『ザ・ベスト・クロス・メイ・ハブ・ア・ミリピード・イン・イット』 #1

ジュセー @shiroboshi2

「イヤーッ！」「イヤーッ！」闇夜に響くイクサの音。交差する影。「グワーッ！」片方の影が吹き飛び、『たいへん良いです貴方』と書かれた電子看板に身体を埋めた。ZRAM！電流が疾駆する。「グワーッ！」影が電光によって照らされ、金属製のメンポと柿色の装束を見せた。 1 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「お、おのれ……おのれ！」柿色装束のその人物は……金属製メンポをつけたその人物は、怒りの色を目に携え、看板から抜け出した。「イヤーッ！」その頭頂部に鋭いカカト落としが！「なに！グワーッ！」彼は地に向かって落下し、地面とキスをした。 2 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「ア、アバッ……」彼は苦痛に喘ぎながら立ち上がった。そして目を見開く。タタミ二枚分ほどの距離に、イクサの相手が降り立ったからだ。そして彼に向かってゆっくりと歩き出す。『海とか……』『アッお得な』……寂れた電子看板が火花を散らしながら、その姿を仄かに照らす。 3 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

海とか…… #S57Ninja

予備ミヤコ @miyako385v1

海とか……　#S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

何ら変哲もない洋服。ここネオサイタマにおいては、逆に目立ってしまうであろう、そんな普通の服。バチバチ、バチバチ……寂れた電子看板の仄かな光が、その顔を撫でる。秀麗な顔の少女だ。彼女はゆっくりとした足取りで、自らのイクサの相手……ニンジャの元へ向かう。 4 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

少女……あっ、もしやこの子は #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「バ……バカめ！イヤーッ！」柿色装束のニンジャが不意にクナイ・ダートを投擲した。「ニンジャの死因はトドメにあり！のこのこと余裕を見せたのが貴様の死因というわけよーっ！間違いなく殺した！」ニンジャは勝利を確信し、拳を高々と掲げた。「そうなんですか」 5 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

アッスゴイ・サンシタ！ 清々しい！ #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

少女は飛来したクナイ・ダートを掴み、無感情に言う。「ありがとうございます、アーマンド=サン。勉強になりました」アーマンドと呼ばれたニンジャは驚愕した。「エッ……そ、そんな」 「イヤーッ！」少女が駆け出し、アーマンドのワン・インチ距離まで到達する。6 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

知らず知らずのうちにインストラクション……運がいいね #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「間違いなく殺せたはずなのに！」アーマンドが喚くが、少女は聞く耳持たず！「イヤーッ！」ヤリめいたキックを放った！「アバーッ！」アーマンドは顔面を強かに打ちつけられ、吹き飛んだ。メンポが砕け散る。彼は地面をゴロゴロと転がっていった。「アバッ、アバッ……」 7 #S57Ninja

予備ミヤコ @miyako385v1

「そ、そんな」が『そんなバカな』という驚愕の意ともとれるし『いえいえそんな…』という謙遜の意ともとれて面白いですね　#S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「ア、アバッ……畜生……」アーマンドは血反吐を吐きながらブザマに地を這う。「ち、畜生、テメッコラー……ソウカイヤは、テメェ、を、逃さ」「ハイク、詠みますか？」少女はアーマンドの言葉を遮り言った。「……ア？」「ハイク、詠みますか？よくわからないですけど」8 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

よくわからないけどハイクを詠ませてくれるこの少女は実際ブッダに近い #S57Ninja

予備ミヤコ @miyako385v1

ヤッター！ソウカイサンシタニンジャだ！　#S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「な、なにを言って……」「ハイク。最期に。詠みますか？って。意味は、よくわからないんです。ただ、そう言えと言われた気がしたので」少女はずり落ちたオーバーニーソックスを戻しながらアーマンドの返答を待つ。「アバッ、アバッ……嫌だ……死にたくねぇ」「そうですか」9 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ソウルの啓示……？ アーチ級なのかな #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

少女はアーマンドの側まで歩くと、地を這いブザマを晒す彼を侮蔑的に見下ろし、そして……「イヤーッ！」頭部を踏み潰した。「サヨナラ！」アーマンドは爆発四散した。少女は服に付着した返り血を暫し見つめた後、表通りのネオン街へと足を運んでいった。 10 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

『ザ・ベスト・クロス・メイ・ハブ・ア・ミリピード・イン・イット』 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

やはりミリピード＝サンか！ #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

……事の発端は、珍しく重金属酸性雨が一時間ほど止んだあの日だ。あの日、少女アケシ・ノノミはいつもと変わらぬ学校生活を送っていた。屋上に呼ばれ、罵倒を受け、或いは暴力を振られ……彼女にとってはチャメシ・インシデントといえる、変わらぬ学校生活を。 11 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

彼女はスクールカーストの最底辺の人間だった。それは彼女の独り言の多さであったり、そのアトモスフィアであったり……そういった理由から、そうなった。ノノミはそれを特に自覚することもなく、またジョック連中による陰惨なムラハチにも、特に何の感情も抱かなかった。 12 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「ノノミ=サン、珍しく止んでるんだからさぁ、屋上こない？空を見ようよ」ノノミのクラスメイト(彼女は名を知らない)であるジョックの一人に誘われ、彼女は屋上へと足を踏み入れた。謂れのない罵倒と暴力を振るわれた。彼女は特に何の感情も抱かなかった。 13 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

擦り切れてるなあ…… #S57Ninja