『ザ・ベスト・クロス・メイ・ハブ・ア・ミリピード・イン・イット』 #1

抜けてる通し番号は、場面転換のツイートです。ごあんしんください。
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ジュセー @shiroboshi2

「ノノミ=サン、そこから飛び降りてみなよ!晴れてるし!」「晴れてるしな!」「涼しいよ!」……彼等は笑い、ノノミへそう言った。彼女は頷き、パラペットを越え、空へ足を踏み出した。彼等は一斉に悲鳴を上げた。ノノミは何の感情も抱いていなかった。 14 #S57Ninja

2015-07-27 22:53:22
ジュセー @shiroboshi2

彼等の悲鳴を聞きながら、ノノミは落ちていった。「おかしい人達。飛び降りろと言ったから、私は飛び降りたのに」、彼女はそう思いながら、地に迫っていった。「少しだけ、コワイな」ポツリと呟く。コワイ?そんな感情は一切無い。ただ何となく、最期に何か口にしたかった。 15 #S57Ninja

2015-07-27 22:58:32
ジュセー @shiroboshi2

視界に入る光景が、降下するスピードが、鈍化していく。ソーマト・リコールが流れ出す。それは、ひどくボンヤリとしていて、何の想い出なのかも判別できなかった。「こんなものなんだ」ノノミは。目を。閉じた。ソーマト・リコールが止まる。声と共に。聞き慣れない声だった。16 #S57Ninja

2015-07-27 23:02:58
ジュセー @shiroboshi2

ノノミは鬱陶しそうに目を開けた。そこには、先程までとは全く違う世界が広がっていた。そこは、彼女の生まれ育った町だった。一切の色は無い。彼女は声の主を探しだした。歩く。歩く。やがてノノミは自分が誕生した小汚い病院へと足を踏み入れた。そこに声の主は居た。 17 #S57Ninja

2015-07-27 23:08:00
ジュセー @shiroboshi2

ノノミは声の主と少しの会話を交わした。何を喋ったのか、それは覚えていない。気づけば彼女は、もといた世界にいた。地が迫る。彼女は何の躊躇もなくそこに両の手を突き出した。常人であれば地面との衝突により、骨が突き出すであろう衝撃に、彼女の腕は耐えた。 18 #S57Ninja

2015-07-27 23:11:08
ジュセー @shiroboshi2

ノノミは叫んだ。齢十六にして、生まれて初めて叫んだ。「イヤーッ!」反動を活かしスプリング。見事に着地した。彼女は両手を何度も握り、開き……自らの身体を支配する全能感に暫し酔いしれた。屋上部を見上げる。見下ろすジョック連中と目が合う。ノノミは跳躍した。19 #S57Ninja

2015-07-27 23:15:11
ジュセー @shiroboshi2

彼女はその跳躍力に少し驚いた。そしてすぐに納得した。「ニンジャ。ニンジャになったんだ。私は」ノノミは全身を駆け巡るカラテの衝動を、ジョック連中に振るった。特に理由は無い。ただそこに居て、目が合ったからだ。カラテを振るいたかったからだ。 20 #S57Ninja

2015-07-27 23:18:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ニンジャソウルの憑依時特有の全能感…… #S57Ninja

2015-07-27 23:18:40
ジュセー @shiroboshi2

「アイエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」ジョック共の悲鳴が、心地よい。ノノミは逃げ惑う彼等の行く手を阻んだ。そして、使命感のようなものを感じ、それに準じた行動をした。「ドーモ。ミリピードです」アイサツ。使命というよりは、本能か。彼女は微笑んだ。 21 #S57Ninja

2015-07-27 23:22:08
ジュセー @shiroboshi2

ミリピード。可笑しな名前だ。だがノノミはそれを受け入れた。そして、微笑を浮かべながら、ジョック共を惨たらしく殺した。久々に、笑った。アケシ・ノノミは……ミリピードは彼等の首を捥ぎ取り、屋上から無造作に投げていった。校舎内、あるいは校舎外から悲鳴が起こる。 22 #S57Ninja

2015-07-27 23:28:07
ジュセー @shiroboshi2

別に首を捥ぐ必要はなかった。死体を普通に落としていっても悲鳴は聞けたはずだ。だが、彼女の中に芽生えた残虐性は、首を捥ぐという選択を取らせた。ミリピードはその行為を終えると、屋上から飛び降り、喧騒なるネオサイタマの往来へと駆けて行った。 23 #S57Ninja

2015-07-27 23:31:22
ジュセー @shiroboshi2

それからの彼女は、特に行動理念もなく、ネオサイタマを歩いていた。ヨタモノや、ただの通行人などを時折殺害しながら。「さて、どうしましょう。取り敢えず家に帰りましょうか」ミリピードは虚空に向かって話し掛ける。「でも服は変えたほうがいいですよね」 25 #S57Ninja

2015-07-27 23:36:12
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

これはソウカイヤに目をつけられますわ #S57Ninja

2015-07-27 23:36:57
ジュセー @shiroboshi2

ミリピードは手頃な服屋を探し、見つけると、何着か拝借した。『誰も文句は言わなかった』。そして彼女は返り血の付いた制服を脱ぎ捨て、新たな装いでネオサイタマの往来を歩いていった。目的地は、自宅。近いわけでは無いが遠いわけでも無い。 26 #S57Ninja

2015-07-27 23:40:39
ジュセー @shiroboshi2

そう時間はかからないだろう、と考えミリピードは自宅へと向かっていたが、到着する頃には太陽はすっかり沈んでいた。道中で少し殺りすぎた。「明日からはもう少し抑えていきましょう。学校で目立っても困るし」彼女は相変わらず独り言を呟きながら、扉を開けた。 27 #S57Ninja

2015-07-27 23:43:44
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

えっ学校行くつもりなの……さすがに無理だろ #S57Ninja

2015-07-27 23:44:14
ジュセー @shiroboshi2

扉を開ければ、そこには無残な死体と成り果てた両親の姿があった。その側に立つ返り血塗れの男。柿色装束に金属製のメンポ。ニンジャだ。ミリピードはため息を吐いた。「ドーモ、はじめまして。ミリピードです」アイサツ。柿色装束のニンジャもアイサツを返す。 28 #S57Ninja

2015-07-27 23:49:03
ジュセー @shiroboshi2

「ドーモ、ミリピード=サン。アーマンドです」アーマンドは肩を怒らせながら、威圧的な声を投げる。その装束にはクロスカタナのエンブレム。ミリピードは何ら物怖じせずに言う。「アーマンド=サン。親類の死亡時の手続きは何をすればいいんでしょう?学校とか、市役所とか」29 #S57Ninja

2015-07-27 23:51:35
ジュセー @shiroboshi2

「何を惚けた事をほざいていやがる、小娘。いいか、小娘。テメェは俺らの庭で好き勝手やった。だから目をつけられた。わかるか、エエッ?」アーマンドは肩をゴキゴキと鳴らしながら、ミリピードを睨む。「仕置きの時間だ小娘。ソウカイヤは野良ニンジャの横暴を見逃さん」 30 #S57Ninja

2015-07-27 23:58:12
ジュセー @shiroboshi2

ミリピードは無感情な目でアーマンドを見た。「それで。私の両親を殺して。次は何を?」「チャンスをやる。俺に従い、ソウカイヤに入れ。断るのなら、死んでもらう」アーマンドは先程よりも語気を強めて言葉を放った。ミリピードは動じない。「断ります。でも死にませんよ」 31 #S57Ninja

2015-07-28 00:06:03
ジュセー @shiroboshi2

ミリピードは己に宿るニンジャソウルの声と朧げな会話を想起し、自らの足にカラテを漲らせた。「せっかくニンジャになったので。私は、好きに生きたいです。あなたが死んでください」(ウキヨエ:さい。@Sai_xx31) 32 #S57Ninja pic.twitter.com/hRlTgUs0sh

2015-07-28 00:09:33
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ジュセー @shiroboshi2

……そしてアーマンドとミリピードのイクサが始まった。ミリピードにとって初めてのイクサだった。ソウカイヤに刃向かった愚かな小娘と侮ったアーマンドは、彼女とのイクサに敗れ、死んだ。ミリピードは無傷だった。「楽だったね」……彼女は知らない。ソウカイヤの力を。 33 #S57Ninja

2015-07-28 00:20:00
ジュセー @shiroboshi2

☆テキストカラテのアイキャッチを今まで模索して色々とやってきましたが、これからは【TEXT KARATE】で統一します。よろしくお願いします。☆ #S57Ninja

2015-07-28 00:26:59
ジュセー @shiroboshi2

一見すれば、ネオサイタマには有り触れたヤクザ事務所に思える施設。その一室に男が一人。彼は音声通信による会話を交わしていた。「アー、野良ニンジャ……ワカル、ワカル」どこか面倒そうに話す男。彼の紫色のヤクザスーツには、クロスカタナのエンブレムが輝いている。 35 #S57Ninja

2015-07-28 21:36:08