【艦これ連載SS】秋雲さんと東方小説書き提督 その4
- asagihara_s
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「あら」 ぽんと初霜は楽しそうに手を叩いた。 「そうだったの。実は私も――」 と、初霜は隣の若葉と腕を組んで、 「こうなりました」 「こうなった」 若葉の肩に頭を預ける初霜と、表情の変わらない若葉。あー、そういえば朧が言ってたっけ……。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-05 22:44:07「あ、うん、それは朧から聞いた」 「朧から? ああ、漣たちがそっち行きましたもんね。横須賀でも漣はカップル作ってます?」 「……漣の手引きでくっつけられた自覚はあるのね」 「無理矢理くっつけられたわけじゃありませんよ。ねえ若葉」 「そうだな」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-05 22:45:26どこまでも若葉は無表情。もう少し照れるとかしないの? 「お前たちも漣の仕業か」 「いやいや、その前から付き合ってます」 「そうか。……初霜、あまりくっつくな、離れろ、五隻分ぐらいは」 「別に霧も出てないのに」 頬を膨らませる初霜に、若葉がため息。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-05 22:48:14「もう、若葉ってはいつもこんな調子なの。付き合ってるのに、ムードとか全然理解してくれなくて」 「ははは……」 「でも、そこが好きよ」 「だから離れろ」 お熱いこって。って、惚気話聞きたいわけじゃないんだけど。 「てか、2人こそなんで大阪に?」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-05 22:51:57秋雲がそう問うと、初霜と若葉は不意に決まり悪そうに顔を見合わせた。 「それは……」 「軍機だ」 「アッハイ」 言いたくないわけね。 「秋雲たちこそ、こちらの質問に答えてないが」 「あーいや、実は一緒に来てた提督たちとはぐれちゃって」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-05 22:54:05「提督? 横須賀の?」 「あ、うん――」 と頷いたところで、秋雲のスマホが鳴り出した。 「あ、提督からだ。ちょっとごめん」 初霜たちに断って電話に出る。 『秋雲、どこだ?』 「あ、ごめん提督ぅ。えーと、どこだろここ……」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-05 22:55:49なんて説明すればいいのかなあ、と考えていると、横から初霜が「ホテルの場所とか名前とかわかります? 案内しますよ」と口を挟んだ。 『ん? 誰かいるのか』 「あー、ちょっと呉の初霜と若葉にたまたま出会って。案内できるって言ってるんだけど」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-05 22:57:43『そうか、なら直接ホテルに来てくれ。この梅田地下で合流するよりはそっちの方がいいだろう』 「そうだねえ、またはぐれても手間だし」 というわけで提督からホテルの名前を聞いて初霜に告げると、初霜は自分のスマホで検索して「わかりました」と頷く。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-05 22:59:29「じゃ、菊月ちゃんと一緒に直接ホテルに向かうよぉ」 『ああ』 「あ、そうだ提督」 と、秋雲、声を潜める。 「呉の初霜と若葉に、紅楼夢のために来てるって伝えて大丈夫?」 『念のため、内密にしておいてもらえると助かる』 「りょーかい」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-05 23:03:50通話を終え、秋雲たちは初霜の先導で、ホテルに向かって歩き出した。 しかし、なんで呉の2人がここに来てるんだろう、とか。紅楼夢に大人数で来てること呉にバレたらやっぱり問題なのかなあとか、色々疑問や心配事が渦巻いていたわけで……。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-05 23:05:35第86話
#秋雲さんと東方小説書き提督 第86話(第五部第10回) 実況・感想等は #秋雲東方提督 タグでどうぞ 最新ログ→togetter.com/li/857004 ログ1→togetter.com/li/702739
2015-08-09 21:26:56さて、初霜と若葉に案内されて、梅田のダンジョンを無事脱出。ホテルに辿り着くと、ロビーで木曾さんが待ってくれていた。 「おう、秋雲、菊月」 「あ、木曾さん、ごめんねえはぐれちゃって」 「……申し訳ない」 「なに、気にするな。海戦中じゃない」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 21:32:16それから木曾さん、初霜と若葉の方を向き直る。 「横須賀秘書艦の木曾だ。秋雲と菊月が世話になった」 「いえいえ、大したことでは。あ、初霜です」 「若葉だ」 「呉だったな。ここで何を?」 「ああ、ええと――デートです♪」 若葉の腕に抱きつき、初霜は笑う。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 21:36:18「そりゃあ、邪魔して悪かった」 「いえいえ。横須賀の提督によろしくお伝えください。じゃあ若葉、行きましょ」 「ああ」 ぺこりと一礼して、初霜と若葉は踵を返す。と、 「グーテンターク、呉のおふたり」 そう2人を呼び止めたのは、はっちゃんだった。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 21:40:58「はい?」 「アハト、じゃない、潜水艦の伊8です。呉のイムヤは元気?」 はっちゃんにそう問われ、初霜と若葉は顔を見合わせる。 「あ、い、イムヤさんですか。ええ、元気にオリョールに」 「そう。――こっちには来てないの?」 「……どういう意味です?」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 21:44:29「ん? ううん、知らないならいいの。イムヤによろしく伝えておいてくださいね」 はっちゃんが手を振り、初霜はなんだか微妙な顔をしながら若葉とともに今度こそホテルを出て行く。秋雲ははっちゃんを振り向いた。 「イムヤって、潜水艦の伊168だよね?」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 21:46:00「うん。今呉にいるはずだから、どうしてるかなあって」 「あ、そうなの」 やっぱり潜水艦同士って横の繋がり強いのかね、とか秋雲ぼんやり思ってたんだけど。はっちゃんは不思議そうな顔をして秋雲を見やった。 「秋雲さん、知らないの?」 「へ? 何が?」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 21:48:23「イムヤって、秋雲さんのサークルの愛読者ですよ」 「……へ?」 「夏コミのとき、秋山三雲先生に直接挨拶してきた! って嬉しそうにLINEで報告してましたし」 「嘘ぉ!? 夏コミにいたの!?」 「赤い髪のポニテの子、見ませんでした?」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 21:50:14赤髪ポニテ……? あ、そういえば開幕直後に真っ先に来て差し入れくれた女の子が確かそんなだったような……。 「えっ、えええっ、あの子がそーだったの!?」 「そうですよ。呉に里帰りするなら挨拶してあげてくださいね。喜ぶでしょうから」 「あ、う、うん」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 21:53:12そっか、あの子が潜水艦のイムヤだったのか……。夏コミのとき、真っ先に来てファンだって言ってくれたのにろくな対応できなかったもんなあ。ちゃんとありがとうって言わないと……。てゆか、呉にいるなら紅楼夢に来るのかな? 夏コミにも来てたんだし。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 21:55:23そんなことをつらつら考えていると、木曾さんが「ほら、荷物を部屋に運ぶぞ」と秋雲たちのバッグを持ってくれた。 「あ、いいよぉ木曾さん」 「気にするな。菊月もほら、行くぞ」 うーん、木曾さんやっぱりイケメン……。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 21:59:05案内されたのはダブルの部屋だった。 「ダブルとか別にそんな方向に気を遣ってくれなくても良かったんだけどさぁ」 「明日が本番だから、夜はほどほどにな」 「……解った」 「菊月ちゃんそこ素直に了解しなくていーから!」 全くもう。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 22:03:24「5部屋続きで俺たちの部屋だ。ここが一番手前、順に早霜清霜、伊8とあきつ丸、翔鶴と瑞鶴、で俺とアイツが一番奥。何かあったら俺たちの部屋に来い」 「りょーかい……って、え、木曾さんと提督同じ部屋なの?」 「それがどうかしたか」 「あ、いや……」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2015-08-09 22:05:43