小説【マボロシハナビ。】

加藤シゲアキ&増田貴久メイン。 10年振りに帰った故郷。 大人になった初恋の君はまるで、夏の夜空に綺麗に咲いて消えた、七色の花火―。 続きを読む
はんな□♡▽○妄想投下気味 @hanna_secret

【マボロシハナビ。】 10年振りに帰った故郷。 大人になった初恋の君はまるで、夏の夜空に綺麗に咲いて消えた、七色の花火―。 今の君を守れるのは、俺でもまっすーでもなくて。 俺達に永遠を下さい、神様。 しげますメイン、127話。 #幻花火 #NEWSで妄想 #にゅーすで妄想

2015-07-17 12:02:22
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#幻花火 001/127 神社の階段を上る。 一段一段、君を思い出しながら。 飛行機の時間まであと5時間。 真夏の灼熱の空気が肌に纏わりついて、 俺は、全然前に進めてない…気がする。 「シゲ、早くっ!」 浴衣姿の君が、俺を手招きする。 どうしても、君に届かない―。

2015-07-17 12:02:45
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#幻花火 002/127 俺はどうして、 君を置いてこの街を離れたんだろう。 想いに蓋をして、君とまっすーを、 この街に残せたんだろう。 君の笑顔の、君の涙の、…君の苦しみの、 隣にいれなかったんだろう。 ずっと追いかけていた浴衣姿の君は、 もう、どこにもいないんだ―。

2015-07-17 12:03:07
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#幻花火 003/127 「いやぁね、すっかり男前になって!」 上機嫌な叔母に、愛想笑いを返す。 帰って来たのは、挫折したからなんかじゃない―。 ここに来てから、そう何度も自分に言い聞かせてる。 大学進学で上京して10年。 俺はまだ、夢見てたみたいな日々を手にしてはいない。

2015-07-17 14:53:46
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#幻花火 004/127 俺のプランだと、 もうとっくに写真で食ってる筈だった。 それでも現実は、学生の頃に何度か小さな賞が貰えただけで、 そのまま就職、気持ちはどこまでも空回りして、 週末だけ、趣味みたいにカメラを弄っていた。 そんな日々に、区切りをつけたかった。

2015-07-17 14:53:54
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#幻花火 005/127 愛想笑いに疲れて、散歩に出ると告げて家を出る。 従兄の自転車を借りて、気ままに漕ぎ出した。 通学路、公園、河原、小学校、中学校、高校…。 18までの俺の全てが、この街に詰まっている。 河原の小道で停車して、 首から下げていた安物の一眼レフを構えた。

2015-07-17 14:54:00
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#幻花火 006/127 四角いフレームの中に、河原の芝生の緑。 その上を、幼稚園児の列が通る。 ふと、カメラから視線を上げる。 「…まっすー?」 エプロン姿で幼稚園児を先導してる保育士は、 幼馴染の増田だった。 「まっすー!」 思わずあの頃みたいに手を振った。

2015-07-17 14:54:07
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#幻花火 007/127 「すげー、高校の卒業式振り?」 「だな。」 河川敷のベンチに座って、幼稚園児を眺める。 「何、こっちに帰ってくんの?」 「いや、ただの帰省だよ。1週間だけ。」 地元の夏祭りの時期に合わせて帰省したのは、 ノスタルジーを凝縮して味わう為でもあり…。

2015-07-17 14:54:15
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#幻花火 008/127 「葉月は、元気?」 ごく自然に俺の口から零れたのは、 ずっと一緒にこの街で育った、君の名前。 「あぁ…うん。」 「葉月も来んの?夏祭り」 「どうかな…最近忙しいみたいだし…」 「ふぅん、そっか。」 歯切れの悪い答えに、その時は気付かなかった。

2015-07-17 14:54:30
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#幻花火 009/127 *** 5分程話して、シゲと別れた。 葉月のことを訊かれた時、心臓が弾けそうだった、正直。 ―あの頃とは、違う。 10年っていう月日は、全てが変わってしまう程、 長かったんだよ、シゲ―。 「せんせ!」 「ん?」 子供の手には、小さなクローバー。

2015-07-17 14:54:37
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#幻花火 010/127 「まっすー、これあげるね。」 制服姿の葉月が差し出した、黄色い栞。 「何これ?」 「ん?合格祈願に四つ葉のクローバー。」 「…これ、三つ葉じゃん。」 「違っ!よく見てよ!」 黄色い台紙にクローバー。 その葉の隙間に、葉月が書いた桃色の♡。

2015-07-17 17:15:35
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#幻花火 011/127 「ね?四つ葉でしょ?」 「んだよ、偽物じゃん。効くの?これ」 「効くよっ!私のハートがこもってるんだから♡」 「う、気持ち悪っ。」 「ちょ、文句あるなら返して!」 「いーよ、草が勿体ないから貰っとく。」 俺の照れ隠しに、膨れる葉月が可愛かった、けど。

2015-07-17 17:15:42
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#幻花火 012/127 「…そっちは?」 「え?あ、んと…これはシゲに。」 君の手にもう一つ、丁寧に握られてた緑色の栞。 4枚の葉に、おまけの桃色の♡で、五つ葉のクローバー。 「ちょっ、シゲの方が葉っぱ多いじゃん!」 「ワガママ言わない!まっすーはそれ!こっちはシゲの!」

2015-07-17 17:15:50
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#幻花火 013/127 幼稚園から続いてた俺達の関係が、 思春期になってから少しずつ歪んでたことに、 きっとシゲは気付かないまま、この街を離れたよね。 俺のジレンマも、葉月の気持ちも、 全部置いてこの街を離れたシゲを、 俺は多分まだ心のどこかで、許せてない、気がするんだ。

2015-07-17 17:16:01
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#幻花火 014/127 *** 高校の近くに、チェーン店のカフェが出来ていた。 俺は何となく店に入り、 東京でも飲めるようなコーヒーを注文する。 知らない建物から見る嘗ての通学路を、 あの頃と同じ制服姿の高校生が下校する。 「…葉月?」 制服の君を見つけた、気がした。

2015-07-17 17:16:11
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#幻花火 015/127 手持無沙汰で、俺は持って来ていた文庫本を開く。 この街は、あの頃と同じ様で、少しだけ違っている。 駅前の映画館は、潰れてパチンコ屋になり、 通い慣れた洋食屋の跡は、駐車場になっていた。 近所の病院は総合病院になり、 中学校の壁の色も変わっていた。

2015-07-17 17:16:18
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#幻花火 016/127 1時間近く、本を読み耽っていた。 ふと視線を上げると、夕日の前のぎらぎら白い光が、 街を包んで輝かせている。 5:56 PM。 そろそろ夕食の準備が出来る頃だろう。 俺は文庫本に色褪せたグリーンの栞を挟むと、 ふともう一度外を見た。 「えっ、」

2015-07-17 19:55:14
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#幻花火 017/127 それは、一瞬だった。 黒い髪を一つに束ねて、Tシャツにジーンズ、 多分ノーメイクの無防備な君が、 窓の外を横切った…気がしたんだ。 あの頃と変わらない、白い肌。 丸みを帯びていた身体は、幾分か痩せていた気がする。 それでも、それは間違いなく君で。

2015-07-17 19:55:20
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#幻花火 018/127 俺は慌てて店を出ると、 その後ろ姿を確認して、店の横に止めていた自転車に跨る。 この道を、あの姿で歩いてるってことは、 きっと家に帰る途中だろう。 俺は丁度曲がり角を曲がった君の背中を追う様に、 その角を曲がった。 すぐ次の角は多分、右。

2015-07-17 19:55:27
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#幻花火 019/127 ギッ、と錆びたブレーキの音が響く。 「…あれ?」 そこに君の姿は無くて。 ふと振り返ってみても、そこには、 幾つかの民家や商店を飲み込んで大きくなった、 総合病院の白い大きな建物が、佇んでいるだけだった。 遠くで、学校のチャイムが6時を知らせた。

2015-07-17 19:55:33
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#幻花火 020/127 *** 「あれ?来てたんだ。」 「遅っせーよ、バカ。」 葉月は、部屋の隅の小さな冷蔵庫を開けて、 買って来たジュースとアイスを仕舞う。 「んなもんばっか食ってたら、太るぞ。」 言ってしまってから、直ぐに後悔した。 「…その方が色気出るでしょ。」

2015-07-17 19:55:39
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#幻花火 021/127 葉月は最近、随分痩せた。 「あ、まっすーも食べる?すいかアイス」 「あざぁす。」 ふふっ、と笑う君は、 昔と何ひとつ変わらないのに。 何が狂っちゃったんだろうね? 何で俺は、こんなに愛しい人を守れないんだろう?シゲ。 …シゲなら、守れたのかな?

2015-07-17 19:55:46
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#幻花火 022/127 「ねぇ葉月…」 「ん?」 葉月は、唇のチョコを舐めながら返事する。 「夏祭り、明後日だね。」 「あぁ…だね。」 「一緒に行く?」 「他に誘う女の子いないの?」 「うるさいな。」 「…しょーがない。」 葉月が微笑む。 「外出許可が下りたらね。」

2015-07-17 19:55:51
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#幻花火 023/127 *** 実家って、何もすることが無くて困る。 しかも10年振りともなると、 家の中にも定位置は無くて、居心地が悪い。 仕方なく俺は、またカメラを持って家を出た。 「夏祭り、明日か…。」 近所の貼り紙の前で立ち止まる。 10年振りの、夏祭り。

2015-07-17 21:20:37
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#幻花火 024/127 「ね、金魚すくいやりたい!」 制服の君ははしゃぎながら、俺とまっすーの前を歩く。 「どうせ直ぐ死んじゃうぞ、縁日の金魚なんて。」 「そんな夢の無いこと言わないでよ!  フナみたいになるまで育てるんだから!」 そう言って君は、無い袖を腕まくりする仕草。

2015-07-17 21:20:46
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