祥鳳が語る野球列伝・高校野球「炭鉱の町の"小さな大投手"　田村隆寿」

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

野球列伝 高校野球「炭鉱の町の”小さな大投手” 田村隆寿」

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

高校野球。04年に駒大苫小牧が優勝したことにより、ついに白河の関を甲子園の優勝旗を超えることになるのですが、東北勢での甲子園優勝はゼロ。 「優勝旗、白河の関を超えず、津軽海峡を超える」などと言われている高校野球の東北勢。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

東北勢でも甲子園決勝にまで進み、その結果敗れた高校は少なくはありません。 今回の主役となるのは福島県。 その福島県勢で唯一甲子園決勝へと進んだのは1971年夏の大会の磐城高校。これが最初で最後の福島県勢の甲子園準優勝です。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

磐城高校のある福島県磐城市(現いわき市)は、今でこそ漁業とスパリゾートハワイアンズなどの観光の街となっていますが、昔は常盤炭田のより支えられた炭鉱の町でした。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

しかし、高度成長期、エネルギー革命などが過ぎた時代であり、1970年に最後の炭鉱業の会社だった「常盤炭礦」が閉鎖されたことにより、炭鉱の町は終わりを迎えたのです。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

“小さな大投手”が甲子園で快投を魅せたのは、1971年。 まさに終わりを迎えた炭鉱の町の最後の意地の様に現れたのが磐城高校のエース「田村隆寿」選手でした。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

福島県生まれの田村投手。前年の夏の甲子園にも出場するも、一回戦でその年準優勝を果たしたPL学園の前に１－２のサヨナラ負けを喫した投手です。 身長165cmと小柄ながら、抜群の制球力と鋭く落ちるシンカーを武器とするピッチャーだったと言います。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

７１年、磐城は福島大会を勝ち上がり、東北大会で古川(宮城)を下して２年連続の甲子園出場を決めます。 甲子園初戦の相手はこの年の優勝候補である日大一高(東京)でした。 しかし、田村投手は3回に奪った1点のリードを守り抜き、１－０で5安打完封勝利を挙げます。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

準々決勝の静岡学園(静岡)相手にも３－０。被安打は5、2試合連続の完封勝利。準決勝の郡山(奈良)戦では8安打を浴びながらも無失点に抑え４－０で勝利。 炭鉱の街の小さな大投手は、決勝まで全試合を完封に抑え、甲子園決勝へと進んだのです。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

1971年第53回夏の甲子園決勝。 福島の磐城高校と、神奈川から初出場の桐蔭学園。 6回まで両チーム1点も譲らない投手戦となります。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

突然の夕立が降り始めた7回裏。田村投手は二死満塁のピンチ。 これまで甲子園で1失点も許さなかった田村投手は、疲労のせいか緊張のせいかキャッチャーの「ボールを拭け」と言うサインを見逃してしまいます。 田村投手の放ったシンカーは沈まず、甘く入り、1点を先制されてしまいます

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

33イニング無失点に抑え続けた小さな大投手の甲子園唯一の失点。 それが甲子園決勝での雌雄を分ける1点となったのです。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

再三のチャンスを作れど、磐城高校は9回を0点に抑えられ、０－１。 田村隆寿、4試合35回を投げ、1失点。 防御率で言えば0.26という驚異的な数値。 しかし、34イニング目の失点。たった一球が勝敗の全てでした。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

しかし、当然炭鉱の町の大エースの快投は福島県を、特に終わりを迎えた炭鉱の町・磐城で大きな勇気を与え、その名を福島県に残すこととなりました。 未だに福島県の高校野球ファンの間では知らない者はいない名投手でしょう

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

田村投手はその後、体の大きさが理由でプロ入りはできなかったものの、日本大学、ヨークベニマルと野球を続け、その後高校野球の監督へ。 しかし監督辞任後、多額の負債を抱え、その後の消息の詳細はわからなくなってしまいました。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

しかし、終わりを迎えた炭鉱の町の最後の意地を見せるように甲子園で最後まで快投を続けた”小さな大投手”田村隆寿投手。 “小さな大投手”は、福島県の”小さな伝説”となりました。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

その磐城高校田村投手以来となる甲子園決勝の舞台に立つことを夢見て、福島県勢は今年も甲子園で戦い続けるのでしょう……　＜完＞

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

……という、みちのくの"小さな大投手"田村隆寿投手のお話をご紹介させて頂きました。 ちなみにあのドカベンの里中智投手のモデルは、この田村隆寿投手だそうです。 ちなみに最後に田村投手の現在が確認できたのは東日本大震災直後、元監督だった聖光学院へボールを届けた、というお話です。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

野球列伝 高校野球「炭鉱の町の"小さな大投手" 田村隆寿」 ─完─ pic.twitter.com/Sx3eS9RuFz

拡大

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

あとこの間まとめた「炭鉱の町の"小さな大投手"　田村隆寿」選手についてでいくつか訂正点が。 まず「ボールを拭け」というサインを出したのは田村投手でキャッチャーが見落としたという説もあります。 次にドカベンの里中智投手のモデルだと言いましたが、"そういう説もある"が正しいです。

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

言い間違いがあったことをここにお詫び致します。 失礼致しました。