佐藤賢一先生が実践する講義スタイルの注意点

佐藤賢一先生が大学での講義の際に注意されている事項とその解説を連続ツイートされていたのでまとめてみました。
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佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

今学期の講義もほぼ実質的に終了した。(残るは試験のみ。)今学期を振り返ってみると、震災以後、ようやく久しぶりに自分の勘を取り戻してきたかなあ、という感じがする。

2015-07-23 17:50:42
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

今年から大学の教壇に立ち始めた人にとっては、講義準備も含めて長い一学期だったと思います。自分のことを思い出しても、一日の講義を準備するために一週間の半分以上を使った覚えが。しかも、学生の反応はというと、殆ど言いたいことが伝わっていなくて、何というか打ちのめされた感覚がありありと。

2015-07-23 17:53:53
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

何年か経過すると大学の講義にもようやく慣れてきて、アドリブで時事問題やらを織り交ぜても話がまとまる自信も付く。そこまでいけば、講義のネタも自然と組み立てられる。そう考えるとやはり震災のショックは大きかったんだなあ、と。上の空で、「自分の話」になっていなかった面もある。

2015-07-23 17:58:02
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

経験的に獲得した、自分の講義スタイルの注意点というと、 (1)教えるべき内容よりも「何を教えないか」を吟味すること。 (2)大事なことはゆっくりと何回も繰り返して言うこと。 (3)戦争や虐待問題などシリアスな話題のときは仕方ないが、できる限り壇上では楽しそうにしゃべること。→

2015-07-23 18:03:00
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

(4)科目によっては1時間分、全部を質疑応答の時間にする。(質問は前の週に回収しておく) (5)話/パワーポイント/画像投影のバランスとタイミングを考える。 というあたりかな。

2015-07-23 18:06:06

以下は注釈です

佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

注釈 (1)大学の教員なんて、とことん教えたい知識やらトリビアネタはいくらでも持っているので、それを全部講義でぶちまけてしまったら、学生はとてもではないが付いてきてくれない。むしろ「何を教えないか」を考えることで、学生諸君が気付いて更に調べてみたいという意欲を喚起したいところ。

2015-07-23 18:09:52
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

注釈 (2)話を聞いて理解する事も学生の社会的トレーニングだが、教える側もポイントを的確にまとめる必要がある。早口は勿論ダメだし、マイクを使ってもボソボソ声ではダメ。くどいくらい要点を繰り返してやっと中身が伝わるというのは、これは長年の経験。(それでも誤解は無くならないのが辛い)

2015-07-23 18:13:43
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

注釈 (3)これは全科目に当てはまると思うが、教員が楽しそうに語らなければ、その講義の存在意義からして学生は疑うだろう。学生アンケートに「先生が楽しそうにしゃべっているのでこの科目にも親しみが持てた」と書いてくるような教室は成功で、やはり雰囲気が良く理解度も上がっていた経験則

2015-07-23 18:19:48
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

注釈 (4)1時間を丸々質疑応答にあてるのはカリキュラムとして難しい場合もあるが、これはかなり有効。しかし、教員側には学生の率直な質問に真正面からぶつかる覚悟も必要。「どうしてこの科目が必要なんですか?」「なんでこんな研究してるんですか?」とか普通に問われる。

2015-07-23 18:24:52
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

注釈 (5)最初から最後までパワーポイントで講義すると、明らかに学生諸君の理解度の幅が分散しますね。(アンケートの記述を見ると、注目するポイントや強調点が一定していない感じ。)最初に話をして、そこから強調したい内容だけを画像に落として後半に見せるのが私の科目だと有効なのかな、と。

2015-07-23 18:30:14
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

(こんな講義もしてみた) 「学会発表のパワーポイント、資料を持ち込んで講義した」これも一度やってみて良かった。学生には予め「今日は学会発表のスタイルでやる」と周知して始める。プレゼンテーション、会場への呼びかけも学会そのまま。(ネタが尽きた時の窮余の一策というのは内緒)

2015-07-23 18:41:35