論文紹介(?)『戦時下北海道における朝鮮人「労務慰安婦」の成立と実態―強制連行との関係性において』(西田秀子.2003)
- jomosanzan_ahm
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2、3はやりとりしたお相手のツイートに関して
2・「渡航許可が必要」「娼妓取締規則があった」ことをもって「内地で売春をさせられたという自称慰安婦」や「16歳」という年齢を疑っているもので、これについては、日本軍「慰安婦」制度に見られる年齢規程の無視や、警察、朝鮮総督府、軍などの行政機関の協力なしには維持できない実態
2015-08-04 18:40:193・などなど、すでに歴史学上明らかになっていることを踏まえても(「労務慰安婦」と「軍慰安婦」の相違点・共通点を考慮に入れてさえ)、その「疑い」ががどれだけ空虚なことかはわかるのだが、さらにその反証となる事例を紹介してみようと思う。
2015-08-04 18:41:02ここ(4)から論文に関して
4・web上では簡単に紹介したページしかないが aiko1.sakura.ne.jp/ho/t/t.htm この元である研究論文、『戦時下北海道における朝鮮人「労務慰安婦」の成立と実態―強制連行との関係性において―』(西田秀子.2003) によると
2015-08-04 18:41:285・昭和15年(1940年)国勢調査から、14歳6人、15歳13人、16歳27人、17歳40人、18歳30人と、18歳以下合計116人(全体の約3分の1)の朝鮮人「酌婦」が北海道にいたことがわかっている。
2015-08-04 18:43:376・(統計項目は「芸妓・娼妓・酌婦数」だが、西田は「実際には全員が酌婦であったと思われ」と述べている。娼妓ならなおさら問題であるし、「朝鮮料理屋」で働かされていたということ、論文中の資料等から考えればこの指摘は妥当であろう。)
2015-08-04 18:44:187・このような実態を見ても年齢を元に「慰安婦」とされた女性の証言を安易に「デマ」よばわりするような行為は、選択的無知による歴史改ざん主義でしかないことがわかる
2015-08-04 18:44:528・若干の補足として、前のツイート(3番目)でも少し触れたが、日本軍「慰安婦」と「労務慰安婦」には当然ながら相違点・共通点がある。(まあ、軍「慰安婦」自体、時期・地域などによる差が色々と存在するが)そのことは留意しておく必要はある
2015-08-04 18:47:199・もう少しこの論文について紹介しておこう。彼女たちが集められた背景に、企業の要請と警察・行政の協力があったことも西田は指摘している
2015-08-04 18:48:0410・それから、法的な問題点として、「18歳以下の酌婦は認めない」とした北海道庁「料理屋飲食店取締要綱」に明らかに違反していたと西田は指摘している
2015-08-04 18:48:3111・また、「酌婦」は名目上、客の隣りでお酌などをする仕事とされていたがその実態は「売春」の抜け道の一つであったことは本論文内でも当時の資料をもとに指摘されており、
2015-08-04 18:49:2512・そのことから、朝鮮の娼妓の年齢下限を17歳とした「貸座敷娼妓取締規則」から考えれば、16歳以下の少女たちは、事実上、これにも違反していたと西田は指摘する
2015-08-04 18:50:5913・<念のためその1> 「『慰安婦』ではなく『酌婦』じゃないか、証言者は『慰安婦』と言っている。ムジュンだ!」とか「働いたのは『慰安所』ではなく、『朝鮮料理屋』だ!」とか重箱の隅をつついて嬉々とする人がいないとも限らないので
2015-08-04 18:51:5314・当時「酌婦」や「ピー」といった様々な呼称があったとしても、それを後に歴史的事象として総体的に「慰安婦」と呼ぶことや、その名称を被害者自身が使用することはなんら矛盾とは言わない。
2015-08-04 18:52:2715・よくある、この「呼称」に関する重箱つつき(cf.「ジープ」)、「ホッチキス」とか「宅急便」とか、いま60代あたりの世代以上が言う「ファミコン」「セブンイレブン」とか、そういった呼び方での表現により“矛盾”“嘘”と言えるのか考えるとよいのではないだろうか
2015-08-04 19:03:4817・<念のためその2> 炭鉱の労働者は主に「朝鮮人」の男性たちであり、当然、この「労務慰安婦」の “客” の多くは「朝鮮人」であった(ただし、人数比から、札幌などの都市部では日本人相手が多かったと西田は推測している)。
2015-08-04 19:09:1818・また、「朝鮮料理屋」の経営者や周旋人も多くは「朝鮮人」であったことはこの論文からわかることである。そしてそのことをもって「「日本」は悪くない」と言いたがる人が少なくない。
2015-08-04 19:13:1119・しかし、経営者らに女性を集めることを依頼したり、施設を設置したり、業務を委託したのはほかならぬ日本の企業である。
2015-08-04 19:14:0620・また、各種許可を出したのは日本の行政である。搾取の構造のトップにいて、その作成・維持を可能にしたのは、明らかに日本側の者であるのだから当然に相応の責任が存在する。
2015-08-04 19:16:5321・(炭鉱経営が日本の国策であったこと、そのために植民地から大量の「労働者」を入れるようにしたことも、当然この問題につながっている)
2015-08-04 19:17:3222・さらに、こういった問題において「差別」や「被害」が多重構造になることがあることも考慮に入れる必要があるであろう
2015-08-04 19:21:0423・北海道「労務慰安婦」の例で言えば、「客」であった炭鉱労働者らも「逃亡防止策」として厳しい監視や外出制限が設けられていたことを「慰安所」を「アメ」とした場合の「ムチ」として西田は上げている
2015-08-04 19:21:4324・この場合、朝鮮人労働者に対する民族差別と、「アメ」として提供される女性に対する差別という差別の多重構造がある
2015-08-04 19:22:54