【邪悪の樹――三ツ牙】第一交流フェイズ――『断ち切る者の館』

その館は、『断ち切る者の館』
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【愚鈍】イーリシォーティータ @ToeIlith

背後のやや不穏当めな音にも特に表情は変えず、変わらず。日常茶飯事といった風。そのまま物音は常のことと流して歩みを止めずにいたけれど、名を呼ばれたから立ち止まって振り返る。こちらへと向かってくる姿は見慣れた黒髪。 シィズ、と小さく名前を呼び、薄青の目を彼へ向けて、追いつくのを待つ。

2015-08-01 23:43:36
【愚鈍】イーリシォーティータ @ToeIlith

…名を呼ばれたなら立ち止まるくらいのことはするし、大広間へと向かう時間を正確に決めているわけでもないのだ。多少時間がずれても支障があるわけでないし。 二人並んで大広間に行くことにしたのは良いけれど、何か話した方が良いのだろうかと毎回のごとく思う。

2015-08-01 23:43:57
【愚鈍】イーリシォーティータ @ToeIlith

喋り下手ではあるけれど、黙ったままも無礼である気がして。結局は、話題を掴めず無言になってしまうのだけれど。並んで歩くこちらの足音は変わらず静かなまま、速度も特に変わることなく歩を進める。

2015-08-01 23:44:34
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

返事の言葉の少なさに苦笑しながらも、文句は言わない。彼は——『愚鈍』はそういう人物だと分かっている。今更何事かを言うことではないし、『無神論』はさほど争いが好きではなかった。小さな諍いも、出来れば遠慮したい。

2015-08-02 00:04:05
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

無言の『愚鈍』に沿うように、隣に並ぶ『無神論』もまた無言で歩く。そうして辿り着いた大広間のドアを開き、先に入って良いと、『無神論』は視線でもって『愚鈍』に促した。

2015-08-02 00:04:09
【愚鈍】イーリシォーティータ @ToeIlith

己が喋り下手なのは承知だと、同じように黙ったままの無神論に少しの申し訳なさと居心地の良さとが浮かぶ。大広間まで、無言の時間が少し続いた。 大広間前、扉を開き先へと視線で促す無神論に一言すまない、と小さく告げて中へ。

2015-08-02 00:27:28
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

言いかけられた言葉に瞬きし、言い直された言葉に頷く。 「ああ。それくらいなら、いくらでも」 ちょうど猫がむずかったため、隣の席へと降ろす形で解放してやる。座れば流石に杖は手放すが、それでも自身の椅子に立て掛ける形で常に傍らには置いてある。

2015-08-02 00:16:13
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

トレイへと手を伸ばす。同胞である【無感動】、そして彼が持ってきた物には警戒しなくても問題はない、とこれまでの館での生活で理解している。食事なら一人で済ませても良かっただろうにわざわざ全員分揃えてくれたことに感謝の念を覚え、ありがとう、と小さく呟く。

2015-08-02 00:16:45
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

【無感動】が押し止めることさえなければ、トレイから机へと一式を移動させる手伝いをするだろう。押し止められれば、自分の分だけ受け取って大人しくしているかもしれない。どちらにしろ、その動作が終わった段階で、青年の双眸が部屋の一部を凝視した。

2015-08-02 00:17:12
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

その視線の先にあるのは、扉だ。昨日までは決して存在し得なかったもの。昨日とは、明らかに、変容したもの。凍る瞳と同様に、あれは、とだけ呟いた唇はそのまま何も続けずに閉ざされた。

2015-08-02 00:17:52
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

"拒絶"は常に杖と共にあった。それを問いかけたことは無いがきっととても大事なものなのだろうという認識は在った。 それだけで片付けて良い問題か、そうでないかは少々難しい問題であった。 「構わないよ。私の勝手だ」 だから"拒絶"が勝手をするのも、"無感動は"咎めなかった。

2015-08-02 00:32:01
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

トレイは移動され、人数に合わせたテーブルに置かれる。こうして食卓を囲むのも良きかな。 「……朝起きたら、その手紙と一緒にここにあった。食べ終えたら見てみると良い」 唯一事を理解しているであろう"無感動"とて、あった、ということしか知らぬ。

2015-08-02 00:32:16
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

勝手にものが増えて満たされる屋敷故に、何が増えようが壊れようが、元に戻ろうが、"無感動"にとってはいつもの日常の延長でしかなかった。 「――あぁ"愚鈍"か。それと"無神論"も。食事の準備が出来たから食べると良い」 こちらに来るようにと促す。既に食事の準備は整っていた。

2015-08-02 00:33:31
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

『愚鈍』が中に入ったことを確認してから己も大広間へと入る。そこには既に仲間が二人いて、『無神論』は顔を綻ばせて喜んだ。 「なんだ、お前ら先にいたのか。おっ、サンドウィッチじゃ〜ん!」 促されるまま席に着く。奇しくもそれは『拒絶』の向かい側であり、『無神論』は機嫌よさげに笑った。

2015-08-02 00:57:05
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

「おはよう、リプシー。調子はどうだ?つっても、毎日会ってるけどよ。お前も、おはよう、パティ。食事、お前が用意してくれたんだろ?ありがとうな」 そう言って、目の前にセットされたサンドウィッチを眺めながら、チラチラと扉の方を見る。足取りがゆっくりな『愚鈍』を、待つつもりであるらしい。

2015-08-02 00:57:10
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

様々な具材を詰め込んだサンドイッチ。付け合せに味噌汁。甘味に杏仁豆腐。 チョイスが可笑しいなどというのは禁句だ。 「そろそろ腹が空いてくる頃だと思った」 柔らかく笑ってみせる。"無神論"はとても印象的な人物だった。 彼の周りは冷たいものの、彼は渾名を付け、友好的であるよに謳う。

2015-08-02 01:26:58
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

そうし、"愚鈍"へと目配せする。 急いで食事をする理由もなし。名の通り緩慢な動作の彼の人。 くたりと首を傾げて見遣るも、これが彼の常たるなれば。

2015-08-02 01:36:44
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

「――"無神論"に"愚鈍"。そちらに手紙が届いていた。そして――そこに扉が出現しているようだ」 もしや誰ぞ望んだものかもしれん。先んじて手紙を眺めていた"無感動"は、その可能性はやや薄い印象を持っていたが。 「誰かが望んだか、したのかもしれないと思ってね」

2015-08-02 01:41:12
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

行動への咎めがないこと、ひいては踏み込むことなく思考を汲んでくれる【無感動】の声音は心地良かった。しかし、扉について一番理解しているだろう彼の言葉に、眉根を寄せる。

2015-08-02 01:55:14
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

館がひとりでに変化を起こすことはない、と青年は結論付けていた。勝手に現れたり消えたりするように見えていても、実際の ところは館の住人の誰かの願望だろうと考えていた。 ――否、一度だけ。現れたのではなく消えたのならば。禍罪が暴走したのだと自分を納得させたのだが、あの時は。

2015-08-02 01:55:35
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

なァに馬鹿なことを。同胞が同胞の消滅を望むことも、同胞以外の者が突如として我等に刃を向けることも、有るわけ無いじゃアないか。 青年は……【拒絶】は、頭を振った。

2015-08-02 01:56:29
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

「そうだな、そうするよ」 【無感動】に首肯し、眼差しを【無神論】へと移す。機嫌良さげに笑う顔と向かい合えば心も晴れる。 「ああ、おはよう【無神論】。僕は変わらないよ、いつもどおりだ」 瞳が僅かに揺れていることは、幸か不幸か落ちかかる前髪で隠されて容易く察することは出来ないだろう。

2015-08-02 01:56:59
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

「【愚鈍】も、おはよう。……そういえば、【無感動】にはろくに挨拶もしてなかったな」 ゆるりと笑んで続ける頃には、最早先刻の考えなどすっかり覆い隠されてしまっている。【無感動】が二人に向ける説明に耳を傾けながら、サンドイッチを手に取った。

2015-08-02 01:58:30
【愚鈍】イーリシォーティータ @ToeIlith

無神論が席に着くのを見送りながら、いつも通り肖像画の飾られた方へ目をやる、その寸前に無感動と拒絶の姿を認識して、それから何かが違うことに気がついた。何が違うのか、と大広間を見渡し気付く。奥に、扉が増えている。 …扉とは増えるものだったのだろうか、と首を小さく傾けた。

2015-08-02 07:22:12
【愚鈍】イーリシォーティータ @ToeIlith

誰かが新しく欲しがったのだろうか。けれど、ただの扉ではないのだろうと訴える感覚がある。 さて、あれは何か。 等々考えているうち、足は止まっていて、二人に声をかけられようやく待たれているのだと気付く。返事をしながら、テーブルへ向かう。 「すまない、ティア。おはよう、プシィ」

2015-08-02 07:22:30
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