどころの範疇だ。木場修に至っては「えっ、出てたの!」くらいのぞんざいな扱い。 中禅寺秋彦はどのシリーズ作品より神秘的なのだが、人物の掘り下げが彼だけ充分に行われてなかったりする

2015-07-23 01:36:12
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

僕がシリーズの中で好きなシーンと言えば『鉄鼠の檻』での一連の久遠寺老人絡みの数々のシーンなのであるが、『姑獲鳥の夏』の段階での久遠寺老は、あの僧侶にあんなことを言ったり、あの警察官にあんなことを言ったりする人物性を拾い上げることは到底難しい……、ただの厄介なジジイである。

2015-07-23 01:37:05
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

そうなのね。『姑獲鳥の夏』って文庫本でたったの600ページしか無いんよね。 シリーズ一作目だから説明しなきゃいけないことも多いし、脇の面白さの多少の犠牲は仕方ないのかな? あの密室トリックにバカ具合は見られるが悲喜劇として成立させる力はなく、物語はストレートな悲劇として疾走してる

2015-07-23 01:37:41
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

余裕が見られない・遊びが少ない、はイコール無駄が無いということ。 冒頭のやり取りが顕著だが、一見脇道に思える話題が本題をよりよく理解するための補助線として浮き上がる構造。これは小説全体に散りばめられている。 脇道が作品世界の空気感や雰囲気作り以上の「意味」を有していたりするのよ。

2015-07-23 01:38:00
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

次作『魍魎の匣』ではいろいろな思惑が絡み合う複雑な進行が試みられているが、物語としての見通し、風通しはすこぶる良い。 比較すると『姑獲鳥の夏』は密度が異常に濃く、ミッチリと詰まり過ぎている。 今回の再読で一番難儀だったのは絡新婦だが、次点は多分今作だ。

2015-07-23 01:38:41
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

一例。 あのシーンでの中禅寺敦子(俺の嫁)の行動の処理の仕方は、その後での中禅寺敦子(俺の嫁)のアレの発見のシーンと合わせて、もう少しどうにかならなかったの? と眉を寄せちゃう箇所。 あの変な密室トリックを成立させるために、登場人物の行動が筋立てに管理されてるかのようで息苦しい

2015-07-23 01:40:11
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

けど、あの変な密室トリックを「こういうのありなのかな」と読者に納得させるためには、物語に暗さと重さと怪しさと妖しさが必要だということもよく分かる話で(しかもシリーズ一作目だからこそ使える類のトリックなんだよね、これ)、不自由な筋運びも仕方ないところなんだろうね

2015-07-23 01:40:58
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

そして、無駄を極力省いたストレートな悲劇としての筋運び、その見返りは大きい。 特に、中盤で提示された姑獲鳥と産女の妖怪ウンチクが、物語終盤での事件の展開と二重写しになっていくかのような趣向は、あまりに計算づくの技巧が決まりすぎていて、ゾクゾクするほど美しい。

2015-07-23 01:42:54
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

そして、無駄の無い密度の高い進行だからこそ、本編中で提示される情報にノイズが混じっていないわけで(さまざまな手掛かりが驚く程大胆に配置されているのもシリーズ中『姑獲鳥の夏』だけの特色)、それらを束ね展開し個人の落とし所を作る「憑物落とし」という推理法も澱みなく進行できるわけだ

2015-07-23 01:43:17
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

憑物落としというシステムがあればこそ、あの変な密室トリックの背景にアレらを配置できるわけだし、その歪みを基軸にした蛙とかの別の事件をも用意することも可能してるわけね。 真実を暴いた後の物語をケアすることのできる方法論、それを推理の過程に組み込める推理法だからこその、あの事件背景!

2015-07-23 01:43:53
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

また憑物落としがオカルトじみているので、実はあの変な密室トリック以上のムチャを行っている殺人犯人の殺害動機(?)も「ああ、犯人には姑獲鳥(という妖怪が象徴する概念)に取り憑かれていたんね」ぐらいに思えてしまい、全然ムチャに思えないところもステキなのである。

2015-07-23 01:45:04
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

また『姑獲鳥の夏』の窮屈さと息苦しさは、ジメジメした蒸し暑い「夏」というものを想起させてくれる。 遊びの少ない作品、以後のシリーズの流れがアタマに入ってると戸惑いを感じる作品だと僕は思っているが、それは糾弾ではなく、ミステリの技巧に対して真摯な作品だわ、という認識なのね

2015-07-23 01:46:36
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

というわけで『姑獲鳥の夏』でした。 みんな読んでるとは思うんだけど、まだ未読の方に一つ注意。解説は笠井潔なのでほぼ「全バレ」。必ず読後に楽しむべし、と。 (百鬼夜行の文庫解説のほとんどが、物語のスケールに解説者が太刀打ちできてなかったりするんだけど、この解説のまとめ方は◎なのよね

2015-07-23 01:47:02
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さぁて、明日か、明後日は『魍魎の匣』 捉えどころの難しい姑獲鳥と較べたらちょっとラクかも? だけど……、はてさて? ではでは〜 pic.twitter.com/Y5IgiT51Xe

2015-07-23 01:47:30
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お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

あっ『ホッグズ・バックの怪事件』読み終わってました。 超おもしれぇぇぇ( ´ ▽ ` )ノ

2015-07-24 23:03:32
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

北方謙三『夜が傷つけた』を読み始める

2015-07-24 23:04:39
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

体調戻りつつあるので、明日から「名探偵図鑑」を本腰入れていこう。そうしよう

2015-07-24 23:06:09
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『血の収穫』を別訳で読みたいので、今度の休み買いに行こう

2015-07-26 01:21:37
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて「名探偵図鑑完読作戦」 「中禅寺秋彦」の巻 第二夜の今宵は『魍魎の匣』をお送りします。 当時の雰囲気を思い返すと、姑獲鳥に対してはミステリファンの間にも多少の戸惑いが(「もしかして一発屋?」)あったわけなのですが、この二作目で一気にミステリ新時代の扉を開いてしまった感がッ!

2015-07-26 01:48:30
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『魍魎の匣』といえば京極夏彦の代表作。 マンガにもなった(良い出来) 映画にもなった(……\(´Д` )) アニメにもなった(最高♫ DVD持ってるけどBD欲しいナァ〜) 推理作家協会賞も獲った(『ソリトンの悪魔』(!)と同時受賞♫ ) 何か変な表紙版もあったよね(♡+)

2015-07-26 01:49:01
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

もちろん偏愛している京極作品は何本もあるわけだけど、できるだけ客観的な視点から一本だけを選ぶとすると、この『魍魎の匣』でキマリっしょ。 とんでもない完成度! とんでもないリーダビリティー! 今回で八度目くらいの通読なのよね。 そして、読む度に楽しいし、読む度にいろんな発見がッ

2015-07-26 01:49:50
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『魍魎の匣』に弱点らしい弱点は無いんだけど、あえて拾い上げるのなら、扱われている要素のそれぞれがあまりにエッジがたちすぎているため、それらの要素の裏にある「魍魎」及び「魍魎が象徴する概念」が薄味になってしまってるということカナ? 妖怪小説として考えると姑獲鳥や絡新婦より少し弱めだ

2015-07-26 01:50:43
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